logo


ASICRO FOCUS file no.224

世界を賑わすアジアの精鋭たちが集合!
第18回東京フィルメックス(11/18−26)
東京Filmex

24 フレーム
クロージングはアッバス・キアロスタミ監督の『24 フレーム』

 いよいよ秋の2つ目の映画祭、第18回東京フィルメックスが11月18日から開幕します。開催期間は26日までの9日間。今年も世界の映画祭を賑わせているアジアの精鋭たちや、この映画祭で発掘された新鋭たちの最新作がずらりと揃いました。オープニングを飾るのは、2年前に国際審査員としても来日したシルヴィア・チャンが監督・主演した最新作『相愛相親』。クラシック作品の特別上映として1979年のキン・フー監督による傑作『山中傳奇』デジタル・リマスター修復版も19日に上映され、美しい幽霊役で出演しているシルヴィア・チャンがQ&Aに登場します。クロージングを飾るのは、昨年7月に惜しくも完成を待たずに急逝してしまったアッバス・キアロスタミ監督の『24 フレーム』。本作は今年のカンヌ映画祭でワールド・プレミア上映されました。

相愛相親

オープニングを飾る『相愛相親』

山中傳奇

シルヴィア・チャンが幽霊役を演じた『山中傳奇』

 その他、ジャ・ジャンクー監督がプロデューサーを務め、BRICS5カ国の監督たちが「時間」をテーマに競作したオムニバス作品『時はどこへ?』、ヴェネチア映画祭「ヴェニス・デイズ」部門のオープニングを飾ったタイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督によるノワール作品『サムイの歌』、プロデューサーから映画監督になったヴィヴィアン・チュウ監督の2作目『天使は白をまとう』、長編ドキュメンタリーで知られるワン・ビン監督がアルツハイマーに焦点を当てた『ファンさん』を上映。日本からは、今年のコンペティション部門審査委員長を務める原一男監督『ニッポン国 VS 泉南石綿村』園子温監督が連続ドラマを映画として編集した『東京ヴァンパイアホテル 映画版』が上映されます。

 コンペティション部門では、監督たちの個性が極まった9作品を上映。映画祭初のキルギス作品となる『馬を放つ』、ガリン・ヌグロホ監督の娘、カミラ・アンディニ監督の幻想的な『見えるもの、見えざるもの』、同じくガリン・ヌグロホ監督の原案をモーリー・スリヤが監督した『殺人者マルリナ』は、多国籍による製作が特徴となっています。麻薬撲滅運動が吹き荒れるフィリピンからは、『ローサは告発された』のその後を思わせる『暗きは夜』。中華圏からは、台湾のホァン・シー監督のデビュー作『ジョニーは行方不明』、中国のアーチスト、シュー・ビンの監督デビュー作『とんぼの眼』が揃いました。さらに中国からは2作品がエントリー。また、ロカルノ映画祭で知り合った日本とフランスの新鋭監督による共同作品も上映されます。全作品、ジャパンプレミア上映です。

時はどこへ?

チャオ・タオも出演している『時はどこへ?』
 クラシック作品では、「ドキュメンタリーの父」ロバート・フラハティ夫妻が南太平洋サモアの生活を描いた『モアナ』(1926年)のサウンド版(1980年)のデジタルリマスター版を上映。また、フランスに生まれ、ハリウッドへ渡ったジャック・ターナーを特集。ターナーのエッセンスが凝縮された『私はゾンビと歩いた!』(1943年)『夕暮れのとき』(1956年) が特集上映されます。また、期間中はシンポジウムやセミナー、イベントなどが予定されています。

■ラインナップの見方とご注意
*上映会場は会場別に色分けされています。時間は上映開始時間です。
*TはゲストによるQ&A、Aは舞台挨拶がある回。
*最新情報については公式サイトをこまめにチェックしてください。

