バルフィ!人生に唄えば(BARFI!)
story
美しく歳を重ねた女性が、せつなくも歓びに満ちた恋の物語を語り始める。「あの人は、いつも幸せそうでした」
1978年、インドのコルカタ。シュルティ(イリヤーナー・デクルーズ)の目の前で、バルフィ(ランビール・カプール)が逮捕される。彼とは6年前に出会い、結婚を機に別れた後、つい最近再会したばかりだった。
1972年。二人はダージリンで偶然に出会い、バルフィはひと目で彼女に恋をした。バルフィは音のない世界に暮らし、口をきくこともできなかったが、真直ぐな眼差しと身ぶり手ぶりだけで、誰よりも完璧に伝えることができた。人を笑わせることが大好きなバルフィは街中の人気者だった。
しかし、シュルティは3ヶ月後に結婚式を控えていた。バルフィは大胆にもプロポーズしようとするが、婚約指輪を見て諦め、時計台の針を15分戻し、友だちとして祝福する。そんなバルフィに惹かれていくシュルティ。二人は束の間の幸せな日々を過ごすが、母親に説得され、シュルティは完璧な婚約者を選んだのだった。
1978年。シュルティは夫の止めるのも聞かず、ダージリンの留置所に駆けつける。ずっとバルフィを追っていたダッタ警部(ソウラブ・シュクラー)は、バルフィを銀行強盗と資産家の娘ジルミル(プリヤンカー・チョープラー)誘拐の容疑で逮捕していた。
6年前にシュルティが去った後、失業して病で倒れた父親の手術費用を稼ぐため、バルフィはやむなく誘拐と銀行強盗を思いつくが、どちらも失敗する。しかし、先に誘拐されていた資産家の娘ジルミルと偶然出会い、ジルミルはバルフィの元を離れなくなってしまう…。
●アジコのおすすめポイント:
絶好調のインド映画から、またしても忘れられない名作の登場です。聾唖というハンディを背負いながらも、持ち前の明るさと誠実さで誰からも愛される青年バルフィの、2人の女性との出会いと半生が描かれます。遠くにいる愛する女性と、近くにいる放っておけない女性。バルフィが選んだ伴侶は果たして? バルフィを情感豊かに演じるのは、ボリウッド一の名優一家に生まれたランピール・カプール。本作での演技が高く評価され、インド映画界を牽引する俳優として注目されています。彼が一目惚れするシュルティ役は、テルグ語映画出身の若手女優イリヤーナー・デクルーズ。そして、ジルミルを演じているのが、『DON』シリーズでシャールク・カーンと共演している美女、プリヤンカー・チョープラー。最初は全くわからず、インド映画界にもこんな若手の新人女優が出て来たのね!と思っていたら、なんとプリヤンカーだったのでした。自閉症の少女という難役を見事な変身ぶりで演じています。世界の名作映画へのオマージュに溢れ、チャップリンをも彷佛とさせる本作。テレビの世界でキャリアを積んだアヌラーブ・バス監督ならではの、インド映画の奥深さをぜひ味わってください。
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