パイレーツ
(海賊:海に行った山賊/The Pirates)
story
1388年。高麗滅亡から朝鮮建国へ変わろうとしていた激動の時代。血気盛んな高麗兵チャン・サジョン(キム・ナムギル)は、国境の野営地で明討伐に向けて士気を高めていた。ところが、武官イ・ソンゲ(イ・デヨン)は引揚げを決定。「この国を乗っ取る気だろ!」と憤慨し、制止しようとした隊長モ・フンガム(キム・テウ)と一騎討ちの末、馬に乗って走り去る。
その頃、大海原では、冷酷なソマ船長(イ・ギョンヨン)率いる海賊団が貿易船を制圧。戦利品を運び込む途中で、黄金の仏像が1体、海へ落ちてしまう。躊躇なく海へ飛び込んだのは、勇敢な女海賊ヨウォル(ソン・イェジン)だ。仏像をつかみ、浮上しようとした彼女の前に、十字の傷を持つ巨大クジラが現れ、悠然と泳ぎ去っていった。
3年後、下っ端海賊たちは富を独占するソマ船長に不満を募らせていた。海賊歴10年なのに船酔い体質のチョルボン(ユ・ヘジン)は、偶然、船長と役人の密談を耳にし、船長が保身のために部下を犠牲にしようとしていることを知る。遂にヨウォルが反旗をひるがえし、死闘の末、ソマは敗れて海へ飛び込んだ。
明の皇帝から朝鮮建国の証しである国璽を受け取った使節のハン・サンジル(オ・ダルス)は、帰途の海でクジラの親子に遭遇。大砲を放ったため船はへし折られ、国璽は母クジラに飲まれてしまう。困ったサンジルは王の側近チョン・ドジョン(アン・ネサン)と画策。海賊に襲われたことにして、国王イ・ソンゲを信じこませる。
「山賊と海賊を討伐し、15日間で国璽を取り戻せ」と王命がくだり、水軍長に選ばれたモ・フンガプは、ヨウォルを脅してクジラの捕獲を強制。一方、「イカれ虎」と名乗る山賊の頭になったチャン・サジョンも、噂を聞いてクジラ捕りを計画。一獲千金を夢見て、海を目指すのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
とにかく面白い! 韓国公開時に大ヒットしたのも納得の、痛快な海洋アクション・アドベンチャー大作です。高麗から朝鮮へと移り変わる時代を背景に、クジラに飲まれた国璽をめぐり、美しき女船長が率いる海賊と、クジラなんて見たこともない山賊たち、さらに王の命令を受けた水軍が入り乱れ、大海原での大決戦が繰り広げられます。コミカルな役柄は初めてというキム・ナムギルですが、飄々とした演技で楽しそう。一方、ソン・イェジンは危険なアクションシーンを見事にこなし、主演女優賞に輝いたのも納得。同じく助演男優賞のユ・ヘジンも、海賊のくせに船酔い体質で山賊に転身したものの、また海に出るはめになる男を絶妙に演じて笑わせてくれます。ストーリー展開や豪華キャストによるキャラクターの面白さに加えて、さらに秀逸なのが、大海原と巨大クジラをリアルに表現したVFX。『ミスターGO!』でゴリラのリンリンを生み出したDexter Studiosが担当しています。
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