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ボーダーレス最前線としてのタイ映画

地球で最後のふたり

『地球で最後のふたり』7/31公開予定
 今年は韓国映画の隆盛に混じって、タイ映画やタイ関連作品も多数公開されています。先にご紹介した『マッハ!』や4月に公開された『アタック・ナンバーハーフ2』がタイ・オリジナル映画の熱波とすると、近年その動向が注目されている香港出身でタイを拠点とするパン兄弟やピーター・チャン監督らが作る合作映画、それに、これからご紹介する『地球で最後のふたり』のような多国籍映画なども、タイを重要なキーワードとするクールな潮流と言えるでしょう。

 『マッハ!』と同じくこの7月末にやっと公開される『地球で最後のふたり』の製作にも関わったクロックワークスの担当者にお話を伺いました。

●『地球で最後のふたり』について

 『わすれな歌』をやった後に、監督のペンエーグが新しいものをやりたがっているという話を聞きまして、じゃあ今回は配給だけではなくて製作課程から出資することにして、作品を最後まで見届けたいなということで、ジェネオン・エンターテイメントさんと共同出資になりました。撮影がクリストファー・ドイル、主演が浅野忠信だったので、世界中からお金が集まってきた作品で、いろいろな国々の才能や感性が入って来ました。いろんな言語が飛び交って面白かったですよ。

 面白いものを作ろうとして集まった人たちなので、クリストファー・ドイルは「ぶつかり合いながらも面白かった」と言っていたし、浅野さんも「すごくいい経験になった」と話してました。日本人側のキャスティングには意見を出せたので、クリストファー・ドイルが撮る竹内力なんて面白いだろうなあと思って、紹介してもらったら出ていただけることになって、他にも松重豊さんとか、ヤクザ役で三池崇史監督も出ています。タイ人の女性二人はほんとうの姉妹です。

 タイにいながらヨーロッパ映画の雰囲気もあり、アジアで作るフランス映画みたいなすごくゆっくりした作品です。流れはスローなんだけど、ぜんぜん飽きないし心地いい。そして、最後にう〜んとちょっと考えさせる、面白いラブストーリーになったと思います。言葉も通じず接点が何もなくても、何かを持ってる人同士は地球のどこかできっと出会う、というテーマの作品です。原作はタイの若手人気作家プラープダー・ユンという人で、音楽やアート、脚本なんかもやっている才能のある人です。

●最近のタイ映画について

 ちょうど若い才能が出て来て、世界に目を向けている人たちが多いですね。『アタック・ナンバーハーフ』の頃から、30代後半〜40代前半の若い監督たちが頑張ってます。『アタック〜』のトンコントーン監督も『マッハ!』のピンゲーオ監督もいつでも世界に出られる人たちですが、彼らはタイで映画をやるメリットというか、タイで映画を頑張って行こうと思っているのではないでしょうか。 地球で最後のふたり

地球で最後のふたり(03年/タイ・日本・オランダ・フランス・シンガポール)
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン 撮影:クリストファー・ドイル
キャスト:浅野忠信、シニター・ブンヤサック、ライラ・ブンヤサック
*公式サイト:http://www.klockworx.com/chikyu

 先のカンヌ映画祭でも、アピチャーポン・ウィーラセッタクン監督の『トロピカル・マラディ』が審査員特別賞を受賞するなど、新世代による新しいタイ映画がこれからどんどん飛び出してきそうです。


『マッハ!』・『地球で最後のふたり』
更新日:2004.7.7
●back numbers

●2004年に日本で公開された
 タイ関連映画(予定含む)


One Take Only
監督:オキサイド・パン

Three/臨死
製作:ピーター・チャン
「the wheel」
監督:ノンスィー・ニミブット

アタック・ナンバーハーフ2
監督:ヨンユット・トンコントーン

テッセラクト
監督:オキサイド・パン

マッハ!
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ

地球で最後のふたり
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン

THE EYE 2(公開時未定)
監督:オキサイド&ダニー・パン