黄義達は孫燕姿を越えるか?
2004年10月15日
今回は、先日インタビューさせて頂いたシンガポールの音楽人、李偉菘氏の秘蔵っ子にして期待の新人、黄義達(イーダ・ホァン)についてレポートします。
5歳にして、積んであった雑誌に火をつけてお巡りさんに怒られたという「ワル」の経歴を持つ義達(笑)。学生時代の彼は、徒党を組んで悪さをするということはしなかったものの、反抗的で、大人から見てあまり「いい子」ではなかったようです。
そんな彼が音楽に目覚めたのは、15歳のとき初めて触れたギター。基礎もない彼は、全て自分の耳だけを頼りに独学で音楽を学び始めます。そして、李偉菘・偲菘兄弟がその頃ちょうど開いたばかりの音楽学校に、学校を辞めて入学。音楽一辺倒の生活が始まります。(途中、国民兵役でのブランクあり。)
偉菘氏に言わせると、学生の頃からスターとしての素質があったそうで、李偉菘・偲菘兄弟の推薦を受けて、孫燕姿(ステファニー・スン)に続くシンガポール出身のスターを捜していた台湾のソニー・ミュージック社と契約しました。
その後、義達は3年間台湾で暮らし、台湾の市場を理解し、また創作活動も行います。とはいえ、なかなかスムーズにはいかず、デビューアルバムの予定もどんどん繰り延べになり、自分の作品も何度も書き直しを求められるという挫折の連続。一度は本当に音楽を止めて、シンガポールに帰ろうかと真剣に考えたこともあったとか。
しかし、紆余曲折の時期を経て、とうとう今年台湾でデビュー。細身の身体に長髪、中性的なルックス(姉弟子の孫燕姿にそっくり!小さい子に「おねえちゃん」と呼ばれたことも!)と、自作自演の音楽の才能もあって、たちまち新しいアイドルの到来として注目を浴びることに。デビューアルバム『無法定義』は、若い女性ファンを中心に大ヒットしました。
アルバムの内容は、先頃上映されたトニー・レオン主演の映画『地下鐵』(監督:ジョー・マー/原作:Jimmy)の主題歌(実は黄義達の作品)のデモから始まり、バラードありロックあり。全体的に若さあふれるロマンチックな曲調で、なかなか耳に残る仕上がりとなっています。李偉菘氏が「義達はねー、もう X Japan ばっかり聴いててねえ…」と語ってくれた通り、ドラマチックな、そして流れるようなバラードは、確かに影響を受けているかもしれません。
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