特別招待作品

相愛相親 相愛相親
Love Education(17年/中・台/120分)
監督:シルヴィア・チャン
出演:シルヴィア・チャン、田荘荘
母の死を看取った娘は、母を父と同じ墓に入れるため田舎にある父の墓を移そうとするが、父の最初の妻に抵抗され波紋が巻き起こる。
*オープニング作品
18日:TCN1 19:10T
24日:YAH 15:20
G:シルヴィア・チャン

24フレーム 24フレーム
24 Frames(17年/イラン・仏/114分)
監督:アッバス・キアロスタミ
昨年7月に逝去したアッバス・キアロスタミの遺作。写真が撮られた瞬間の前、あるいは後はどうなっているのだろうか、というコンセプトに基づき、映画と写真の統合を試みた野心作。
*クロージング作品
25日:YAH 18:00
*上映前に授賞式あり
26日:TCN3 21:15

時はどこへ? 時はどこへ?
時間去ロ那儿了/Where Has Time Gone?
(17年/ブラジル・露・印・南ア・中/111分)
監督:ウォルター・サレス、アレクセイ・フェドルチェンコ、マドゥル・バンダールカル、ジャーミル・X・T・クベカ、ジャ・ジャンクー
「時間」をテーマに競作したオムニバス。
22日:YAH 15:40
26日:YAH 16:40

サムイの歌 サムイの歌
Samui Song
(17年/タイ・独・ノルウェー/108分)
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
出演:チャーマーン・プンヤサック
30代のテレビ女優の夫婦生活は、外国人の夫が仏教系の新興宗教に帰依したことから暗転する。
21日:YAH 18:20T
24日:YAH 12:40

G:ペンエーグ・ラッタナルアーン

天使は白をまとう 天使は白をまとう
嘉年華/Angels Wear White(17年/中国/107分)
監督:ヴィヴィアン・チュウ
出演:ヴィッキー・チェン、チョウ・メイチュン
少女への性的暴行事件が発生したリゾート地のモーテル。フロントで夜勤していた女性はオーナーの圧力で嘘の証言をするのだが…。
20日:YAH 13:20T
24日:YAH 18:30

G:ヴィヴィアン・チュウ

ファンさん ファンさん
方[糸肅]英/Mrs.Fang(17年/香・仏・独/87分)
監督:ワン・ビン
アルツハイマー病で寝たきりになり、ほとんど表情にも変化が見られない老女と周囲の人々。本年のロカルノ映画祭で金豹賞を受賞したワン・ビンの最新作。
22日:YAH 10:00
23日:YAH 13:00

ニッポン国VS泉南石綿村 ニッポン国VS泉南石綿村
Sennan Asbestos Disaster(17年/日本/215分)
監督:原一男
『全身小説家』以来23年ぶりの原一男のドキュメンタリーであり、「大阪・泉南アスベスト国賠訴訟」の8年間にわたる記録。裁判闘争や原告たちの人間模様を描出する。
25日:YAH 10:00AT
G:原一男

(c)疾走プロダクション

東京ヴァンパイアホテル 映画版 東京ヴァンパイアホテル 映画版
Tokyo Vampire Hotel(17年/日本/142分)
監督:園子温
出演:夏帆、満島真之介、冨手麻妙
Amazonプライムの連続ドラマ作品の特別編集版。新宿で大量殺人に遭遇するマナミは、吸血鬼の一族が建設したホテルに監禁されてしまう。
23日:YAH 17:50T
G:園子温

(c)2017 NIKKATSU

特別招待作品 フィルメックス・クラシック

モアナ(サウンド版) モアナ(サウンド版)
Moana with Sound(1926,1980年/米/98分)
監督:ロバート・J・フラハティ、フランシス・H・フラハティ、モニカ・フラハティ
「ドキュメンタリーの父」ロバート・フラハティが妻と共同監督で南太平洋サモアの生活を描いたサイレント映画の傑作。
11/26:YAH 13:50

2014 Bruce Posner-Sami van Ingen. Moana (c)1980 Monica Flaherty-Sami van Ingen. Moana (c)(p)1926 Famous Players-Laski Corp. Renewed 1953 Paramount Pictures Corp.

