結婚(Kekkon)
story
「結婚しよう」出会ってひと月も経たないプロポーズに、家具店で働く麻美(中村映里子)は戸惑いながらも、初めて訪れた幸せに舞い上がっていた。だが、二人で暮らすマンションの敷金礼金として100万円を渡した直後、男は姿を消してしまう。彼の名は古海健児(ディーン・フジオカ)。端正なルックスに気の利いた会話、ミステリアスな瞳、どこか寂しげな横顔で、瞬時に女たちの心を奪う結婚詐欺師だ。
そんな手口で古海は、相棒のるり子(柊子)と結婚に憧れる女たちを次々と騙していた。金を分け合った後、古海はどこかへ消えていく。実は彼には、幸せな結婚生活があったのだ。妻の初音(貫地谷しほり)には営業の仕事をしていると嘘をつき、穏やかに暮らしている。それは、古海にとって、自分自身に戻れる大切な隠れ家だった。
るり子から、真奈(松本若菜)というキャリア志向の元編集者を新たなターゲットとして紹介された古海は、空間デザイナーとして彼女に近づいていく。実はるり子自身も、かつては古海に騙されていたのだが、途中で気づき、脅迫まがいでビジネス・パートナーになっていた。日に日に古海への執着が募っているが、古海は一定の距離を置き、自分のことは何も語らない。ただ、幼い男の子が鳥居の前で佇む古い写真を、いつも持ち歩いていた。
古海のビジネスが、初めて危機にさらされる。市役所に勤める鳩子(安藤玉恵)が、私立探偵の矢島(古館寛治)に古海探しを依頼したのだ。彼女はワインのテイスティング会で出会った古海に、田舎の母親が病気で手術代が必要だと言われ、100万円を渡していた。矢島は同じく古海探しをしている麻美を鳩子と引き合わせ、結婚詐欺のわりには100万円という被害額の少なさに首をかしげる…。
アジコのおすすめポイント:
今や日本中で「おディーン様」としてブレイクしてしまったディーン・フジオカの魅力をスクリーンに焼き付けようと、「あさが来た」のチーフ・ディレクター、西谷真一が井上荒野の原作を元に映画化した作品です。心に影を持つスマートな結婚詐欺師、という設定で、今までの健全なイメージを覆す挑戦と言われていますが、そういう意味では、ディーンが自ら初監督・主演した『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』の方が衝撃的でしょう。本作での見所は、やはり大人になったディーンの佇まい。オールバックにロングコートで海辺をさまよう、ちょっとレトロな男をミステリアスに演じられるようになった、というところ。さまざまな女優たちを相手に、女たちを翻弄しながら、実は自分自身が過去のトラウマに絡め取られていたという哀しい男を体現しています。台湾ドラマや映画でずっとディーンを観てきたアジクロ読者のファンの皆さんには新鮮に映ることでしょう。エンディングロールで流れるディーン自作自演の「Permanent Vacation」もなかなか聴かせてくれます。
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