手紙と線路と小さな奇跡
(奇跡/Miracle: Letters to the President)
story
栄州(ヨンジュ)の小さな村で育ったチョン・ジュンギョン(少年時代:キム・ガンフン)は、小3の頃に数学大会で優勝するほどの天才。天文学に興味を示し、姉ポギョン(イ・スギョン)の自慢の弟だ。
6年後の1986年3月、高校入学が決まったジュンギョン(パク・ジョンミン)は大統領宛に54通目の手紙を書いていた。この村には道路がなく駅もない。列車に乗るには、承富(スンプ)駅まで線路を歩くしかない。途中にはトンネルと陸橋が3つもあり、貨物列車の通過で事故が起こることもあった。高校は栄州駅にあり片道だけで2時間以上かかる。村人のために簡易駅を作って欲しい。それがジュンギョンの願いだった。
父テユン(イ・ソンミン)は承富駅に残る唯一の機関士。駅の問題は昔から懸案だったが、駅長(パク・チョルミン)によると大統領府に予算がなく、承富駅の存続すら危ういらしい。母はジュンギョンが生まれた時に他界し、真面目な父は駅舎に住んで週末しか帰ってこない。ジュンギョンは姉と二人で村で暮らしていた。
高校では、遅刻しても5分でテストをすらすらと解いてしまうジュンギョンに、同じクラスのソン・ラヒ(イム・ユナ)が興味を抱く。ラヒはジュンギョンが駅を作りたがっていることを知り、手紙の書き方を指導するという名目で近づいて親しくなる。議員の父(コ・チャンソク)を持つラヒは、ジュンギョンの才能を育てる「女神」になりたかった。
しかし、大統領府主催の数学大会で優勝しても、大統領には会えなかった。ラヒは父に頼んでジュンギョンと共にソウルに転校し、ジュンギョンをソウルの科学学校に通わせようと画策する。ジュンギョンの才能に目をかけていた物理の先生(チョン・ムンソン)も彼を応援していた。
だが、ジュンギョンは駅ができるまで村を離れようとしなかった。そこには、姉や父にまつわる悲しい家族の秘密が隠されていた…。
アジコのおすすめポイント:
1988年開業の韓国初の私設駅、両元(ヤンウォン)駅。住民たちの請願で臨時乗降場として設けられた簡易駅で、駅舎の設備はすべて住民たちの負担で設置されています。今は道路整備で廃線となり閉鎖されましたが、観光スポットとして注目されているとか。この駅をモチーフに、感動的な家族の物語を新たに描いたのが本作です。『Be With You 〜いま、会いにゆきます』のイ・ジャンフン監督による2作目となります。主人公は駅の設置に没頭する天才少年。高校生役からを演じたのは、どんな役柄も見事に演じきる若手実力派のパク・ジョンミン。前作『ただ悪より救いたまえ』のトランスジェンダー役も衝撃的でしたが、そのせいか本作ではお肌つるつるの高校生を自然体で演じています。少女時代のイム・ユナとの初恋展開もキュート。最愛の姉から未来へとバトンが渡されていきます。涙なしでは見られない、父と姉にまつわる家族の秘密は、ぜひ劇場でご覧ください。
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