ザ・キング(ザ・キング/The King)
story
木浦。窃盗を繰り返す暴力的な父(チョン・ソンモ)を持つパク・テス(チョ・インソン)は、ケンカ好きの不良学生として育つ。ところがある日、父親が検事の前で必死に許しを請う姿を見て衝撃を受け、検事になるという目標を持つ。人を動かす「真の力」を持つ人間になりたかったのだ。
以来、猛勉強を開始して名門大学に進学。兵役も済ませ、司法試験にも合格。新人検事となり地方都市で新生活を開始した。
金持ちの令嬢サンヒ(キム・アジュン)とも結婚。毎日30件もの事件処理に追われる多忙な日々が続いて2年目。さらに上を目指すために、未解決事件を洗い直すことに。高校教師による女生徒暴行事件が、元国会議員の父親のコネで揉み消されている事実をつかみ、その教師に罪を償わせようと動きだす。
いよいよという時に、先輩検事のヤン・ドンチョル(ペ・ソンウ)に呼び出される。初めてソウル中央地方検察庁を訪れたテス。彼はテスをある場所へと連れていった。そこは選ばれた人だけが集うペントハウス。中心にいるのは戦略部の部長検事ハン・ガンシク(チョン・ウソン)だ。彼は政財界の要人や芸能人をターゲットに、大衆が喜びそうなスクープを告発して名声を高めてきた。
「戦略部で働きたければ推薦してやる。その代わり、女生徒の暴行事件から手を引いてくれ」複雑な思いに駆られながらも、テスは「正義」より「出世」の道を選んでしまう。次期検事長の呼び声も高いガンシクに気に入られたテス。偶然に再会した幼なじみのチェ・ドゥイル(リュ・ジュニョル)は木浦の暴力団で働いており「汚れ仕事は俺に任せろ」とテスのサポートを申し出た。
政局や時勢の変化に応じて、勝つ方の権力に擦り寄って動くガンシクたち。そこには汚い手も使われていた。そうやって最高の人生が続くと思われた時、観察部が彼らの前に立ちはだかる…。
アジコのおすすめポイント:
と、物語が俄然面白くなるのは、この後半から。前半は社会的にも強くなりたい主人公が、トントン拍子に出世し、引き換えに当初は持っていた純粋さや正義感を失っていきます。ところが、その先に思わぬ落とし穴が。どん底まで落ちて再起不能と思われた彼が、どうやって生き返り、反撃していくのか。見所はズバリここでしょう。そこで初めてこのタイトルが生きてくるのです。『霜花店 運命、その愛』以来8年ぶりに映画復帰したチョ・インソンですが、この振幅の大きい主人公を、繊細かつ幅広い演技でこなす俳優に成長しています。そして、その親友を演じたリュ・ジュンヨルが出色。本作で多数の新人賞を受賞し、話題作『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』(4/21より公開予定)にも出演している彼は、赤マルチェックです。そのほか、チョン・ウソンを始めとする芸達者な俳優陣に支えられた本作。監督・脚本は『観相師』のハン・ジェリム。お見事です。
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