茲山魚譜ーチャサンオボー
(チャサンオボ/The Book of Fish)
story
国王・正租(チョン・ジニョン)に珍重されていた天才学者の丁若銓(チョン・ヤクチョン/ソル・ギョング)は、後を継いだ幼王・純租の後見人である貞純大后のキリスト教弾圧(辛酉迫害)により、弟の若鐘(ヤクチョン/チェ・ウォニョン)、若鏞(ヤギョン/リュ・スンニョン)と共に捕らえられる。
若鐘は兄と弟の罪を被って殉教を選び処刑されるが、若銓は黒山島、若鏞は康津郡へ流刑となる。別れを惜しむ兄弟。しかし若銓は、見知らぬ土地での暮らしに心を躍らせる。
黒山島の役人・オム別将(チョ・ウジン)は若銓を罪人として冷たくあしらうが、素朴な島民たちは都から来た客人として彼を暖かく迎え入れた。世話をすることになったのは、家と畑を持つ明るい未亡人のカゴ(イ・ジョンウン)だ。島で採れた新鮮な魚介料理に驚く若銓。若銓は知識ある長老やカゴと話し、島についての本を書いて暮らすことにする。
いつも魚を運んでくる漁師の若者・張昌大(チャン・チョンデ/ピョン・ヨハン)は、実は両班の庶子で、本をたくさん読み独学で勉強しているが、若銓には近づこうとしなかった。朱子学の性理学を重んじる彼は、異教徒の悪影響を受けたくなかったのだ。だが、海の生物に興味を持った若銓は、昌大にいろいろと教えてもらいたかった。
ある日、浜辺で倒れているところを昌大に救われた若銓は、その礼も兼ねて役所に捕まった昌大を助ける。そして、学問をしたがっている昌大に文字や学問を教える代わりに、海洋生物に関する本作りへの協力を約束させる。これは取引だったが、一緒に時を過ごす内に二人はすっかり打ち解けていった…。
アジコのおすすめポイント:
黒山島へ流刑になった学者の丁若銓(チョン・ヤクチョン)が海洋生物の博物誌「兹山魚譜」を完成させるまでを、魚に関する深い知識を持つ若い漁師、張昌大(チャン・チョンデ)との出会いと絆を中心に描いた歴史ドラマです。歴史上では康津郡へ流刑になり、後に放免された弟の若鏞(ヤギョン)の方が学者として有名なのですが、人間を描きたいイ・ジュニク監督(『王の男』『金子文子と朴烈』)は表舞台に登場しない個人にスポットをあて、「真の人生の価値」を悟っていく過程を描いています。特に監督がこだわった美しく鮮明なモノクロ映像は、本作に歴史ドラマとしての風格もプラス。大自然と新鮮な海産物に恵まれた島での暮らしは、都よりもはるかに豊かであることが伝わってきます。主演はなんと本作が初の時代劇というソル・ギョング。彼と重要な絆を育む若い漁師を、人気若手俳優のピョン・ヨハンが生き生きと演じています。また『パラサイト 半地下の家族』でブレイクしたイ・ジョンウンが親切な未亡人を演じているのも見どころ。かわいいロマンスも見せてくれますよ。
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