かつては、この宴会中に、丸ごと一羽を使った鳥料理が出され、その鳥の頭を向けられた人は、新年からは「クビ」である「忘年会の宴中にいきなりクビ宣言」されるという、ちょっぴり恐ろしい習慣もあったそうですが、現代では見られることはほとんどなく、心の底から宴会を楽しむことができます。
そして「尾牙」の時期に忘れてはならないのが、台湾式ハンバーガー「割包(グア・パオ)」。「割包」は「掛包」や「刈包」と言う字も充てられますが、どれも読み方は同じグア・パオです。真ん中がぱっくり割れている真っ白な饅頭(マントウ)に、とろとろになるまで煮込んだ豚の角煮をメインに、酸菜(野菜の漬物)、花生粉(ピーナッツの粉)、香菜等を挟んで食べます。
見た目は手軽なハンバーガー、食べるとふわふわもっちりの饅頭と甘辛く舌でとろける豚の角煮としゃきしゃきの酸菜の歯ごたえが絶妙にマッチする一品です。ピーナツの粉をたっぷり入れれば香ばしい甘さが口いっぱいに広がり、香菜を入れれば爽やかな香りが濃厚な豚の角煮を一層引き立てます。また、辛いものが好みの人はチリソースなどを加えれば、また違った味わいが楽しめます。
「割包」にはいろいろな説があるようですが、財布に似た形状をしていることから「財運向上」を願うといった意味や、もともと商業関係者で広まっていた風習であり、商売人は多かれ少なかれ他人を言いくるめて商売をしていることから、「割包」の形状を人の口に見立てて、その日だけは口をつぐむという意味があるとか。また、地方によっては虎の口に見立て、虎が豚を加えている様子として「虎咬猪」と呼ぶところも有るそうです。
台湾式ハンバーガー「割包」は、「尾牙」には大切な一品ですが、尾牙時期だけでなく専門店や屋台などで一年を通して食べることが出来るので、台湾を訪れた際には、ぜひ試してみてください。
●from 台北在住のさに:profile
台北市在住。台湾の音楽と屋台と廟と貧乏旅行を愛する食いしん坊。
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