logo

MONSOON/モンスーン

監督:ホン・カウ
脚本:ホン・カウ
撮影:ベンジャミン・クラカン
編集:マーク・タウンズ
美術:ミレン・マラノン
衣装:アダム・ハウ
音楽:ジョン・カミングス
出演:ヘンリー・ゴールディング、パーカー・ソーヤーズ、モリー・ハリス、デヴィッド・トラン、ラム・ヴィセー

2019年/英・香
日本公開日:2022年1月14日
カラー/シネマスコープ/5.1ch/85分
配給:イオンエンターテイメント
© Monsoon Film 2018 Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2019
2014年 サンダンス映画祭
 Sundance Institute/Mahindra Global Filmmaking Award
 (ホン・カウ)

p2

p3


MONSOON/モンスーン(Monsoon)

story

 大量のバイクの波が交差するサイゴンの街。キット(ヘンリー・ゴールディング)は母の遺灰を携え、イギリスから30年ぶりに帰郷する。街は大きく変貌しており、昔住んでいた家のあるビルは解体中。マーケットや遊び場もすっかり変わっていた。

 従兄弟のリー(デヴィッド・トラン)の家を訪ね、30年ぶりの再会を果たすが、キットはベトナム語をすっかり忘れ英語でしか会話できない。観光ガイドをしているリーは英語を話せたが、家族との会話ははずまなかった。

 観光バスに乗り、花を買い、夜はクラブへでかける。ネットで知り合ったアメリカ人のルイス(パーカー・ソーヤーズ)と会うためだ。キットはゲイだった。彼が帰った後、キットは兄のヘンリー(ラム・ヴィセー)に電話して、自分が感じている違和感を伝えた。まるで観光客みたいだ。

 交流会でルイスと再会したキットは、改めて互いのバックグラウンドを話し合う。キットは6歳の時、眠ったままボートに乗せられていた。父親が南の下働きをしていたため、南北統一後に嫌疑がかけられたのだ。難民として香港にたどり着き、女王が好きな母親の希望でイギリスへ移民した。

 一方、ルイスの父はベトナム戦争に従軍していた。そのせいで、ベトナムに来た時、ついカナダ人のふりをしたと告白する。今はニュージャージーに住む母親と服飾関係のビジネスをしており、サイゴンに居場所を見つけているようだ。

 1週間後には、ヘンリーが家族を連れ、続けて亡くなった父の遺灰を持ってやってくる。それまでに、キットは散骨する場所を決めたかった。リーにも相談し、両親が昔住んでいたハノイへ行ってみることにする。交流会で知り合った学生リン(モリー・ハリス)を訪ね、彼女の実家で伝統的なロータスティー作りも体験するのだが…。

アジコのおすすめポイント:

イギリスに移住した青年が、両親の遺灰を散骨するため30年ぶりに故郷サイゴン(現ホーチミン)に帰る物語です。とはいえ、ベトナムは大きく変貌。記憶に残る場所はなく、すっかり異邦人に。両親が喜ぶような大切な場所は見つかりません。そんな彼の理解者になるのは、やはり外国から来ているアメリカ人。一夜の相手だったはずが、何度か再会するうちに心を開いていきます。監督は『追憶と、踊りながら』のホン・カウ。カンボジアで生まれ、ベトナムに逃れ、8歳でボート難民としてイギリスへ渡った監督自身のアイデアが、14年に参加したサンダンス脚本ラボで認められて完成しました。演じるのは『クレイジー・リッチ!』で一躍注目されたヘンリー・ゴールディング。イギリスとマレーシアのハーフである彼自身も、どこにも帰属意識が持てないアイデンティティの問題を抱えており、この役柄に共感しています。相手役のパーカー・ソーヤーズも、父親がベトナム戦争に従軍してPTSDに苦しんでいたという体験があり、それぞれが説得力のある演技を見せてくれます。また、ベンジャミン・クラカンによる美しい映像も見どころ。新しい街並みばかりではなく、『走れロム』に出てくるような長屋やスラムも映し出され、ハノイではロータスティーの伝統的な作り方など、美しいシーンも登場します。


p4p5p6

p7p8p9

p10p11p12

▼公式サイト ▼予告編