1秒先の彼(快一秒的他/
One Second Ahead, One Second Behind)
story
京都。交番の前で悩んでいる男がいた。彼の名は皇一(スメラギハジメ/岡田将生)。生まれた時から何事もワンテンポ早く、記念写真はすべて目をつぶっている。そんな彼がこともあろうに、大切なデートの1日を失ってしまう。楽しみにしていた朝、目覚めるとなぜか日焼けしており、翌日になっていたのだ。彼が提出した紛失物届は「昨日」。
ハジメは妹の舞(片山友希)、その彼氏のミツル(しみけん)と3人で長屋暮らしをしている。職場は中加茂郵便局。配達員として12年勤めたが、度重なる信号無視とスピード違反で免許停止になり、今は窓口業務だ。30歳になるが、まだ決まった相手がいない。新人局員のエミリ(松本妃代)とは交際26日でふられた。性格が災いし、見た目は100点なのに日々減点されてしまうのだ。
そんなハジメが、路上で「女ひとり」を歌うミュージシャンの桜子(福室莉音)に一目惚れ。彼女もまんざらではなく、郵便局に自分のCDを届けに来てくれた。手書きのメッセージにはSNSのIDも。有頂天のハジメがラジオを聴いていると、DJの笑福亭笑瓶(笑福亭笑瓶)から電話がかかってくる。「秒速のポストマンさん、今日のテーマは『失くしてしまった物』です」
「それは、お父さんや」ハジメは10数年前の夜を思い出す。そうめんの薬味に使うミョウガを買いに出たまま、ふらりといなくなった父・平兵衛(加藤雅也)。パピコを買ってきてくれるはずだったのに。その年、ハジメは高校を中退し、郵便局に就職した。母(羽野晶紀)は今も、宇治の実家で気丈に暮らしている。
桜子が郵便局に、なんと弁当を差し入れてくれた。早速、デートの約束をするハジメ。ところが、桜子には病気の弟がいて、大金を必要としていることがわかる。二人は翌日開催される宇治の花火大会に出場し、ダンスの練習をしてベストカップル賞を狙うことにする。当日の朝、勝負服を着てバスに乗り込むハジメ。
ところが、目覚めると真っ赤に日焼けし、ポケットには大量の砂が入っていた。桜子には連絡がつかず、郵便局へ行くと営業しているではないか! 放心状態のまま窓口につくと、いつも切手を買いに来るカメラをぶら下げた女子大生(清原果耶)が真っ赤に日焼けし、いつもより分厚い封筒を差し出して微笑みかけた。「ありがとう、さいなら」
そして昼休み、なんと写真館の店頭に自分が映った大きな写真が飾られていた。しかも、目をつぶっていない!身に覚えのない写真について店主(笑福亭笑瓶)に尋ねると「あれは、うちのバイトのレイカちゃんが撮ったんや」。場所は天橋立らしい。ハジメははっとする。もしかして…あのカメラ女子では。
預かった手紙を確かめると、差出人は「長曾我部麗華」。宛名は「秒速のポストマン様」。そして宛先は「天橋立郵便局私書箱16号」となっていた…。
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