家族のレシピ(情牽拉麺茶/Ramen-Teh)
story
群馬県高崎市にある人気ラーメン店。行列のできるその店は、店長の和夫(伊原剛志)、その弟の明男(別所哲也)、そして和夫の息子である真人(斎藤工)の3人で切り盛りしている。しかし、和夫は妻を亡くしてから長い間心を閉ざしており、真人とも打ち解けていない。そんなある日、和夫が店で倒れて他界してしまう。
葬儀の後、真人は父の部屋で母の遺品を見つける。中には、真人が幼い頃の家族写真や、母の日記、シンガポールにいる叔父からの手紙が入っていた。真人の母メイリアン(ジネット・アウ)は中国系シンガポール人だった。父が懐石料理の板前としてシンガポールで働いていた時、地元の名物料理バクテーの店で母と出会ったのだ。
母の日記は中国語で書かれていた。自分も母が亡くなる10歳の頃まで、シンガポールの叔父の家で暮らしていた記憶がある。父と母に何があったのか? 日記には何が書かれているのか? 真人はシンガポールへ行く決意をする。
シンガポールで真人を迎えてくれたのは、ネットで知り合った現地在住のフードブロガー美樹(松田聖子)だ。現地グルメを楽しみながら、真人は彼女に母の日記を見せ、叔父の居場所を探したいと相談する。真人は叔父ウィー(マーク・リー)の作るバクテーが大好きだった。
美樹はウィーの店を探し出してくれた。感動の再会を果たした真人は、ウィーにバクテーの作り方を習うことにする。さらに、母の日記のこと、そして母と祖母(ビートリス・チャン)の間に何があったのかを尋ねるのだが…。
アジコのおすすめポイント:
美味しい料理や懐かしい味を通じて、家族との絆や愛を再確認する美味しいヒューマンドラマです。日本とシンガポールという、共に食文化の発展した国同士の外交50周年を記念して作られた作品ですが、さすがシンガポールを代表するエリック・クー監督。両方の文化や風景を巧みに取り入れ、美味しいグルメも紹介しつつ、それぞれの家族の物語をしみじみと描き出しています。89分とコンパクトな長さながら、何気ないシーンに心を打たれる不思議な作品。斎藤工の料理人姿も板についており、松田聖子の自然な演技も好感です。名優マーク・リーのコミカルな演技も味わい深く、最後は幸せな気分に浸れます。シネマート新宿ではふるまいスープが味わえる回もあるので、ぜひお見逃しなく!
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