ラスト・プリンセス ー大韓帝国最後の皇女ー
(徳恵翁主/The Last Princess)
story
1919年。「朝鮮」から「大韓帝国」へ変わった日本統治時代。第26代国王の高宗(ペク・ユンシク)は初代皇帝の座に就き、側室のヤン貴人(パク・チュミ)との間に生まれた7歳の娘、徳恵翁主(シン・リナ)を溺愛していた。
激動の時代、娘の将来を案じた高宗は侍従キム・ファンジン(アン・ネサン)の甥キム・ジャンハン(イ・ヒョジェ)を結婚相手にと考えるが、ジャンハンは独立運動家を目指しており、婚約を辞退した。そんな中、日韓併合条約に反発を抱いていた高宗が、幼い徳恵の目の前で毒殺に倒れる。暗殺を企てたのは、皇族の実務を担当するハン・テクス長官(ユン・ジェムン)だった。
1925年。成長した徳恵(キム・ソヒョン)とジャンハン(ヨ・フェヒョン)は友情以上の絆を育んでいた。しかし、朝鮮総督府により、徳恵は日本へ留学させられる。朝鮮人の魂を失わない皇女へ民衆の支持が集まるのを危険視しての措置だった。「勉強を終えたら必ず帰ってきます」母に約束した徳恵は、侍女ポクスン(ラ・ミラン)を伴って旅立つ。
数年後の東京。異母兄にあたる英親王(パク・スヨン)と妻イ・パンジャ(戸田菜穂)の邸宅で暮らしていた徳恵(ソン・イェジン)のもとに、陸軍少尉となったジャンハン(パク・ヘイル)が訪れ、二人は久しぶりの再会を喜ぶ。しかし、常にテクス長官が監視しており、徳恵は大学卒業後も帰国できないでいた。
甥のイ・ウ王子(コ・ス)はキム・ファンジンを団長にジャンハンら若き独立運動家を率い、英親王と徳恵を上海に亡命させようと計画する。そんなおり、母危篤の知らせが届き、一刻も早く帰国したい徳恵は、朝鮮労働者への演説をすることになるのだが…。
アジコのおすすめポイント:
イ・ソンゲによって開かれた李氏朝鮮が、どのようにして消滅していったのかがわかる作品です。日韓併合条約のもと、大日本帝国の植民地となった大韓帝国から、最後の皇太子や王女が日本へ移民(留学後、政略結婚させられている)させられ、その後、日本の敗戦により独立した韓国では皇族を排したため、朴正煕が大統領になるまで帰国できなかったのでした。そんなラスト・プリンセスの徳恵翁主(とっけおんじゅ)が、精神を病みながら老いて帰国を果たすまでが描かれています。監督のホ・ジノは、その時のドキュメンタリーをテレビで見て、本作を構想。シナリオに4年をかけ、映画的なフィクションも交えつつ完成させたのでした。主演のソン・イェジンとは『四月の雪』以来、11年ぶり。見事な成長を遂げ、本作で多数の主演女優賞を獲得しています。また、王女を支える男をパク・ヘイルが好演。政略結婚の相手・宗武志役で、日本語が達者なキム・ジェウクも登場します。余談ながら、ドラマ「オクニョ」でお馴染みのコ・スとパク・チュミの共演も注目です。
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