台北ストーリー(青梅竹馬/Taipei Story)
story
台北市内のマンションの部屋をカップルが訪れる。幼なじみのアジン(ツァイ・チン)とアリョン(ホウ・シャオシェン)だ。二人は、過去にそれぞれいろいろあったものの、なんとなく付き合いが続いており、二人でこの部屋を買おうとしていた。アジンは家具の配置を考えて夢を膨らませ、アリョンはバッティングの素振りのフォームをしながら「内装に金がかかりそうだ」。「わたし、今度昇進するから大丈夫」とアジン。
アジンは不動産デベロッパーで働くキャリアウーマンだ。アリョンは、少年時代はリトルリーグのエースとして活躍。将来を嘱望されていたが、今は家業を継ぎ、廸化街で布地問屋を営んでいる。アジンは特別契約で働いており、昇進でポストが約束されていたが、会社が突然買収に遭い、契約を解除されてしまう。
居場所を見失ったアジンは、アリョンの義兄を頼ってアメリカに移住し、新たな生活を築こうと提案する。しかし、アリョンにはなかなか踏ん切りがつかなかった。ここには少年野球の仲間もいるし家業もある。一度は決心して、資金を作るために家を売るが、今度は昔気質のアジンの父親が事業に失敗。その肩代わりに奔走することになる。
二人の間にすきま風が吹き始める。アジンはある若者(スン・ポン)と親しくなり、友人たちと憂さ晴らしをしていた。若者はアジンにつきまとうようになり、アリョンから脅されるのだが…。
アジコのおすすめポイント:
台湾ニューウェーブの台頭初期、その流れを牽引していた二大巨匠のホウ・シャオシェンとエドワード・ヤンが、互いに異なる作風を持ちながらも製作・監督・脚本・主演でがっつりとコンビを組み、移りゆく当時の台北の姿を切り取った伝説的作品です。監督はエドワード・ヤン。先に4K版が公開された『[牛古]嶺街少年殺人事件』より6年遡る1985年の作品で、長編2作目にあたります。主人公は今と未来を生きるキャリアウーマンと、過去が捨てられない元野球選手。幼なじみの二人は、対照的な価値観を持ちながらも支え合って生きており、台北、台湾の姿を体現しています。ツァイ・チンは本作の主演後、ヤン監督と結婚。『[牛古]嶺街少年殺人事件』にも出演しましたが、95年に離婚。俳優として活動したのはこの時期だけで、ずっと歌手として活躍しています。一方、ホウ・シャオシェン監督は86年に香港ニューウェーブの旗手、シュウ・ケイ監督の『ソウル』にも出演しています。
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