ミッドナイトFM(Midnight FM)
story
深夜の人気ラジオ番組「真夜中の映画音楽室」。パーソナリティをつとめるソニョン(スエ)は、娘の失語症治療のため渡米を決意し、5年間続けてきたレギュラーの座を降りることにする。番組最後の夜、スタジオにはソニョンの大ファンというリスナーのソン・トクテ(マ・ドンソク)が、ゲストとして呼ばれていた。
番組が始まる前に、ソニョンは自宅に残して来た娘ウンス(イ・ジュナ)に電話する。会話はウンスが携帯を叩くことで通じる。その夜はソニョンの妹アヨン(シン・ダウン)が、娘のヒョンジ(チェ・ヒウォン)を連れて泊まりに来ていた。ヒョンジとウンスを寝かしつけ、徹夜仕事に取りかかるアヨン。そこに、見知らぬ男(ユ・ジテ)が忍び寄る。
ベッドから抜け出していたウンスは、飼っていた犬が殺され、アヨンが男に殴られている場面を目撃。衝撃を受けながらも声を発することのできないウンスは、自分の携帯をにぎりしめ、広い家の中を逃げ回る。男は、アヨンと眠っているヒョンジを粘着テープとロープで縛りあげ、ウンスを捜し回るのだった。
ソニョンはこの特別な夜を、いつものように独自の選曲で進めるつもりだった。番組が始まると同時に、ソニョンの携帯が鳴る。ソニョンはとっさにリスナーからのリクエストと機転を利かすが、それは「自分の指示通りに曲を流さなければ、家族を殺す」という脅迫の電話だった…。
●アジコのおすすめポイント:
スエとユ・ジテの主演対決というだけでもワクワクする本作。しかも、深夜放送の生放送をジャックし、家族を人質にして難しいリクエストを強要するというサイコ・サスペンス・スリラー。パーソナリティとリスナーが思いがけない形で関係してしまうスリルを、生中継の同時進行という形で見せてくれます。スタジオから中継車、そして逃走劇と、時間を追うごとに事件はスケールアップ。テレビ局をも巻き込んでの劇場型犯罪は、映画の冒頭で試写会プレゼントとして登場する『ブレイキング・ニュース』のよう。その他にも、『タクシー・ドライバー』や『ポンヌフの恋人』など、様々な名作映画へのオマージュが登場し、事件の謎を解いていきます。監督は『JSA』の美術監督など、クリエイティブ畑出身のキム・サンマン。スエは本作で『ポエトリー/アグネスの詩』のユン・ジョンヒと並び、青龍映画賞の主演女優賞をダブル受賞。いい人のイメージが強いユ・ジテも狂気のサイコキラーになりきり、迫真の演技を見せています。
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