グレートウォール(長城/The Great Wall)
story
金や名声のため世界中を旅している傭兵ウィリアム(マット・デイモン)は、半年に及ぶ旅の末、部隊と共にようやくシルクロードの中国(宋)との国境近くまでたどり着く。だが、馬賊の襲撃で大勢が命を落とし、さらに真夜中に謎の獣に襲われる。ウィリアムは剣で獣の手首を切り落として退散させるが、生き残ったのはウィリアムとトバール(ペドロ・パスカル)だけだった。
翌日、再び馬賊に追われた二人は、馬でひた走り万里の長城にたどり着く。そこには長城を防衛する禁軍がいた。二人は武器を捨てて降伏。異国から来た彼らの処分を決める会議が開かれ、「即刻処刑すべき」という声が多数を占めるが、戦略を司るワン(アンディ・ラウ)の提言でシャオ将軍(チャン・ハンユー)は処刑を思い留まる。ウィリアムが獣の手を持っていたからだ。
獣の正体は、二千年前から60年に一度現れ、幾度となくこの国を襲ってきた伝説の怪物・饕餮(とうてつ) だった。万里の長城が築かれた最大の要因は、饕餮から都を守るためだとワンは二人に説明する。そのため、禁軍の全部隊が長城に集結していた。弓矢の名手ウィリアムは鶴軍の女性たちと長城の上で肝比べをし、美しいリン隊長(ジン・ティエン)と出会う。
ほどなく、饕餮が巨大な地響きと共に襲来してきた。遥か山々の向こうから、何万もの饕餮の大群が長城をめがけ、怒涛のごとく押し寄せてくる。禁軍の各部隊は様々な攻撃を仕掛け、ウィリアムとトバールも戦いに加わった。そして、なんとか襲撃の第一波をやり過ごすことに成功。饕餮の習性を確かめるため、饕餮の生けどり作戦が計画される。
一方、軍の中にはバラード(ウィレム・デフォー)という西洋人がいた。彼は英語とラテン語を教えていたが、ウィリアムたちと同じく黒色火薬を盗み出そうと画策していた。彼はウィリアムたちに協力関係を持ちかけるが、ウィリアムは拒否して軍に残る。禁軍の戦いに加わった彼は、亡くなったシャオ将軍から采配を任されたリンの気高い精神に打たれ、生き方を変える決意をしていたのだ。
アジコのおすすめポイント:
中国の名匠チャン・イーモウ監督のハリウッドデビュー作です。ずっとオリジナルによる文芸作品やアクション大作などを手がけ、ハリウッドからの誘いを断り続けてきたチャン・イーモウ。そんな監督が興味を示したのが、なんとモンスター映画だったとは! 今回は企画・原案・脚本すべてハリウッド仕立てですが、そこはチャン・イーモウ監督。舞台が万里の長城であり、中国ならではの文化や精神を表現できる、という点に惹かれての決断でした。キャスティングもマット・デイモンにアンディ・ラウと、東西の『インファナル・アフェア』組が初共演。ジン・ティエンのハリウッドデビュー作でもあり、中華圏の若手スターも総出演しています。中でもルハンとマットの絡みは見所。膨大な数で押し寄せる怪物の饕餮(とうてつ)は、中国の古典「山海経」に由来しています。15年に大ヒットした『モンスター・ハント』やルー・チュアン監督の『ドラゴン・クロニクル 妖魔塔の伝説』でも登場しますが、今回は怒ると額に文字が浮かび上がるなど、なかなかユニークな造形になっております。
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