めまい 窓越しの想い(めまい/Vertigo)
story
ソヨン(チョン・ウヒ)は高層ビルの42階でグラフィックデザイナーとして働いている契約社員だ。1年前、再婚した母のもとから逃げるようにソウルへ出て来た。契約更新の時期が迫り後輩はピリピリしているが、ソヨンは女性社員に人気のあるバツイチのイ・ジンス次長(ユ・テオ)と密かに付き合っており、結婚を意識していた。
だが、ジンスはソヨンに息子を紹介する気はなさそうだ。横浜への出張前で忙しいジンス。残業時、真夜中のオフィスで関係を続けていた二人だが、最近は避けられているようにも感じる。一方、深夜でも平気で金の普請の電話してくる母親にも苛立っていた。高層階のオフィス。整然と並ぶ蛍光灯。モニターの光。ソヨンは仕事中にたびたび眩暈を覚え、耳鼻科で治療を受けている。
そんなソヨンが踊り場で休んでいた時、窓の外に高層ビルの清掃をする青年グォヌ(チョン・ジェグァン)がいた。命綱をつけて屋上から降りてくる危険な仕事だ。グォヌは会社近くにある大型書店でもバイトしており、ピエロに扮して入口の天井からフロアを見渡していた。ある日、店でソヨンを見かけたグォヌは、彼女が眺めていたアルゼンチンのガイドブックを購入。オフィスに忍び込む。
ソヨンがデスクに戻ると、「忘れ物です」というメモと共に、そのアルゼンチンの本と頭痛薬が置いてあった。それ以降、グォヌは密かにソヨンを見守り、彼女の悲しみを慰めたり、危険から救ったりするようになる…。
アジコのおすすめポイント:
都会の傷ついたOLと、そんな彼女をそっと見守っていた青年が出会うまでの物語を、毎日のお天気と心の風景にそってじっくりと描いたヒーリング・ラブストーリーです。主人公は家庭環境にも問題があるようで、逃げるように都会に出て、契約社員として高層ビルの高層階で働く日々。職場で人気のバツイチエリートと密かな恋愛関係にあるけれど、彼との関係も不安定。どこにも安らげる居場所がない彼女は、身体に不調が出てしまい…でも、そんな彼女を見守っている青年がいた。大丈夫、あなたは誰かに守られている、と人生を励ましてくれます。寓話的な物語を作り上げたのは、脚本も手がけたチョン・ゲス監督。主人公を『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』以来、その透明感でさまざまな役柄を演じてきたチョン・ウヒが演じます。彼女を翻弄するエリート役は海外でも活躍するユ・テオ。そして、窓の外から印象的な眼差しを向ける青年をドラマ「サイコだけど大丈夫」で注目された新人のチョン・ジェグァンが演じています。ちなみにアジコは高所恐怖症ですが、高層ビルで働いたこともあり、あの不安定な感覚がなんとなくわかります。台湾の絵本作家ジミーの作品世界にも通じる素敵な作品です。
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