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スタントマン 武替道

スタントマン 武替道(武替道/Stuntman)

監督:アルバート・レオン&ハーバート・レオン
脚本:アナスタシア・ツァン、オリバー・イップ
撮影:レイ・チョン
編集:アルバート・レオン&ハーバート・レオン
アクション監督:ベン・コン(コン・トーホイ)
アクション指導:トミー・リョン
美術:チャン・ミウリン
音楽:チウ・ツァンヘイ、アンディ・チョン
出演:トン・ワイ、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、セシリア・チョイ、マックス・チョン、トー・インゴー、レイチェル・リョン、ラム・イウシン、テリー・チョウ、ユン・ワイトン

2024年/香港
日本公開日:2025年7月25日
カラー/シネスコ/5.1ch/広東語/114分
字幕:鈴木真理子
配給:ツイン
©2024 Stuntman Film Prodution Co., Ltd.
2024年 中国電影金雞奨 年度期待中国語映画賞

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poster

story

 1980年代、売れっ子アクション監督だったサム(ラム・イウシン)は、撮影中に起こった事故でワイ(ユン・ワイトン)の代わりにスタントを引き受けたカム(テリー・チョウ)に大怪我をさせてしまう。サムは業界を追われた。

 今はレイ・サム整骨院を営むサム(トン・ワイ)。壁には当時の映画ポスターや切り抜きが飾ってある。ある日、長年のコンビだったチョー監督(トー・インゴー)から、仲間を追悼するのでと国術会の70周年記念会に誘われる。久しぶりに顔を出すと「人命軽視のアクション監督」と陰口が聞こえた。追悼映像を作ったのは、未だエキストラのスタントマン、レイ・サイロン(テレンス・ラウ)だ。時代は変わり、誰も昔の映像など観ていなかった。

 中座したサムを追ってきたチョー監督は、20数年ぶりに新作を撮るのでアクション監督をやって欲しいと頼み込む。80年代風の作品というのがスポンサーの意向。主演は大スターのリョン・チーワイ(フィリップ・ン)、あの時のワイだ。チョー監督はブルース・リー像の前で、アクションの火を消してはダメだとサムにライターを渡す。

 仕事のせいで妻子とも離婚したサム。陶芸教室を開いている娘チェリー(セシリア・チョイ)は結婚を控え、すでに新しい父親もいる。サムも式に呼ばれており、スーツを借りるためウェディングドレスの試着に同行する約束をする。だがその日は、撮影初日と重なっていた。

 過去のせいでサムと組む仲間は見つからなかった。そこで、昔の映画をリスペクトしているロンに助監督を頼む。兄キット(マックス・チョン)の運送業を手伝っているロンは将来に悩んでいたが、難しいスタントは自分でやれと言われ、張り切って参加する。一方、ワイと彼の率いるアクション・チームはサムとの仕事を嫌っていた。

 撮影初日、遅れた上に食事も取らせず、昔流のスパルタ撮影を強要するサムに、ワイたちや若いスタッフも着いて行けない。ロンも呆れてしまう。そこでサムは、若いロンに現場を任せることに。ロンは危険なスタントをこなしてワイのチームに認められ、サムに代わって差し入れもサポート。試着途中で帰って怒っているチェリーとサムが仲直りするようアドバイスもする。

 すべてが順調に回り始めた矢先、予算が削減されシーンを削ることになった。強盗シーンか。銃撃戦シーンか。どちらも映画にとっては大事なシーンだ。諦めたくないサムは、一度に撮影してしまおうと、昔ながらのゲリラ撮影を強行するのだが、驚いた市民に怪我人が出てしまう…。

アジコのおすすめポイント:

おすすめポイントは全部!と言いたいほど、香港映画愛と香港アクション愛に溢れた作品です。もう主人公のトン・ワイが出て来ただけで、アジコはウルウルしてしまいます。15歳でブルース・リーと共演。16歳でスタントマンを始めたトン・ワイ。スタントマン時代にチョイ役で映画に出演していた頃は、かっこいいお兄さんでした。今や世界で活躍するアクション監督の谷垣健治さんが、たった一人で香港に乗り込んでいった時、唯一、話をしてくれたのがトン・ワイだったそうです。そのトン・ワイも今やアクション映画界のレジェンドに(『アクシデンタル・スパイ』『孫文の義士団』『オペレーション・メコン』などなど。最新作はダンテ・ラム監督の『爆裂點』)。すっかり渋いおじさんになりました。

時の流れには逆らえず、冒頭のショッピングモールでのどこかで見たようなアクション映画撮影シーン(85年の『ポリス・ストーリー/香港国際警察』の再現!)は少々気恥ずかしくもあり。昔はこうだったよなあと感慨深い。当時のスタントのシビアーさは、ジャッキー・チェン作品のエンディングロールで必ず流れるメイキングシーンを見ると、痛いほどよくわかります。本作では、かっこいいテレンス・ラウ(役名のレイ・サイロンはレイ・シウロン=李小龍=ブルース・リーのもじり?)や、本物の武道家でキレキレのフィリップ・ン(役名のリョン・チーワイはリョン・チウワイ=梁朝偉=トニー・レオンのもじり?)と共演。製作やスタッフもトワイライト組が揃い、これはまさに『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』と同じく「継承」の物語なのです。古いやり方は通用しないけれども、香港アクション魂の火は消えない。ラストのダンボールシーンは、その覚悟を物語っております。(エンディングロールが出ても帰らないように。続きがあります!)香港映画の火を消さない。香港アクションの火を消さない。かつての黄金時代を知っている若い監督たちが、若いスター俳優たちが、新たな息吹を吹き込み、新しい香港映画の黄金期を作っていって欲しい。そして、従来ファンはもとより、新たな若い香港映画ファンの皆さんもどんどん盛り上げていって欲しいと願います。

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