story
ロンドンで暮らす高校生のリア(プリヤ・カンサラ)はパキスタン系イギリス人。カンフーが大好きで、柔道の道場に通って心身を鍛え、自撮りの訓練模様を「カン・フー リア・カーン・スタント」で配信している。だが、怒りを込めた「空中後ろ回し蹴り」には後一歩。夢は憧れのユーニス・ハサートのようなスタントウーマンになることだ。
画家志望の姉リーナ(リトゥ・アリヤ)は才能に見切りをつけ、美大を中退。妹の撮影を手伝うこともあるが、情緒不安定でやる気をなくしていた。だが、いつも自分の夢を応援してくれる姉が大好きなリアは、姉は絶対に芸術家になると信じている。
高校の進路相談で「ユーニス・ハサートのインターン志望」と提出したリアは先生に相手にされず、空きのある医者志望コースを勧められる。親友のクララ(セラフィーナ・ベー)とアルバ(エラ・ブルッコレリ)は励ましてくれるが、学校一の怪力女子コヴァックス(ショナ・ババエミ)に舐められて対決。小柄なリアはぶっ飛ばされてしまった。
そんな時、母ファティマ(ショーブ・カプール)が麻雀仲間のラヒーラ・シャー(ニムラ・ブチャ)からイード(祝祭)の夜会に招かれ、家族揃ってでかけることに。シャー家は大邸宅で、ハンサムな息子サリム(アクシャイ・カンナ)には女性たちが群がっていた。32歳独身で遺伝子学者のサリム。ラヒーラは息子にふさわしい結婚相手を探していた。
退屈しのぎに邸宅内を探検していたリアは、偶然、この夜会が息子の嫁探しのために開かれたことを知り警戒する。ところが、サリムはなんとリーナと親しくなり、デートを重ねてスピード婚約。結婚後はシンガポールに移住するという。ショックを受けたリアは、クララとアルバに相談し、結婚を阻止するための破談作戦を決行するのだが…。
アジコのおすすめポイント:
パキスタン系イギリス人社会を背景に、スタントウーマンを目指す高校生が、恐ろしい陰謀に巻き込まれた姉を友人たちと共に救い出す痛快青春アクションコメディです。監督&脚本はパキスタン系イギリス人のニダ・マンズール。本作が長編デビュー作品です。今年34歳なので、『モンキーマン』のデヴ・パテルと同じですね。彼女もアクション映画が大好きで「南アジア系の10代の女の子がアクションヒーローになるのを見たかった」というのが本作のきっかけ。10年前から書いていた脚本をアップデートさせて製作会社に送ったところ、さらに映画的要素やバトル・アクションが増え、どんどんクレイジーになっていったとか。音楽も凝っており、主人公の心情に合わせた選曲がされているのですが、突然日本語の歌(浅川マキの「ちっちゃな時から」)も流れて驚きました。エネルギッシュな主人公を演じるのは、オーディションで抜擢された新人のプリヤ・カンサラ。スタントもほとんど自分でこなしたそうです。さらに、親友2人とジャイアン・キャラの同級生もいて、皆が個性的。爽快なラストを味わうことができます。ちなみに、主人公がインターン志望のメールを送っているユーニス・ハサート(*左参照)は本物のスタントウーマン。本作のおかげで、彼女にも注目が集まっているようです。
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