三姉妹(三姉妹/Three Sisters)
story
熱心なクリスチャンのミヨン(ムン・ソリ)が、教会で聖歌隊の指揮をとっている。大学教授の夫(チョ・ハンチョル)は優しく、今日も花束を持ってミヨンを迎えに来た。一男一女に恵まれ、高級マンションに引っ越したばかり。人も羨む理想的な夫婦だ。その日、ミヨンは気になることがあり、夫には信徒の若い女性を車で送ってもらった。
ミヨンは姉のヒスク(キム・ソニョン)が経営する花屋を訪れる。以前、妹で劇作家のミオク(チャン・ユンジュ)が、突然教会を訪ねてきたのだ。自由奔放なミオクは、スナック菓子を片手に牧師と話していた。ミヨンは教会の外へ出て行き、ミオクが気づいて追ってくる。「私が恥ずかしい?」高潔な姉と酒浸りでスランプに陥っている妹。会うのは久しぶりだ。
ミオクの夫(ヒョン・ボンシク)はかなり年上だが優しく、劇作家のミオクを労わっている。食品卸業を営み、前妻との間に中学生の息子ソンウン(チャン・デウン)がいた。だが、書けないミオクは自暴自棄となり、昼夜を問わず酒浸り状態。ミヨンに酔っ払って電話をしたり、酔っていないフリをして息子の保護者面談に乗り込んだりしている。
そのミオクから、長女のヒスクが実家の母親(キム・ミギョン)に電話で金を無心してきたという話を聞いたのだ。久しぶりの二人での食事。ミヨンは「姉妹は支え合うものよ」と諭す。
ヒスクは別れた夫の借金を返しながら、一人娘のボミ(キム・ガヒ)と暮らしている。ボミは冴えないパンクバンドに入れあげ、反抗期真っ盛りだ。生活に追われながらも、じっと耐えてやり過ごすヒスクの身体は、次第に悲鳴をあげようとしていた。そしてついに、倒れてしまう。
そんな中、父親(イ・ソンヒ)の誕生日を祝うために、三姉妹が家族を連れて帰省する。実家に残してきた末弟のジンソプ(キム・ソンミン)は引きこもりになっていた。牧師様が同席し、誕生会の祈りが捧げられるのだが…。
アジコのおすすめポイント:
結婚後は三者三様の生活を送り、疎遠になっていた個性の異なる三姉妹。三人には末っこの弟がいて、彼をめぐる問題を抱えており、若い頃は助け合って生きていました。その三人が今はそれぞれの悩みを抱えつつも、父親の誕生会で積年の思いを爆発させることで、かつての自分たちの絆を思い出す…というストーリーです。根底にあるのは、韓国に根強く残っていた家父長制度。三人の思いが爆発するシーンは凄まじく、韓国映画ならではの迫力で迫ってきます。監督は長女を演じたキム・ウニョンの夫でもあるイ・スンウォン。2015年の釜山国際映画祭でムン・ソリと出会った監督が、彼女のために書き上げた脚本を見せたところ、「次の世代の女性たちが明るく堂々と生きていけるように」と出演を快諾。プロデュースにも参加しています。三女役には2015年の『ベテラン』で映画デビューし注目されたものの、結婚して女優業から遠ざかっていたチャン・ユンジュが選ばれました。なんと、本作が2度目の出演作。最初は断ったものの、実際にこのような問題があったことを知って奮起。髪を金髪に染めて挑んでいます。三人の女優たちによる演技のアンサンブルが一番の見どころですが、どんな役柄も自分のものにしてしまうムン・ソリはさすがです。
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