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ラスト・シャンハイ

監督:ウォン・チン
脚本:ウォン・チン、マンフレッド・ウォン、フィリップ・ルイ
撮影:アンドリュー・ラウ、ジェーソン・クワン
編集:アズラエル・チョン
美術:イー・チュンマン、エリック・ラム
アクション指導:リー・タッチウ
音楽:コンフォート・チャン
主題歌:「定風波」(歌・ジャッキー・チュン)
出演:チョウ・ユンファ、ホアン・シャオミン、サモ・ハン、フランシス・ン、ヨランダ・ユアン、ユアン・リー、モニカ・モク、ガオ・フー、ジョイス・フォン、倉田保昭

2012年/中国・香港
日本公開日/2013年9月28日
カラー/スコープサイズ/ドルビー/119分
配給:フリーマン・オフィス
(c)2012 Bona Entertainment Company Limited
2013年 香港電影金像奨
 美術賞(イー・チュンマン、エリック・ラム)
 オリジナル主題歌賞「定風波」
 (詞:クリス・シュン/曲:レオン・コー/
  歌:ジャッキー・チュン)

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ラスト・シャンハイ(大上海/The Last Tycoon)

story

 1930年代の上海。街の大物となったチェン・ダーチー(チョウ・ユンファ)は、京劇の舞台を遠くから眺めながら、上海に出て来る前の若き日々を思い出していた。

 1913年。江蘇州の果物店で働くダーチー(ホアン・シャオミン)は、京劇のイエ師匠の娘ジーチウ(ジョイス・フォン)に熱い想いを寄せていた。ダーチーの夢は上海で大物になること。ジーチウの夢は北京で京劇を学び、いつか男役を演じること。ダーチーは「めどがついたらきっと迎えに行く」とジーチウに約束する。

 ところが、店主殺しの濡れ衣を着せられたダーチーは、死刑囚の牢屋に入れられ、軍人のマオ・ツァイ(フランシス・ン)と出会う。彼のおかげでダーチーは命拾いをするが、ジーチウはすでに家族と共に北京へ旅立っていた。残された写真には「いつか会いに来て」と書かれていた。ダーチーはシャオファンと共に上海へ出て、上海一のナイトクラブ「大上海」の摩天楼を見上げ、「いつかあそこに登ってやる」と夢を膨らませる。

 1937年。「大上海」では、ダーチーを出世に導いたホン(サモ・ハン)の還暦祝いが行われていた。そこへ、国民党の将軍となったマオが現れる。久しぶりにダーチー(チョウ・ユンファ)と再会したマオは、北京から来たチェン(シン・バイチン)に近づいてリストを入手して欲しいと頼む。チェンは地下組織の人間らしい。そして、彼の妻は京劇スターとなったジーチウ(ヨランダ・ユアン)だった。

 帰り道、ダーチーが乗るエレベーターに、偶然、チェン夫妻が乗り合わせる。再会した2人はすぐにお互いに気づき、動揺する。帰宅後、ジーチウが唱う京劇のレコードを聴くダーチー。電話機から聞こえるその音を聴いた妻のアーバオ(モニカ・モク)は、自分がダーチーと初めて出会った1914年のことを思い起す…。

●アジコのおすすめポイント:

香港コメディを量産してきたウォン・チン監督が、アンドリュー・ラウ監督の製作・撮影のもと、がっつりとシリアスな歴史大作に挑んだ作品です。しかも、基調となるのは重層的なラブ・ストーリー。1930年代の上海が舞台ですが、ギャングアクションというよりは、黒社会といえども市井の人々と同じく、激動する歴史の渦に巻き込まれていく姿を描いています。主人公は、若い頃に夢を語り合い将来を誓った男女。しかし、男は運命のいたずらで黒社会に染まり、女は恐れをなして逃げていく。失望した男を支えたのは、彼を心から愛したもう一人の女。そんな彼らが中年となり、思いがけない再会を経て、新たなドラマが展開していきます。上海事変当時が背景なので、日本軍の影響も大きく、軍人役で倉田保昭も登場。日本軍に加勢する狡猾な国民党の将軍をフランシス・ンが巧みに演じています。そして、主人公のダーチーを演じるチョウ・ユンファとホアン・シャオミン(青年時代)のダブルキャストにも注目。お互いを意識して演じたのか、ホアン・シャオミンは最初からチョウ・ユンファぽく見える(特に口の辺り)し、チョウ・ユンファも北京語吹替がホアン・シャオミンだけに違和感ありません。(ちなみに広東語版は逆)親友役の太っちょさん(クレジット捜索中)もいい味を出しています。そしてラストシーンは、名曲「定風波」と共に強く印象に残ることでしょう。

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