story
香港ポップスシーンで一時代を築いたシンガーソングライター、デニス・ホー(何韻詩)。2018年、彼女はニューヨークで初の小さなコンサートを開いた。会場には中華圏から多数のファンが詰めかけ、デニスは慣れ親しんだモントリオールの風景を歌って感極まり、ファンが一緒に歌ってくれた。家族や仲間に見守られた幸せなステージ。新たなる第一歩。
2019年6月、デニスは再びデモの最前線に立った。2014年の雨傘運動にも参加したデニスは逮捕され、中国のブラックリストに入っている。だが「逃亡犯条例改正」に対する香港市民の大きなうねりに動かされ、暴力ではなく話し合いを求め、国連やアメリカ議会で香港の危機的状況を訴えていた。
デニスは1977年に香港で生まれ、11才の時に家族と共にカナダへ移住する。9才の時、コンサートで見た香港ポップス界の大スター、アニタ・ムイ(梅艷芳)に夢中になり、歌手の道をめざす。1996年、香港の歌謡コンテストに出場したことがきっかけで、芸能界入り。敬愛するアニタ・ムイの愛弟子となり、アルバムやコンサートにも参加。自身のレーベルも立ち上げる。
2003年にアニタが亡くなった後は、アニタのステージを踏襲しながらも自身のスタイルを探っていく。女優としても活躍し、チャリティ基金を立ち上げるなど社会運動にも積極的に参加。中国大陸にも多くのファンを持ち、多数のCFに出演していた。そして2012年、LGBTパレードに参加して、同性愛者としてカミングアウトする。
しかし、2014年の雨傘運動で逮捕された後、中国から封殺され、レコード会社やCFスポンサーも離れていった。だが、彼女は諦めない。セルフプロデュースで音楽活動を続け、小さなスポンサーを見つけて道を切り開いていく…。
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