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流転の地球 -太陽系脱出計画-

流転の地球 -太陽系脱出計画-(流浪地球2/The Wandering Earth II)

監督:グオ・ファン
原作:「流浪地球」リウ・ツーシン著
脚本:ワン・ホンウェイ、ヤン・チーシュエ
   ゴン・グーアル、グオ・ファン、イエ・ルーチャン
撮影:リウ・イン
編集:チョン・カーファイ、イエ・ルーチャン
   ヤン・ティンティン、イエ・シャン
美術:アン・ガオ
衣装:ハンナ・キッテル
音楽:ロック・チェン
主題歌:「我在」(歌/リウ・ファン)
    「細水長流」(歌/アンディ・ラウ、ウー・ジン)
出演:ウー・ジン、アンディ・ラウ、リー・シュエジェン、シャー・イー、ニン・リー、ワン・ジー、チュウ・ヤンマンチー、トン・リーヤー、ワン・ルオシー、アンディ・フレンド、ヴィタリー・マカリシェフ、クララ・リー

2023年/中国
日本公開日:2024年3月22日
カラー/シネスコ/5.1ch/DCP/173分
字幕:神部明世
字幕監修:大森望
配給:ツイン
©2023 G!Film Studio (Beijing) Co., Ltd and China Film Co., Ltd.
2023年 中国長春映画祭(金鹿奨)
 作品賞/撮影賞(リウ・イン)
2023年 中国電影金鶏奨 審査員特別賞
 録音賞(ワン・ダンロン、チュウ・ヤンファン)
2023年 上海国際映画祭
 中国映画&TVナイト賞部門
 作品賞/技術賞/国際放映映画賞
 中国映画チャンネルメディア賞部門
 作品賞/視覚効果賞/助演男優賞(ニン・リー)
2023年 北京学生映画祭 作品賞
2023年 上海映画批評家賞 トップ10作品
2023年 チャイニーズアメリカン映画祭(金天使賞)
 作品賞/監督賞(グオ・ファン)
2023年 中国映画批評家協会賞
 今年の映画賞/トップ10映画
 メディアが注目する今年の監督賞(グオ・ファン)
 メディアが注目する今年の映画賞
2023年 テンセントビデオTV&ムービー賞
 今年の傑出技術映画賞/今年の優良作品俳優賞(ニン・リー)
2023年 ウェイボーアワードセレモニー
 作品賞/今年の流行映画賞
 今年の有望俳優賞(チュウ・ヤンマンチー)
 今年の流行映画作家賞(グオ・ファン、ウー・ジン)
 今年の技術者賞(エリック・シュー:視覚効果)
2023年 中国映画チャンネルアワード
 今年の作品賞(グオ・ファン)
2023年 シルクロード国際映画祭 視覚効果賞



poster

story

 太陽が老化してヘリウムフラッシュを起こし膨張。100年後には地球をのみこみ、300年後には太陽系が消滅する…。人類存亡の危機に世界は団結。地球連合政府が発足し、さまざまな存続計画が立ち上がる。

 「人間は電気信号の集まりだ」と唱えるインドの科学者たちは、人間をデジタル化して肉体から切り離すデジタルライフシステムを開発。賛同者も多かったが倫理上の危険性を孕んでおり、開発が禁止された。採択されたのは、1万基の地球エンジンを設置して地球ごと太陽系から脱出。2500年をかけて別の銀河系を目指す、中国の移山計画だった。

 計画は段階的に進められ、月にも3基のエンジンを設置。月を地球から引き離し、引力の影響をなくすことに。しかし、膨大なコストなど、各国の利害衝突も多く暴動が絶えない。世界の理解を得るためには、エンジンの点火実験により移動の可能性を検証することが最重要課題となる。


 2044年。リウ・ペイチアン(ウー・ジン)は宇宙飛行士の訓練基地があるアフリカのリーブルビルで、叔父で宇宙飛行士のチャン・ポン(シャー・イー)に励まされながら過酷な訓練に挑む。同期のハン・ドゥオドゥオ(ワン・ジー)に一目惚れしたペイチアンは仲間に見守られて告白するが、訓練中にデジタルライフ派のテロに巻き込まれる。

 訓練生のデータをハッキングした一味は、宇宙エレベーターの先にある建設中のアーク宇宙ステーションに侵入。爆弾を仕掛けて破壊した。システム攻撃を受けたことが判明し、最新型システムの550Cで復旧させるが、計画が遅れるのは必至だった。中国代表のジョウ大使(リー・シュエジェン)が宇宙局からもらった検証実験までの猶予は7ヶ月。

