フェラーリの運ぶ夢(Ferrari Ki Sawaari)
story
ルーシー(シャルマン・ジョシ)は、交通局に勤める生真面目で善良な男。12歳の一人息子カヨ(リトウィク・サホレ)を男手一つで育て、偏屈な父親ベーラム(ボーマン・イラニ)と3人で暮らしている。カヨはクリケットに熱中しており、キャプテンでチームのエースだが、家が裕福ではないため、新しい用具を買うのも一苦労だった。
そんな中、ロンドンにあるクリケットの聖地、ローズ競技場で行われる強化合宿に参加する選手の選考会が行われることになる。ローズはカヨにとっても憧れの地だが、合格しても15万ルピーの費用が払えないと参加できない。息子の才能を伸ばしてやりたいルーシーは、銀行融資を頼みにでかけるが、相手にされない。
ところが、たまたま知り合ったウェディング・プランナーのバッブー(シーマー・パフワー)から、赤いフェラーリを調達してくれたらお礼に15万ルピーを払うと言われる。地元議院のバカ息子の結婚式を担当している彼女は、どうしても赤いフェラーリで花嫁を迎えたいと頼まれ困っていたのだ。
この町で赤いフェラーリを持っているのは、豪邸に住むクリケットの大スター、サチンだけだ。ルーシーは父親を説得し、サチンの車を借りようと考える。実は父ベーラムも、かつてはサチンらと活躍したクリケット選手だったのだ。話がついたと思ったルーシーは、サチンの留守中に豪邸に侵入。車のキーも手に入り、車庫からフェラーリを持ち出す…。
●アジコのおすすめポイント:
日本でも大ヒットした『きっと、うまくいく』のチームが作り上げた、爽快で心温まるヒューマンコメディです。『きっと〜』で助監督をつとめていたラジェシュ・マプスカルの長編デビュー作。脚本や編集にはラージクマール・ヒラニ監督も参加しています。そして、初主演を演じたのが気弱なラジュー役を演じていたシャルマン・ジョシ。真面目で純粋で一途な父親役を好演しています。息子役は本作のためにスカウトされたというリトウィク・サホレくん。自然体の生き生きとした演技を見せてくれます。描かれるのは親子3代の愛情と絆。過去の苦い経験で、クリケットの表舞台から消えてしまった祖父(名優ボーラン・イラニが上手い!)とのこじれた関係が、徐々に溶けていく展開も秀逸。最後は皆が少年を応援し、夢に向かって進んでいきます。赤いフェラーリがどんな奇跡を運んでくるのか、ぜひ劇場でお楽しみください。『女神は二度微笑む』の主演女優ヴィディヤー・バーランが、結婚式のダンサー役で特別出演しています。
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