冬の香港中国エンターテイメント映画まつり
フライング・ギロチン (血滴子/The Guillotines)
story
時は清朝。乾隆帝(ウェン・ジャン)の治世になった乾隆5年、馬賊と徒党を組んで謀反を企てる革命家・天狼(ホアン・シャオミン)たちを討伐するため、父の雍正帝(アンドリュー・ラウ)が作った闇の暗殺集団「血滴子」がアジトを襲撃。宙を飛ぶギロチンを仕込んだ特殊な武器で、一味を次々と抹殺していった。
隊長のラン(イーサン・ルアン)が率いる仲間は、フトゥ(カオ・ティエン)、チェンタイ(ウェゼイ・プルバ)、スー(グォ・パン)、ブカ(チョウ・イーウェイ)、シーサン(ジン・ボーラン)、そして頭目ゴンア(ジミー・ウォング)の娘で後継者のムーセン(リー・ユーチュン)の7人。彼らはついに天狼を捕らえるが、ランを見た天狼は「お前を待っていた。前に、夢の中で会っている」と告げる。
しかし、処刑場まで市中を引き回している途中、天狼の部下たちが爆薬を仕掛けて彼を救出。ランたちは一味の女、バイラン(ヴィヴィアン・リー)を捕らえるが、ムーセンがさらわれてしまう。血滴子たちはパイランと引換えにムーセンを救出するため、天狼たちが潜む漢族の村へ旅発つ。そこには、帝の側近ハイドウ(ショーン・ユー)も同行していた。
実はランは幼い頃、ハイドウと共に帝の近侍として選ばれた少年だった。帝と共に育った2人は、忠誠心のあるハイドウが側近として残り、腕のたつランが血滴子として護衛を任されたのだ。ハイドウはランに他の仲間たちと距離を置くよう勧めるが、ランは彼らと兄弟のように接していた。
一方、天狼に捕らえられたムーセンは、彼から過去に起った事実を知らされショックを受ける。そして、バイランとムーセンの取引が始まった時、都から来た鉄砲隊が突入。村は騒然となり、血滴子たちも反撃に出るが、そのせいで血滴子は反逆罪を着せられ一族滅亡。逃げる仲間たちも無惨に処刑され、ハイドウに刺されたランは崖から転落する…。
●アジコのおすすめポイント:
ピーター・チャン製作、アンドリュー・ラウ監督による、見応えのある時代劇大作です。かつて、若き日のジミー・ウォング主演で一世を風靡した「片腕ドラゴン」シリーズ。それに登場した空飛ぶギロチンをモチーフに、清朝初頭に作られたという暗殺集団「血滴子」の末路を描いた人間ドラマです。主演は革命家を演じるホアン・シャオミンと、血滴子のリーダーを演じるイーサン・ルアン。そこに、新しい時代に適応しようとする朝廷を代表する側近役のショーン・ユーが、悪役として介入します。時代は剣から銃へ。朝廷の汚点として無惨に歴史から抹殺されていく血滴子たち。平和な自給自足の村で、笑顔の村びとたちから大父として崇められる天狼はまさにキリストのよう。様々な葛藤の中で、彼らが選んだ道とは…? 同時期に上映された『ラスト・シャンハイ』以来、ホアン・シャオミンにはチョウ・ユンファの風格が宿ったような安定感があります。エンディングロールで流れる歌は、主演3人による合唱曲。「蒼穹の昂」のチョウ・イーウェイも出演。ぜひ、劇場でご堪能ください。
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