監督:アラン・マザール
脚本:アラン・マザール、N.T. ビン
撮影:パク・ホンヨル
編集:デヴィッド・プジョル
出演:イ・チャンドン、オ・ジョンミ、ユ・アイン、イ・デヴィッド、ソル・ギョング、ムン・ソリ、ソン・ガンホ、チョン・ドヨン、ムン・ソングン
2022年/仏・韓
日本公開日:2023年8月25日
カラー/ビスタサイズ/5.1ch/99分
字幕:金 仁恵
配給:JAIHO
©Movie DA Productions & Pinehouse Film Co., Ltd., 2022
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story
2022年、イ・チャンドンは共同脚本家のオ・ジョンミと共に、過去作品のリマスタリング作業を行っている。現在進行しているのは、8歳の少年の心情を描いた共同プロジェクト用の短編作品。コロナパンデミックがもたらしたものは「語りが断絶した世界」と監督。
ここから、2018年、2010年、2007年、2002年、2000年、1997年と、タイムトラベルのように過去作品を遡り、映画ファンの観光スポットにもなったロケ地巡りをしながら、それぞれの作品世界を紐解いていく。途中には、それぞれの作品に出演した俳優たちも登場。撮影当時を振り返り、彼らから見たイ・チャンドンの映画世界が語られる。
さらに1993年、映画監督になる前の作家としてのイ・チャンドンへも遡り、著書も紹介。多感な学生時代を過ごした80年代、家族のこと、物語を作るのが好きだった少年時代を過ごした長屋も訪れ、イ・チャンドンの芸術的原点に迫る。
アジコのおすすめポイント:
韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督の足跡と創作の原点を辿る貴重なドキュメンタリーです。作品数こそ多くないものの、どの作品も重厚で思索的。作家ならではの人間を深く見つめる洞察力に溢れ、文学的な余韻を残します。そんなイ・チャンドン監督を敬愛するフランスのドキュメンタリー監督アラン・マザールと共同脚本を担当した映画評論家のN.T. ビンからのオファーを受け、このドキュメンタリーが完成しました。しかも、コロナ禍にあったため、対面での撮影ができずリモート撮影に。監督のプロダクションが協力しており、各作品のロケ地を巡り、その風景の中で解説していく監督はリラックスしているように見えます。俳優たちのインタビューも挿入されており、撮影時のイ・チャンドン監督の演出スタイルや人間性も証言されていきます。映画も小説も「一人の人間が知らない世界を旅する物語」と語る監督。前作『バーニング 劇場版』では、原作の持ち味や世界観を損なうことなく、さらなる結末へと発展させ、原作者の村上春樹氏をも唸らせています。その『バーニング 劇場版』の印象的な音楽が基調となっている本作。終盤には、監督になる以前の作家時代や少年時代にまで遡り、監督の世界観がどのように形成されていったかがわかります。今回は監督自らが4Kリマスターを手がけた6作品(ラインナップは以下のとおり)と共に「イ・チャンドン レトロスペクティヴ 4K」(8/25から全国順次開催中)での初上映。監督の作品ファンはもとより、初めてイ・チャンドンの世界に触れる方にもまたとない絶好の機会です。ぜひ、劇場でご堪能ください。
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