山中傳奇 山中傳奇
山中傳奇/ Legend of the Mountain
(79年/台湾/191分)
監督:キン・フー
出演:シー・チュン、シュー・ファン
死んだ兵士の霊を鎮める儀式に使う経典を清書する命を帯びた若い僧が遭遇する、奇怪な出来事の数々を描いたキン・フーの傑作。
11/19:YAH 14:30T
G:シルヴィア・チャン

コンペティション作品

馬を放つ 馬を放つ
Centaur
(17年/キルギスタン・仏・独・蘭・日/89分)
監督:アクタン・アリム・クバト
キルギスの草原地帯の村。村人から「ケンタウロス」と呼ばれる男は古くからの伝説を信じ、夜な夜な馬を盗んでは野に放つが…。
22日:YAH 18:50T
G:アクタン・アリム・クバト

見えるもの、見えざるもの 見えるもの、見えざるもの
The Seen and Unseen
(17年/インドネシア・蘭・奥・カタール/86分)
監督:カミラ・アンディニ
ガリン・ヌグロホの娘カミラ・アンディニがバリ島の伝説をモチーフに作り上げた幻想譚。現実と幻想が混淆した神話的な世界が美しい。
23日:YAH 10:40
25日:TCN3 21:15T
G:カミラ・アンディニ

殺人者マルリナ 殺人者マルリナ
Marlina the Murderer in Four Acts
(17年/インドネシア・仏・マレーシア・タイ/95分)
監督:モーリス・スリヤ
強盗団に襲われ、彼らを殺害したマルリナは、自らの正当性を証明するため、はるか離れた町の警察署に向かうが…。
20日:YAH 16:20
24日:TCN3 21:15T
G:モーリス・スリヤ

暗きは夜 暗きは夜
Dark is the Night(17年/フィリピン/107分)
監督:アドルフォ・アリックス Jr
出演:ジーナ・アラヤ、フェリックス・ロコ
路上での射殺という過激な麻薬撲滅運動が吹き荒れるフィリピン。麻薬取引に手を染めていた主婦サラは真っ当な仕事に就こうと努力するが…。
21日:TCN3 21:15
26日:YAH 10:30T
G:アドルフォ・アリックス Jr

ジョニーは行方不明 ジョニーは行方不明
強尼・凱克/Missing Johnny
(17年/台湾/105分)
監督:ホァン・シー
出演:クー・ユールン、リマ・ゼイダン
同じ男あての間違い電話を何度も受けた若い女性は、次第にこの男のことが気になってくる。
19日:TCN3 21:15
22日:YAH 12:40T
G:ホァン・シー

とんぼの眼 とんぼの眼
蜻蛉之眼/Dragonfly Eyes
(17年/中国/82分)
監督:シュー・ビン
中国の現代美術界の旗手、シュー・ビンの初監督作品。尼僧修行をやめ、俗世間に戻った若い女性。彼女を一方的に愛していた若者は…。
20日:TCN3 21:15
24日:YAH 10:00T
G:シュー・ビン

シャーマンの村 シャーマンの村
跳大神/Immortals in the Village
(17年/中国/109分)
監督:ユー・グァンイー
寒村のシャーマンたちの生活を4年以上にわたって追った画期的ドキュメンタリー。それは近いうちに消滅してしまう文化の記録でもある。
21日:YAH 11:20T
23日:TCN3 21:15
G:ユー・グァンイー

氷の下 氷の下
氷之下/The Conformist(17年/中国/126分)
監督:ツァイ・シャンジュン
出演:ホァン・ボー、ホァン・ルー、ソン・ジア
警察へのタレコミで生きる男。強盗殺人事件が起こり、自分に嫌疑がかかることを恐れた彼はロシアに逃亡する。撮影はユー・リクウァイ。
21日:YAH 14:40T
22日:TCN3 21:15
G:ツァイ・シャンジュン

