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囚人ディリ

囚人ディリ(Kaithi)


監督:ローケーシュ・カナガラージ
脚本:ローケーシュ・カナガラージ、ポン・パールティバン
撮影:サティヤン・スーリヤン
編集:フィローミンラージ
スタント振付:アンバリヴ
美術:N・サティーシュクマール
音楽:サム・C・S
出演:カールティ、ナレーン、ジョージ・マリヤーン、アルジュン・ダース、ハリーシュ・ペーラディ、ディーナー、ベイビー・モーニカー

2019年/インド
日本公開日:2021年11月19日
カラー/シネスコ/5.1ch/タミル語/145分/PG12
字幕:大西美保
配給:SPACEBOX
©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures
2019年 南インド国際映画祭(SIIMA)2019
 タミル語作品部門 作品賞
 主演男優賞(カールティ)
 悪役賞(アルジュン・ダース)
 助演男優賞(ジョージ・マリヤーン)
2020年 アーナンダ・ヴィガダン映画賞
 助演男優賞(ジョージ・マリヤーン)
 スタント振付賞(アンバリヴ)
2020年 ノルウェー・タミル映画祭
 主演男優賞(カールティ)
2020年 Zee Cine アワード・タミル2020
 人気監督賞(ローケーシュ・カナガラージ)
 助演男優賞(ジョージ・マリヤーン)
 悪役賞(アルジュン・ダース)
 スタント振付賞(アンバリヴ)

poster


story

 マザーテレサ養護施設。10歳の少女アムダ(ベイビー・モーニカー)は「明日、大事な人が来るから早く寝なさい」と言われる。両親のいない自分に誰が会いに来るのだろう?アムダは不安と期待で眠れない夜を過ごす…。

 南インドのティルチ。その夜、麻薬特捜隊の隊長ビジョイ(ナレーン)は、右腕を負傷しながらも、2年以上かけて追っていたアダイカラム(ハリシュ・ウタマン)が率いる麻薬組織から、900キロのコカインと武器を押収。英国式建築の堅牢な警察本部にある秘密の地下室に運び込む。

 一方、コカインを奪われたアダイカラムの弟アンブ(アルジュン・ダース)は情報を漏らした疑いのある部下を詰問。そこへ男から電話が入り、コカインの在り処を教える代わりに分け前をくれと取引を要求。さらに、組織に警察が潜入していると伝える。電話の男はなんと、麻薬捜査局のステファン・ラージ局長(ハリーシュ・ペーラディ)だった。

 アンブは捜査を主導した警察の名前を聞き出し、皆殺しにするよう腹心の部下サンパト(カンナ・ラヴィ)たちに命じる。ところが、彼こそ2年も潜入を続けている捜査官アジャースだった。濡れ衣を着せられた男が処刑され、彼は捜査から離脱したくなるが、ビジョイの説得で耐えていた。

 その夜は警察長官のゲストハウスで退官パーティが開かれていた。作戦から戻ったビジョイは長官に報告。パーティが始まるが、警察に潜入しているアンブの手下パンディが酒に鎮静剤を混入させ、警察たちが次々と倒れていく。たまたま酒を飲まなかったビジョイは危機を察知。ケータリングのトラックで警察たちを病院へ運び、警察本部へ急ぐことにするが、運転できる者がいない。

 ビジョイは、IDがなく不審者として車に拘留されていたディリ(カールティ)に目を付ける。彼は終身刑を減刑され、10年ぶりに刑務所から出所したばかり。翌日は娘に会いに行く予定だった。巻き込まれたくなかったが、ビジョイは半ば脅迫して協力させる。ディリは道案内のためトラックの持主の若者カーマッチ(ディーナー)も同行させる。

 その頃、ティルチ警察本部に、ナポレオン巡査(ジョージ・マリヤーン)が転任してくる。飲酒運転で捕まった学生とその友人たち5人もいた。ビジョイは電話で、警察本部の門を閉め、建物の入り口を全部塞ぐようナポレオン巡査に命令。学生たちにも協力させる。

 荷台の警察の中にパンディも混じっていた。トラックのディリたちと警察本部。長い闘いの一夜が始まる…。

アジコのおすすめポイント:

インドからまたまた、斬新で骨太なアクション・エンターテインメント作品が登場しました! インド映画ファンだけでなく、アクション映画ファンも必見です。ストーリー紹介がいつにも増して長いのは、主人公が登場するまでに結構時間がかかるのと、それまでの展開がわかっていないと十分に楽しめないから。警察と組織の相互潜入ドラマ、深夜のトラック輸送劇、巡査と大学生たちが知恵を絞る籠城戦と、3つのドラマが同時進行で楽しめます。さらに、ハードなシーンだけでなく、父親とまだ見ぬ幼い娘との再会というハートフルなドラマが根底にあり、親子情の泣けるシーンもあり。主人公と警察やケータリング屋の若者との絆も描かれ、バディものとしても楽しめます。ラストのガトリングガンの激射シーンまで一気にお楽しみください。こんな驚異的な作品を作ったのは、銀行員出身で16年に監督デビューした新鋭ローケーシュ・カナガラージ。群像劇を得意としており、主演のカールティが興味を示したおかげで、豪華な本作が誕生。今やトップ監督の一人になっています。SFXに頼らず肉弾戦が中心になっているアクションも見ものです。また、警察本部で活躍する巡査を演じたジョージ・マリヤーン(『神様がくれた娘』)が多数の助演男優賞を受賞しているのも納得。唯一のつっこみどころは、エンディング(平和なシーンなんだけど、ちょっと変?)かもしれませんが、これ、ラスボスが意味深な言葉を残して終わるので、続編を待つことになりそうです。まずは、劇場でご堪能ください。


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▼公式サイト ▼予告編