マルリナの明日
(Marlina the murder in four acts)
story
インドネシアの僻村。荒野の一軒家にマルリナ(マーシャ・ティモシー)は一人暮らしている。玄関には息子の墓。部屋の隅には夫のミイラが鎮座している。この美しい未亡人マルリナに危機が迫っていた。バイクに乗った男が訪ねてきて「あと30分で仲間が来て、お前の金と家畜をいただく。それから7人全員でお前を抱く。今夜は祭りだな」
その夜、料理を作るよう命令された彼女は、毒の実を混ぜたスープを男たちにふるまう。彼らが次々と倒れる中、寝室で寝ていた首領のマルクス(エギ・フェドリー)にも食事を勧めるが、逆に襲われてしまう。マルリナは用意していたナタを、男の首をめがけて振り下ろす。
翌日、マルリナはバスで警察へ行こうとして、友人のノヴィ(デア・パネンドラ)と出会う。出産間近の彼女は、マルリナが手に男の首をぶら下げているのを見て驚く。乗車を拒む運転手をナタで脅すマルリナ。ほとんどの乗客は降りてしまい、マルリナは夫に会いに行くノヴィや甥の結婚式に馬を届けるという女たちと一緒に旅立つ。
その頃、別行動をとっていた強盗団の手下、ニコ(ハイダル・サリス)とフランツ(ヨガ・ブラタマ)がマルリナの家に戻ってきた。惨状を見た二人は、マルクスの首を取り戻すため後を追い、バスに追いつく。だが、マルリナは馬に乗って警察署に向かっていた…。
アジコのおすすめポイント:
美しい未亡人が身重の友人と共に強盗団相手に闘い、新たな未来を勝ち取っていく姿をウエスタン調で描いた斬新な作品です。一昨年の東京フィルメックスで上映され、見事グランプリ(同じインドネシアの若手女性監督カミラ・アンディニの『見えるもの、見えざるもの』とダブル受賞)に輝いています。インドネシア映画界を牽引するガリン・ヌグロホ監督から原案を託されたのは、新鋭女性監督モーリー・スリヤ。これが第3作目で、舞台となるスンバ島を西部に見立て、独自の演出手法でナシゴレン・ウエスタンに仕上げました。闘うヒロインを演じたのは『ザ・レイド GOKUDO』のマーシャ・ティモシー。妊婦役はオーディションでデア・パネンドラが選ばれています。有名なバリ島をはじめ、熱帯雨林のイメージが強いインドネシアに、こんな荒涼とした島があったとは! スンバ島の伝統や信仰(夫のミイラなど)をも盛り込み、コミカルかつハードボイルドなテイストで描かれた全く新しい女性映画。ぜひ、劇場で体感してください。
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