人間万事塞翁が犬 (命運狗不理/Legend of the T Dog)
story
不吉な伝説を背負う犬がいた。額にT字の毛並みを持つこの犬は、三国志演義の馬、的盧(てきろ)のDNAを受け継いだらしい。この犬を飼い始めて49日が経つと、飼い主には必ず不幸が訪れる。京劇の団長、女性タレント、株で儲ける富豪の実業家などなど、彼らは犬を飼い始めてからたちまち運気が上昇して成功をおさめるものの、49日目には救急車で病院へ運ばれてくるのだった。
彼らが運ばれる病院には、真面目に生きているだけなのに何をやってもうまくいかず、うだつの上がらない看護士の青年アドウ(ワン・ポーチェ)がいた。その原因は祖先にあるらしい。漢の時代、仙人の黄石公(スーダー)に何度も靴を拾うよう試され、我慢できずに黄石公を虐めたため、末代まで呪われてしまったのだ。
しかし、心優しいアドゥは、看護婦たちや同僚からは受けがいい。そんなアドゥが憧れているのは、美しい外科医のライ(リン・ルォヤー)だ。ところが彼女にも、祖先が虐められていた黄石公を救ったため、家運がいいという言い伝えがあった。ある日、素早い処置を行い急患を救ったことで、アドゥはライに名前を覚えてもらえるようになる。
しかし、亡くなった父のために探していた切手が見つかり、仕事を抜け出したことが発覚。死んだふりをしていた患者が動き出して驚いたりとトラブルが続き、病院をクビになってしまう。ライからは負け犬と言われ、傷心で帰宅するアドゥ。ところが、今度は大屋から翌日の立退きを言い渡され、絶望したアドゥは橋へ向かうのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
ツァイ・ミンリャン監督作品の美術監督として知られるリー・ティエンジュエの監督デビュー作。美術系なだけに、伝説のシーンやアドゥが電球で作るカラフルなおもちゃなど、ファンタジックな場面も見どころです。またツァイ監督を日本で紹介してきた小坂史子さんがプロデュースに加わり、ちょっぴり出演もしています。主演は『九月に降る風』 以来、めきめきと頭角を表わしているワン・ポーチェ。気弱で頼りない青年から、自信を持って生きる青年へと成長していく姿を好演。そして重要な主演犬のブラックベリーは台湾犬。狩猟犬のような敏捷さですが、それもそのはず。かつては原住民族と共に山林で生活していたとか。ブラックベリーは4月公開予定の話題作『セデック・バレ』にも出演。その『セデック・バレ』で花岡二郎という重要人物を演じたスーダーが、本作では仙人の黄石公はじめ、様々な役で登場します。久々に見た豬頭皮の怪しい教祖役もユニークです。
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