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無聲(むせい)The Silent Forest

監督:コー・チェンニエン
脚本:コー・チェンニエン、リン・ピンジュン
撮影:チェン・チーウェン
編集:ミルク・スー、チェン・チュンホン
美術:リー・ティンチュエ
衣装:エマ・リン、ゾイ・スー
音楽:ルミン・ルー
出演:リウ・ツーチュアン、チェン・イェンフェイ、キム・ヒョンビン、リウ・グァンティン、ヤン・グイメイ、タイ・ポー、ジェシー・チャン

2020年/台湾
日本公開日:2022年1月14日
カラー/5.1ch/104分
字幕:島根磯美
配給:ライツキューブ
© 2020 Taiwan Public Television Service Foundation, Oxygen Film Co., Ltd., The Graduate Co., Ltd. and Man Man Er Co., Ltd.
2020年 台湾金馬奨 新人賞(チェン・イェンフェイ)
 音楽効果賞(クォ・リーチー、リー・ドンファン)
2021年 インド国際映画祭 シルバーピーコック賞
 監督賞(コー・チェンニエン)/男優賞(リウ・ツーチュアン)
2021年 今年の中国語映画ベスト10
 今年の新人賞(チェン・イェンフェイ)
2021年 アジア映画大賞 助演男優賞(キム・ヒョンビン)
2021年 台北映画奨 観客賞
 新人俳優賞(チェン・イェンフェイ)
 音楽賞(ルミン・ルー)
 サウンドデザイン賞(クォ・リーチー、リー・ドンファン)

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poster


無聲(むせい)The Silent Forest
(無聲/The Silent Forest)

story

 台湾南部のろう学校に転校してきたチャン・チェン(リウ・ツーチュアン)。財布を盗んだ老人を捕まえるが、暴力をふるったと咎められ警察署に連行される。信じてもらえず困った彼を助けてくれたのは、学校から迎えに来たワン先生(リウ・グァンティン)だった。誠実で話のわかるワン先生は信頼できる大人だった。

 紅林ろう学校はろうあ者だけだが、皆自由にのびのびと遊んでいる。普通学校から転入してきたチェンには新鮮だった。その夜は創立記念パーティが開かれ、生徒たちは仮装して踊っていた。そこで初めて、チェンはベイベイ(チェン・イェンフェイ)と出会う。髪の長い笑顔が素敵な少女だ。二人は次第に仲良くなった。

 ところがある日、スクールバスの後方でベイベイが男子生徒たちにレイプされているのを目撃し、ショックを受ける。ボスは優等生のユングアン(キム・ヒョンビン)だ。その夜、寄宿舎でチェンはユングアンたちに呼び出され暴行されそうになる。非常ベルを鳴らして助けたのはベイベイだった。「先生に言っても無駄。ただのゲームだから」

 正義感の強いチェンはついにベイベイを伴い、ワン先生に打ち明ける。驚いたワン先生は生徒たちから聞き取り調査を始める。この状況はなんと1年以上も続いていたらしい。過去に遡るほど事件が増え、わかっただけでも127件の性被害が判明した。しかし、校長(ヤン・グイメイ)の反応は鈍く、教師ぐるみで隠蔽しているのは明らかだった。

 学校へ行けなくなったベイベイは、よそでは友人が作れないと転校を嫌がった。そこでチェンは「僕が守る」とベイベイの祖父(タイ・ポー)を説得するのだが…。

アジコのおすすめポイント:

2020年の東京フィルメックスで上映され、アジコもいたく衝撃を受けた話題作がついに公開になりました。2011年に台南の聴覚障害者専門学校で実際に起きた集団性被害事件を、リサーチを重ねて映画化された告発作品です。プロデューサーは「イタズラなKiss〜惡作劇之吻〜」などの台湾アイドルドラマで日本でも有名なチュウ・ヨウニン(昨年の東京フィルメックスで上映されたチョン・モンホン監督の『瀑布』もプロデュース)。監督は新進気鋭の女性監督コー・チェンニエン。事件後も同じ学校で生活している被害者に興味を持ち、事件の背景や問題の核心に迫る本作で長編デビューを飾っています。実際には8年間の間に164件もの被害があったそうで、この事件は「沈黙」(作・陳昭如)というタイトルで本にもなっています。性被害というのは、犯人が捕まったら解決するというものではありません。だからこそ、ラストシーンも衝撃的になっているんですね。

主人公を演じるのは、14歳でデビューし頭角を現している若手俳優リウ・ツーチュアン(トロイ・リウ)。彼が恋に落ちる少女をリウ・ツーチュアンと同じく本作で映画デビューしたチェン・イェンフェイ(バフィ・チェン)が可憐に演じ、注目されました。問題発覚のきっかけとなる誠実な先生役を演じたのは『1秒先の彼女』のリウ・グァンティン。学校の対応と負の連鎖に苦悩する教師役を好演しています。そして、加害者であり実は被害者でもある生徒を演じたのは韓国の名子役キム・ヒョンビン。名作ドラマ「シグナル」でイ・ジェフン扮する主人公パク・ヘヨンの少年時代を演じているのですが、あまりに雰囲気が違って気づきませんでした。難しい役を見事に演じ、昨年のアジア・フィルム・アワードで助演男優賞を受賞しています。


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