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ローリング・ガール

ローリング・ガール(巻く/Rolling)

監督:クァク・ミンスン
脚本:ミン・ガンサン
撮影:キム・ジニョン
編集:クァク・ミンスン
美術:イム・スジン
音楽:チョン・ジュニョン
出演:シム・ダルギ、チョン・ウンギョン、ウ・ヒョウォン、チョン・ウィスン

2022年/韓国
日本公開日:2024年2月2日
カラー/ビスタ/5.1ch/76分
字幕:TOKYO CALLING
配給:ライツキューブ
©2022 KWAK Min-seung

poster


story

 パンデミック中の韓国。25歳でニートのジュリ(シム・ダルギ)は部屋にこもってゲームに明け暮れ、タバコを吸い、食事はビールと出前頼みの自堕落な生活を送っていた。そんなある日、突然、母親(チョン・ウンギョン)が勝手に部屋を貸すことにしてジュリを困らせる。

 電話すると、母が営むキンパ店を手伝うか、家を出るか、どちらかにしろと迫られた。祖母が倒れたので看病する間、店を任せるという。とりあえず、ジュリはホコリの被ったバイクに乗って母の店「シンナラキンパ」に向かった。

 母親からキンパ作りを習ったジュリは、練習を重ねて上達。店ならではのジャコの甘辛炒めや秘伝のごま油など、コツも覚えていった。そして、母は祖母の家に行き、店を開けることになる。当分は自分ができる臨時メニューにした。

 朝一で、常連らしい青年(ウ・ヒョウォン)がやって来た。彼は店にジュリがいたので驚き、ジュリもうっかり指を切ってしまう。キンパはおいしかったようで、お皿にタクアンだけが残っていた。翌朝、店の荷物の上に絆創膏がおいてあった。

 近所のパン屋のチュンジャおばさん(チョン・ウィスン)が、パンをたくさん持って様子を見に来てくれた。祖母の家に荷物を送るジュリ。気になる彼のことを母に尋ねると、イ・ウォンという学生で、好青年らしい。ジュリはタクアン抜きでキンパを作ってあげた。

 ある朝、定期を忘れたウォンが青覚めてジュリに助けを求める。ジュリはバイクで家の近くまで彼を送り届けた。その日、登山客が明日の昼まで40本の大量注文をする。困っていると、ウォンがヘルメットを返しに来た。ジュリはお礼の代わりに、彼に手伝ってもらうことにする。

 ジュリの日常の中で、世界が変わり始めていた…。

アジコのおすすめポイント:

パンデミックで人々が孤立し、不景気が蔓延している時期を背景に描かれる、シンプルで細やかでハートウォーミングなヒューマンドラマです。仕事もせず、だらしない生活を送っていた若い女性が、やむを得ず母親のキンパ店を手伝ううちに仕事の面白さに目覚め、新しい出会いにも恵まれ、生き方を修正していきます。散らかった部屋が、清々しい部屋へと変貌していく細かい描写も秀逸。主人公には忘れられない誰かの存在が時折登場。説明がない分、想像の余白があり、彼女が過去を乗り越えて新たな自分に向かっていく様が、美味しいそうなキンパと共に描かれていきます。監督はこれが長編デビュー作のクァク・ミンスン。主演は『人生は、美しい』で主人公の親友を演じ、本作が初主演作となるシム・ダルギ。大人の女性を演じたのは初めてとのこと。何かに囚われている主人公が徐々に解放され、希望を見出していく様を自然体で演じています。ところで、恵方巻の時期に公開となった本作。きっと、キンパが食べたくなりますよ。アジコも端っこが好きです。

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▼公式サイト ▼予告編