女性芸術家イー・ランの描く砂絵アート
2004年10月20日
ベトナムには砂で絵を描くアートがあります。描くと言っても紙やキャンバスの上ではなく、グラスやガラスのボックスにスプーンで少しずつ砂を流し込んで絵にしていきます。写真ではよく分からないと思いますが、実物を見ると微妙な色使いや表情を感じることができて、見事というほかありません。
このアートの創案者はイー・ランさんという女性。砂で絵を描こうと思いついたのは、海岸で3色の砂をみたときからで、それまでは料理と化粧法の講師をしていらっしゃったそうです。彼女がこれを創案してからまだ3年あまりしか経っていませんが、すでに工房を持ち、作品展覧会を8回も開いています。
砂絵の題材は、農村の風景やアオザイ姿の女性、有名人の肖像画など実にさまざま。使う砂はすべて自然のままのもので、着色は一切していません。全国あちこちの海岸を歩いて、これまでに20数種類の色の砂を見つけたそうです。その砂を、ガラスに下絵を描くこともなく、グラスに流し込んでいきます。
制作にかかる時間は作品によって異なり、30分から2〜3日かかるものもあるとのこと。また、接着溶剤なども使っていないため、傾けて置いたり、激しい振動を与えたりすれば絵が崩れてしまいます。「砂を着色すればもっと自在に絵が描けるのに」と言う人もいるそうですが、自然をそのままを生かしたいというのがイーランさんの考えです。
限られた条件の中で描く、はかなくも美しい砂絵アート。箱庭や桜を愛する日本人の感性にも響くものがあります。
●イー・ランさんの工房
393/21 Binh Quoi St, 28 Ward, Binh Thanh Dist., HCMC
TEL:(8)5562148/FAX:(8)5562934
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