パン・ホーチョン オールタイム・ベスト・セレクション
低俗喜劇(低俗喜劇/Vulgaria)
story
映画プロデューサーのトー・ワイション(チャップマン・トー)は、大学の講演会で映画作りの苦労話を披露する。広告クライアントへのプレゼンでの失敗談。帰国子女の助手クイン(フィオナ・シッ)にセクハラで訴えられそうになった話。中でも一番惨めな思いをしたのが、資金集めのため極道の友人セン(サイモン・ルイ)の紹介で広州に行った時の出来事だ。
待合せのレストランに現れたのは、手下たちを連れた広西のロン(ロナルド・チェン)。ゲテモノ料理やラバの歓待に閉口しながらも、資金欲しさに記憶を失う思いまでして難を切り抜けたトーは、ポルノ映画ファンのロンから資金提供を取り付ける。条件はロンの若い頃のアイドルだった往年の人気ポルノ女優、シウ・インイン(シウ・インイン)を主演にリメイク映画を作ること。
弁護士の元妻(クリスタル・ティン)から娘のジャクリン(ジャクリーン・チャン)を預かったトーが、娘を連れて事務所に戻ると、モデルの撮影会が開かれていた。そこにはセクシーな看護婦の衣装を着た巨乳のチョイ・カーヤン(ダダ・チャン)もいた。枕営業が得意な彼女は、ソーダキャンディを口に含んでフェラチオをするので、皆からパチパチ娘と呼ばれている。
仕事がなくて、主婦相手の違法マージャン屋をやっている映画監督のタツ(マット・チョウ)に、トーはリメイク映画の依頼をするが、主演女優のシウ・インインは高齢で出演に難色を示す。そこでトーは、若いカーヤンの身体と合成して撮影することを思いつく。相手役の主演男優は、ポルノ映画で有名になった葉山豪(葉山豪)に決まった。
●アジコのおすすめポイント:
昨年の香港で興収2位となったパン・ホーチョン監督の最新作です。冒頭から下ネタ、粗口(下品で卑猥な言葉)の連続で、まさに低俗な物語が展開しますが、それこそが本作のキモ。返還以来、中国との合作が主流になり、ナンセンスで粗口だらけの破天荒な香港映画が少なくなってきた今、あえて低俗にこだわり、パン・ホーチョンならではのブラックな諷刺とユーモアに溢れた、100%香港らしいコメディ映画が誕生したのでした。主演はチャップマン・トー。彼にトラウマとなるような恐怖体験をさせる広州ヤクザのドンを、ロナルド・チェンが飄々と演じています。ちなみに元妻役を演じるのは、チャッピーの奥様のクリスタル・ティン。娘役の美少女ジャクリーン・チャンも可愛らしく、健気で印象に残ります。ゲスト出演ではノラ・ミャオなど、見逃せない俳優も出演。面白かったのは葉山豪。主演した『3D SEX&禅』が11年の香港No.1ヒットになったばかりに、すっかりポルノ俳優として有名になった辛さが伝わってきました。
今回は11年に続くパン・ホーチョン特集での上映。特集では、本作の他『恋の紫煙』『恋の紫煙2』が初上映。その他、初期作品の『夏休みの宿題』『ビヨンド・アワ・ケン』から『AV』『些細なこと』『ドリーム・ホーム』と、貴重なラインナップが上映されます。そして監督も来日!
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