泳ぎすぎた夜 泳ぎすぎた夜
The Night I Swam(17年/日・仏/79分)
監督:五十嵐耕平、ダミアン・マニヴェル
出演:古川鳳羅、古川蛍姫
雪に覆われた冬の青森。早朝の魚市場で仕事をする父親に絵を届けるため、6歳の少年は通学路を外れ、小さな冒険を始める。
19日:YAH 19:10T
G:五十嵐耕平
  ダミアン・マニヴェル

(c)2017 MLD Films / NOBO LLC / SHELLAC SUD


■過去の特集 2016|201520142013201220112010200920082007200620052004
更新日:2017.11.26
●back numbers

■会場リスト

YAH:有楽町朝日ホール
TCN:TOHO シネマズ日劇


■チケット情報
全席指定・各回入替制

前売券
・限定早割1000円
 (11/3-9)終了
 *平日17時以前上映開始作品
・前売一般/1300円
・前売U-25割/1000円
 (11/3-17)販売中

当日券(指定席)
・一般/1800円
・U-25割/1300円
 *年齢確認あり
販売

有楽町朝日ホール
・セブンイレブン店内のマルチ
 コピー機で購入
 *座席エリア選択
 (座席は自動指定)
セブンチケット
 *店頭で支払い&発券
 *座席選択可・手数料108円

TOHOシネマズ 日劇
・ネット通販「vit」
・日劇チケットカウンター
■シンポジウム
国際批評フォーラム
映画批評の現在、そして未来へ

日時:11/19 12-14時
場所:有楽町朝日ホール
1部:基調講演
ジャン=ミッシェル・フロドン
(仏/映画評論家)
2部:パネルディスカッション
■トークイベント
字幕翻訳セミナー
日時:11/19 18:00-19:05
場所:有楽町朝日ホール
   スクエアB
講師:齋藤敦子
  (映画評論家、字幕翻訳家)
   樋口裕子
  (字幕文化研究会、翻訳家)
トークショー
日時:11/20 18:50-(40分)
場所:有楽町朝日ホール
登壇:黒沢清(映画監督)
   篠崎誠(映画監督)
*『私はゾンビと歩いた!』
 上映後
レクチャー:オープンキャンパス
世界の映画祭を活用する広報戦略

日時:11/23 13:00-14:00
場所:有楽町朝日ホール
   スクエアB
登壇:リチャード・ローマンド氏
(コミュニケーション・ストラテジスト、フィルム・プレス・プラス代表)
国際批評フォーラム
フィードバック

日時:11/26 12:40-13:40
場所:有楽町朝日ホール
   スクエアB
登壇:齋藤敦子
  (映画評論家、字幕翻訳家)
   古賀重樹
  (日本経済新聞社
   文化部 編集委員)

■その他の特集上映
ジャック・ターナー
・私はゾンビと歩いた!(1943)
・夕暮れのとき(1956)
お問合せ
ハローダイヤル Info.
TEL/03-5777-8600
8:00-22:00
東京Filmex公式サイト
■受賞結果
■最優秀作品賞
殺人者マルリナ
監督:モーリー・スリヤ
見えるもの、見えざるもの
監督:カミラ・アンディニ

■観客賞
ニッポン国VS泉南石綿(いしわた)村
監督:原一男
■学生審査員賞
泳ぎすぎた夜
監督:ダミアン・マニヴェル
   五十嵐耕平
■タレント・トーキョー・
 アワード2017
I wish I could HIBERNATE
監督:ゾルジャーガル・
   ピュレヴダッシュ    (モンゴル)
■スペシャル・メンション
Doi Boy
監督:スパッチャ・ティプセナ
   (タイ)