つむぐもの(Tsumugumono)
story
福井県、越前。和紙職人の剛生(石倉三郎)は偏屈な性格で、妻を亡くして以来、誰とも心を合わせずに生きてきた。和紙組合理事長の石川(日野陽仁)や見習い職人の宇野(森永悠希)は、剛生の身体を心配して助手を取らせようとするが聞く耳持たずだ。しかし、不安が的中し、剛生が倒れてしまう。
韓国、扶余郡。何事にもやる気のないヨナ(キム・コッピ)は、仕事先でトラブルを起こして解雇され、自宅に閉じこもっていた。人付き合いが下手で、人生の目標も見つからない。自分を持て余していたヨナは、ワーキングホリデー制度の広告に惹かれ、日本へ行くことにする。
空港に着いたヨナを迎えたのは、案内人の金田(隆)。ヨナは彼と共に越前へと向かう。仕事は「和紙職人の家の住込みのお手伝いさん」。和紙作りの手伝いと勘違いしていたヨナは、剛生の日常生活のサポートを任されることになってしまう。脳腫瘍で半身麻痺になった剛生は、訪問介護を受けながら生活していたのだ。
一度は断ろうとしたヨナだが、偏見からヨナを受け入れようとしない剛生を見て気が変わり、引き受けることに。言葉も通じず、頑固な剛生と勝ち気なヨナはぶつかってばかり。介護施設「なごみ」を見学してアドバイスを受けたものの、介護もうまくいかない。しかし、常識にとらわれないヨナの介護は、次第に剛生の心を開いていく。
ヨナもまた、剛生の和紙の素晴らしさを聞いて、剛生の仕事に興味を持つようになる。そしてヨナは、ツアー観光客に向けた紙漉きの実演を企画。好評を得る。その晩、剛生とヨナは初めて日本酒とマッコリで乾杯するのだった。
●アジコのおすすめポイント:
味なバイプレイヤーとして活躍してきた俳優・石倉三郎さんの芸歴50周年にして初の主演作です。そんな石倉さんの相手役を演じるのが、『息もできない』で注目されて以来、アジアや日本の映画、日韓合作映画での活躍が増えているキム・コッピ。福井の丹南地域と韓国の扶余郡を舞台にした映画作りを任された犬童一利監督の手により、マジカルな共演が実現しました。「全部、監督の言うとおりにやるよ」という石倉さんに対し、自分で100%納得ができないと芝居しないキム・コッピ。その分、監督のプレッシャーも相当なものだったようですが、演じる上での二人の相性は抜群だったそうです。二人の頑固者が次第に心を開いていく物語ですが、そのきっかけとなったのが「介護」。本作では、二人の物語の背景として、若い介護福祉士の葛藤や現場での虐待など、「介護」における現実問題も描かれています。「介護」とは何か? 人が人生の最期まで尊厳を持って生きるということは? 主人公たちが育んだ絆や向き合い方に、1つの理想像が描かれているようです。
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