logo

HHH:侯孝賢 デジタルリマスター版

監督:オリヴィエ・アサイヤス
撮影:エリック・ゴーティエ
編集:マリー・ルクール
出演:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)、チュウ・ティェンウェン(朱天文)、ウー・ニェンチェン(呉念真)、チェン・グオフー(陳国富)、ドゥー・ドゥージー(杜篤之)、ガオ・ジエ(高捷)、リン・チャン(林強)

1997年/仏・台
日本公開日:2021年9月25日
カラー/ヴィスタ/ステレオ/DCP/92分
配給:オリオ・フィルムズ
配給協力:トラヴィス
© TRIGRAM FILMS
1998年 台湾国際ドキュメンタリー映画祭 正式出品作品
2019年 東京フィルメックス
 特別招待作品(フィルメックス・クラシック)


p11

© Eric Gautier

poster

HHH:侯孝賢 デジタルリマスター版
(HHH:A portrait of Hou Hsiao Hsien)

film

 1997年、世界の巨匠たちに映画監督がインタビューを行うフランスのTVシリーズ「われらの時代の映画」という番組のために、台湾ニューシネマをフランスに紹介してきたオリヴィエ・アサイヤス監督が台湾を訪れ、素顔のホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督に迫った。

 当時、ホウ・シャオシェン監督は『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(98)の脚本を執筆中だった。監督は少年時代の思い出から話し始める。1947年、中国の広東省で生まれた監督は、父親の仕事の都合で1歳の頃、台湾へ移住。『童年往時 時の流れ』(85)では腕白だった少年時代と父親の印象が綴られている。

 少年時代を過ごした鳳山では懐かしい人々と再会。旧知の人々が親しみを込めて監督を「アハ」と呼ぶ。高雄ではゴロツキが集まるような場所に出入り。家族を心配させたという。その後、兵役を経て、映画界へ進む決心をしたホウ青年は、映画学校を出て俳優の道へ。歌謡コンテストに挑戦するも予選落ちし、製作サイドへ進むことになる。

 当時の台湾は商業映画が真っ盛り。ホウ監督の初期2作品も商業映画としてヒットし、84年に転機となった『冬冬の夏休み』を撮影。脚本家チュウ・ティエンウェン(朱天文)の短編小説が原作となっており、その後、二人は監督&脚本家としてコンビを組むことになる。

 茶館で当時を語る、チュウ・ティエンウェンとウー・ニェンチェン(呉念真)。さらに、チェン・グオフー(陳国富)と、台湾ニューシネマを牽引してきた映画人たちへのインタビューが続く…。

アジコのおすすめポイント:

アジコがアジアの沼…ではなく、アジアの海へ目を開いた最初のきっかけは、ホウ・シャオシェン監督の『悲情城市』でした。そのホウ・シャオシェン監督の監督デビュー40周年を記念した台湾巨匠傑作選2021「ホウ・シャオシェン大特集」。本来なら昨年開催されるはずだったのですが、コロナ禍により今年の春、4/17−6/11の日程で新宿 K's cinema にて開催されました。その時にデジタルリマスター版で特別上映されたのが、商業映画として成功した監督第2作の『風が踊る』。そして劇場プレミア上映された本作です。その時に好評だったため、今回はロードショー公開となりました。同時に、本作の監督であるオリヴィエ・アサイヤス監督の『パーソナル・ショッパー』(17)『冬時間のパリ』(18) と、特集上映時のホウ・シャオシェン監督作10本も9/25-10/22の期間に上映されます。見逃した方はチャンスですよ。

さて、本作。ホウ・シャオシェン監督がデビュー以来、精力的に映画に挑戦を続けていた17年間の軌跡が語られています。そのエネルギッシュな制作スタイルと、その源とも言える少年時代やバックグラウンドが惜しげもなく語られます。親友でもあるアサイヤス監督だからこそ、引き出せた話かもしれません。そして、皆、若い。今でこそ音楽家として有名なリン・チャンですが、最初に知ったのは俳優としてだったなあ…と思い出しました。当時のホウ・シャオシェン監督は、台湾の持つ原始的でオス的パワーに惹かれていますが、「今後は女性が強くなる」と予言したように、このあとに作られた作品の主演はスー・チーが中心。女性が主役になっていくのですね。ラストはなんと、歌手になりたかった監督のカラオケシーンで終わっております。歌っているのは懐メロ。88年にリリースされたチャン・ユーハン(姜育恒)の「跟往事干杯」。元歌は日本でも人気の高いあの曲です。やっぱり男気のあるメロディが好きなんですねえ。


p2p3p4

p5p6p7

p8p9p10

▼公式サイト ▼予告編