COME & GO カム・アンド・ゴー(Come & Go)
story
大阪、梅田北区。桜の季節。印刷工場で働くナム(リエン・ビン・ファット)は悩んでいた。母親が病気になりベトナムへ帰国したいが、契約を盾に帰らせてもらえないのだ。同じ工場で働くミャンマーからの留学生ミミ(ナン・トレイシー)は、学費が払えなくて困っている。
中崎町の古い木造アパートに警察が集まり騒動になっていた。白骨化した老女の死体が見つかったのだ。近所に住む一人暮らしの飯田(桂雀々)が取材に応じる。彼は、SNSでレンタルおじさんを始め、便利屋として慕われている。だが、息子は彼にアジアへの移住を勧める。
警察の富岡(千原せいじ)の妻、佳子(渡辺真知子)は日本語学校で先生をしており、カフェで働く生徒のネパール人モウサム(モウサム・グルン)と不倫している。モウサムはネパールレストランを開く夢を持っていた。
台湾から、日本のAVオタクのシャオカン(リー・カンション)が大阪へ遊びにやって来る。中国からは買い物ツアー客が押し寄せ、ツアーに馴染めないラオファン(ゴウジー)は単独行動。道に迷ってシャオカンに助けられる。
在日韓国人のリー(イ・グァンス)は釜山から風俗嬢たちを大阪に呼び寄せ、香港から移住してきたチョン(デイヴィッド・シウ)とイカサマビジネスの手を組むが…。
徳嶋から大阪に出てきたマユミ(兎丸愛美)はAV会社の竜司(尚玄)に騙されて逃げ、出会いカフェの娘からホステスの仕事を紹介されるが酒が飲めない。追い出されたところをコインランドリーで会った、マレーシアから出張中のエリート、ウィリアム(J・C・チー)に救われる。
日米ハーフのケンジ(望月オーソン)は夜勤の仕事に遅刻してばかり。ぶらぶらした挙句、やばい仕事に手を出してしまう…。
アジコのおすすめポイント:
大阪でキタと呼ばれる梅田北区を舞台に、そこで働くアジア系の労働者、留学生、移民、旅行客、ハーフ、ビジネスマン、彼らに関わる日本人や住人、田舎から出てきた娘、等々を多角的に捉え、それぞれのドラマを活写した多国籍群像劇です。大阪を拠点に世界で活動中の旅する映画監督リム・カーワイが、日本で感じたことや疑問、問題を取り込み、ユーモラスに描いています。158分の長尺ながら、それぞれのドラマの行方が気になり、最後まで一気に観ることができます。いろんなことが起こるけど、最後には少しだけほっとする。悪いことばかりじゃないよという展開に、監督の優しい眼差しを感じます。出演陣も豪華。ツァイ・ミンリャン監督の秘蔵っ子リー・カンションから、『ソン・ランの響き』でブレイクしたベトナムのリエン・ビン・ファット、ミャンマーのトップモデル、ナン・トレイシー、マレーシアの中華系人気スターJ・C・チーなどなど。日本からも兎丸愛美、原せいじ、桂雀々、渡辺真知子、尚玄など、ユニークな面々が揃っています。日本の今を軽やかに切り取るリム・カーワイ監督。東京が舞台の物語も撮ってほしいなあ。
|