 アメリカ代表のマイク(アンディ・フレンド)によると、アメリカではデジタルライフプログラムの開発が再開されたという。だが、ジョウは諦めず、2500年後には別の銀河系で地球に緑が戻る未来を信じていた。


 月面基地で停電が起こり、眠っていたトゥ・ホンユー(アンディ・ラウ)が緊急覚醒する。想定外の太陽風で被害を受け、復旧と点火実験が急がれていた。トゥはいつものようにノートパソコンを立ち上げ、幼い娘のYYことヤーヤー(ワン・ルオシー)と会話する。地球からはマー主任(ニン・リー)が550Cを携えてやって来た。2基の月エンジンを動かすためで、エンジニアのトゥも協力を頼まれる。

 二人はかつて、デジタルライフプログラムの開発に関わっていた。トゥは550Cの処理速度の速さに驚き、マーにYYのプログラムを見せる。それは、交通事故で死んだ彼の娘ヤーヤーの姿だった。妻(トン・リーヤー)は助からなかったが、娘を助けたいトゥは瀕死の娘を研究室に運び込み、デジタルライフシステムの実験台にしたのだ。

 550Aで再生したYYは2分間しか持たないが、自意識が目覚めていた。550Cに繋げれYYの人生は完全になるに違いない。トゥは懇願するが、マーは驚きながらも「死んだ者は生き返らない」と説得。任務を優先させる。ところが再び太陽風が襲来し550Cが壊れたので、550Aで起動させることになる。トゥはパスコードと引き換えに、550シリーズの開発に関わることをマーに約束させた。


 月エンジンの検証実験は成功し、続く地球エンジンの検証実験も成功。ペイチンはハン・ズーアン(ン・マンタ)が見守る中、ドゥオドゥオと結婚する。システムは550Cから550Wへと移行し、デジタルライフプログラムの開発は再び閉鎖された。2055年、移山計画は「流浪地球計画」に名称を改め、地下都市移住の抽選が始まる。失意のトゥは当選するが、落選したペイチアンは病気の妻と息子チーのため、宇宙ステーション勤務に応募する。

 そして2058年。トゥは、密かにYYのデータを550Wに接続しようとしていた。その頃、ジョウや秘書で外交官のハオ(チュウ・ヤンマンチー)たちのもとに「205807」という警告とも取れる数字が届く…。

アジコのおすすめポイント:

2019年に映画化された『流転の地球』の第2弾です。原作者はSF小説「三体」でアジア人初のヒューゴー賞(SF界のノーベル文学賞)を受賞したリウ・ツーシン(劉慈欣)。この春からNetflixでドラマシリーズが配信されており日本でも話題ですが、そのリウ・ツーシンによる短編小説が原作。とはいえ続編ではなく、その前日譚。木星危機が訪れる前の、太陽のヘリウムフラッシュ危機が判明したことで、太陽系から脱出するために動き出す過程とそれに伴う月との衝突危機などが描かれています。と、説明するだけでもお話が壮大過ぎるのですが、本作では原作とは異なるオリジナルな展開が描かれております。それは、デジタルライフプログラム。人間をすべてプログラムに置き換えて保存することで、身体がなくなってもデジタル世界で生き残れるというマトリックスな選択肢がクローズアップされ、その部分の主役をアンディ・ラウが演じているのです。宇宙飛行士として活躍するウー・ジンと双璧をなしており、このふたりの人生と生き方が対照的に描かれていきます。

監督はグオ・ファン(郭帆)。昨年公開されて話題となった『宇宙探索編集部』を全面バックアップし、カメオ出演もしていた監督ですが、本作のレコーディング・ディレクターとしてコン・ダーシャン監督もクレジットされております。また、前作(2019)の主人公リウ・チー(父はウー・ジン演じるリウ・ペイチアン)の母方の祖父役で出演していたのが、香港映画でお馴染みのン・マンタ(呉孟達)。残念ながら、2021年2月27日に肝臓がんで逝去したのですが、本作ではCGで特別出演。エンディング・クレジットで、本作は彼に捧げられています。約3時間と長尺な上、次から次へと危機が訪れ、決死の任務が続く本作。近未来なわりにスケールが大き過ぎて(危機管理能力や時間軸などツッコミ所もあり)エンディングの主題歌「我在」まではシリアスムードが続きますが、その分、軽快なウクレレで始まる2つ目の主題歌は爽快です。「ヘイ!友よ」で始まるウー・ジンとアンディのデュエット、なかなか素敵な歌なので最後まで席を立たないで聴いてくださいね。ちなみに、本作は『3』の製作が決まり、2027年の春節公開を目指しているそうです。

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