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デニス・ホー  ビカミング・ザ・ソング

デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング
(Denise Ho Becoming The Song)


監督・脚本・制作:スー・ウィリアムズ
製作総指揮:ヘレン・シウ
共同製作:ジュディス・ヴェッキオーネ
共同制作:ヌシャ・ベイラン
オリジナル音楽:チャールズ・ニューマン
撮影:ジェリー・リシウス
編集:エマ・モリス
登場:デニス・ホー(何韻詩)、アニタ・ムイ(梅艷芳)、アンソニー・ウォン(黄耀明)、デニスの家族、スタッフ

2020年/アメリカ
日本公開日:2021年6月5日
カラー/DCP/83分/ドキュメンタリー
字幕:西村美須寿
字幕監修:Miss D
協力:TOKYO FILMeX、市山尚三
資料監修:江口洋子
配給:太秦
© Aquarian Works, LLC

ポスター

story

 香港ポップスシーンで一時代を築いたシンガーソングライター、デニス・ホー(何韻詩)。2018年、彼女はニューヨークで初の小さなコンサートを開いた。会場には中華圏から多数のファンが詰めかけ、デニスは慣れ親しんだモントリオールの風景を歌って感極まり、ファンが一緒に歌ってくれた。家族や仲間に見守られた幸せなステージ。新たなる第一歩。

 2019年6月、デニスは再びデモの最前線に立った。2014年の雨傘運動にも参加したデニスは逮捕され、中国のブラックリストに入っている。だが「逃亡犯条例改正」に対する香港市民の大きなうねりに動かされ、暴力ではなく話し合いを求め、国連やアメリカ議会で香港の危機的状況を訴えていた。

 デニスは1977年に香港で生まれ、11才の時に家族と共にカナダへ移住する。9才の時、コンサートで見た香港ポップス界の大スター、アニタ・ムイ(梅艷芳)に夢中になり、歌手の道をめざす。1996年、香港の歌謡コンテストに出場したことがきっかけで、芸能界入り。敬愛するアニタ・ムイの愛弟子となり、アルバムやコンサートにも参加。自身のレーベルも立ち上げる。

 2003年にアニタが亡くなった後は、アニタのステージを踏襲しながらも自身のスタイルを探っていく。女優としても活躍し、チャリティ基金を立ち上げるなど社会運動にも積極的に参加。中国大陸にも多くのファンを持ち、多数のCFに出演していた。そして2012年、LGBTパレードに参加して、同性愛者としてカミングアウトする。

 しかし、2014年の雨傘運動で逮捕された後、中国から封殺され、レコード会社やCFスポンサーも離れていった。だが、彼女は諦めない。セルフプロデュースで音楽活動を続け、小さなスポンサーを見つけて道を切り開いていく…。

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アジコのおすすめポイント:

香港エンタメファンなら知らない人はいないホック(HOCC)ことデニス・ホー(何韻詩)のドキュメンタリー作品です。昨年の東京フィルメックスで初上映され、どこかで配給してくれるといいねえ…なんて話していたのですが、めでたく日本公開となりました。監督は中国で映画制作をしていたアメリカ人の女性監督スー・ウィリアムズ。2017年にデニスに紹介されたのがきっかけで、彼女と話しているうちに興味を持ち、撮影を始めたとのこと。デニスの生い立ちからモントリオール時代、デビューからスターダムにのし上がるまでの軌跡も追ってあり、デニスの個人史としても興味深い内容です。素敵なご両親や一緒に音楽活動をしているお兄さん、憧れの人で恩師でもあるアニタ・ムイ(梅艷芳)、音楽仲間で同志仲間でもあるアンソニー・ウォン(黄耀明)も登場し、香港の音楽史も垣間見ることができます。日本では彼女が出演したジョニー・トー監督の『奪命金』(2011)が公開されており、緊張感のある演技が印象に残っています。香港では同性愛者であることをカミングアウトした初の女性スターとしても知られていますが、社会活動も盛んに行なっており、2014年の雨傘運動にも参加。それによって、音楽の仕事がどうなっていったか…も紹介されます。しかし音楽活動を諦めることはなく、ファンや仲間たちと力を合わせてインディーズ活動を続けています。そして、世界を驚かせた2019年。撮影は2019年末で終わり、2020年3月に完成しました。その後の状況は皆さんご存知の通りで、残念ながら本作は香港では上映されていません。小柄だけど勇ましくてカッコいいデニスの歴史と喜怒哀楽、困難に立ち向かう姿を見られる、この貴重な機会をどうぞお見逃しなく。今のデニスの元気な様子は公式Facebookでご覧ください。彼女と一緒にこれからの香港を見守っていきましょう。

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▼公式サイト ▼予告編