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軍中楽園

監督:ニウ・チェンザー
脚本:ツェン・リーティン、ニウ・チェンザー
撮影:チャーリー・ラム
編集:ミルク・スー、チェン・チュンフン
編集協力:ホウ・シャオシェン
美術:ホアン・メイチン
衣装:ファン・チールン、リー・ウェンスー、ガオ・ジアリン
VFX:ジェ・チョンソク
音響:トゥ・ドゥーチ
音楽:リー・チンチン
出演:イーサン・ルアン、レジーナ・ワン、チェン・ジェンビン、チェン・イーハン、ワン・ポーチェ、レイ・ジエシー(J.C)、ミャオ・クーリー、シー・チーディエン、リウ・カイチー

2014年/台湾
日本公開日/2018年5月26日
カラー/シネマスコープ/5.1ch/DCP/133分
字幕:神部明世
配給:太秦
(c)2014 Honto Production Huayi Brothers Media Litd. Oriental Digital Entertainment Co., Ltd. 1 Production Film Co. CatchPlay, Inc. Abico Film Co., Ltd.
2014年 台湾金馬奨 助演男優賞(チェン・ジェンビン)/
 助演女優賞(レジーナ・ワン)
2015年 中国語映画メディア大奨 百家傳媒年度致敬作品賞/
 最優秀助演男優賞(チェン・ジェンビン)
2015年 台北映画祭
 脚本賞(ツェン・リーティン、ニウ・チェンザー)/
 芸術貢献賞(ホアン・メイチン)

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p4

軍中楽園(軍中樂園/Paradise In Service)

story

 1969年、中国と台湾が対立していた時代。大陸からわずか2kmほどの距離にあり、砲撃が降り注ぐ中台攻防の最前線である金門島に、ルオ・バオタイ(イーサン・ルアン)が配属される。上陸直後、身体能力チェックでバオタイはエリート部隊に選抜されるが、訓練中に泳げないことが判明。831部隊に行くよう命じられる。

 831部隊とは、兵士たちを慰労する「特約茶室」を管理する部隊だ。噂には聞いていたバオタイだが、実際に出向いてみると、そこには「軍中楽園」と呼ばれる娼館が建っていた。故郷に婚約者がいて身持ちの堅いバオタイは、娼婦たちの管理者として適任だった。

 そこで働く娼婦たちは、台湾の民間募集で応募してきた者たちだった。事情は様々だが、皆「待応生」と呼ばれており、それぞれの部屋を持っている。利用する兵士たちは身分証を提示し、相手を選ぶと「娯楽票」を購入する。1枚が20分で、好みの女性がいる場合は複数枚を買う者もいた。

 大陸出身の上官で老兵のラオジャン(チェン・ジェンビン)は、小悪魔的なアジャオ(チェン・イーハン)に入れあげていた。故郷の許嫁に似ていたのだ。彼はアジャオと所帯を持つつもりでいた。一方、同期の親友で倉庫係に配属されたホワシン(ワン・ポーチェ)は、劣悪な環境で過酷ないじめに遭い、シャシャ(レイ・ジエシー)との愛に逃避していく。

 そんな中、バオタイは謎めいた女性ニーニー(レジーナ・ワン)と出会い、奇妙な友情を育んでいく。夜中にギターを弾いて歌う彼女は気高く、育ちの良さが現れていた。バオタイのもとに、純潔を誓った婚約者から別れの手紙が届いて愕然とした時も、ニーニーが慰めてくれた。彼は次第に彼女に惹かれていくのだが…。

アジコのおすすめポイント:

台湾に実在した公認の慰安部隊(民営による娼館だが、国防部により運営方法が定められていた!)を舞台に、兵士たちの悲哀をそこで働く女たちを通して描いたヒューマンドラマ。共産党と国民党による内戦の影響で大陸から台湾へ渡った父を持つニウ・チェンザー監督が、故郷を思いながらも帰ることが叶わなかった父の世代の悲しみを描いた作品です。結婚を制限されていた軍人が任地で暴走するのを防ぐ目的で作られたそうですが、このような施設がつい最近まで(1992年に廃止)実在したというのも驚きで、記念館もあるそうです。そのおかげで、映画では当時の様子がかなり忠実に再現されています。ここで描かれているのは、その是非ではなく、あくまで時代に翻弄された男女のドラマ。歴史の1ページとして当時の人々の無念に思いを馳せましょう。主演はニウ監督作品の常連、イーサン・ルアン。今回は軟弱で堅物の青年役を演じており、人間の不条理の部分を体現しています。歌声を披露するレジーナ・ワンは、リン・チーリンにも似た美女。アイビー・チェンあらためチェン・イーハンは『花様 〜たゆたう想い〜』に継ぐ娼婦役ですが、小悪魔的な女を熱演しています。ロケ地となった金門島の風景にもご注目ください。(監督インタビューはこちら)


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▼ニウ・チェンザー監督インタビュー ▼公式サイト