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ASICRO FOCUS file no.19

Jackie Chan Legend Part 1

映画人ジャッキー・チェンー『香港国際警察』記者会見

●皆さんとても魅力的ですが、それぞれお二人に対してどこに魅力を感じますか? また尊敬していますか?

ニコラス
 ニコラス「僕自身、子どもの頃からジャッキーを見て知っていましたけれども、映画の時もいろんなことを教えてもらいました。ジャッキーの細かい動作や普段の仕種を見ていると、いろんなことを学ばなくてはならないと思いました。ダニエルとは1本目の作品から共演しているので、すごくいい友人として、暗黙の了解でいろんなことができています。ダニエルの仕事に対するやり方、時間厳守など、仕事に対する態度はすごく素晴らしいと思っています。」


ダニエル
 ダニエル「(英語で)僕にとってもジャッキーは幼い頃からずっとアイドルで、香港で仕事をするようになって7年になりますが、その間にジャッキーと知り会えてほんとうにラッキーでした。そして、今では一緒に仕事をする機会も得ることができました。ジャッキーから一番得たこと、一番気になったことはというと、演技がどうこう、役者がどうこうということより、よりよい人間であるためにはどうしたらいいかということです。例えば、ジャッキーは撮影のセットで、ごみやタバコの吸い殻を自ら拾って捨てています。そういう姿を見ているだけで、社会に対して人間はこうあるべきだという姿勢が感じられ、とても尊敬しています。

  ニコラスとは、業界に足を踏み入れた頃からの付き合いです。彼の印象は最初の頃から変っていません。それは、勇敢さ、向こう見ずといってもいいほどの勇敢さです。例えばアクションシーンであれ、ミュージシャン活動であれ、役者としての演技においても、とにかくどんなものにも誠心誠意でぶつかっていく姿勢は素晴らしいと思います。特に業界の中では、そういう姿勢であることがとても難しいと思うので、彼の成熟したそういう姿は尊敬しています。」


ジャッキー
 ジャッキー「これまでもずっと新人を探して来ました。僕も新人の頃は、周りの人からいっぱいチャンスをもらいました。だから、新人を探して来て、チャンスをあげたいと思っていたのです。

 どうしてダニエルを気に入ったかというと、最初に知り合った頃、彼は広東語や中国語がほとんどできなかったのです。今ではとてもうまく広東語と北京語がしゃべれます。それはすごく大変なことです。特に広東語は。ときどき会社に行くと、彼は一人で本に向かって広東語を勉強しています。すごい努力家なんですね。なかなかできないことだと思います。だから、何かあった時に彼を起用したいなと思っていて、『80デイズ』の時もそうですけど、彼をアメリカに連れて行ってチャンスを与えたり、この映画でもそうですが、彼はすごく抜きん出た俳優だと思います。

 私は香港映画の会社をやっていますが、監督協会と俳優協会の大将(会長や名誉会長、役員などを任されている)でもあります。会議の時、監督たちから俳優に対するいろんな意見を聞くのですが、どの監督からもニコラスがよくないという話は聞いたことがありません。僕が人を選ぶ時は、まず向上心があり、困難を恐れず努力家である、そういう人を選びます。だからこの映画に出ている若い人たちは、僕が気に入っている人たちなのです。どの業界に限らず、こういう精神はすごく大事だと思います。それが、僕がこの二人と一緒に映画を撮った理由です。」


ジャッキー
●ジャッキーさんが今までパワーを保ってきた秘訣は?

 ジャッキー「トレーニング、トレーニング、トレーニング! よく食べること。昨日の夜は、ステーキや蟹をいっぱい食べました。ホテルに帰って運動もしましたが、いっぱい食べても、その後で必ず運動をすることです。この世の中で、トレーニングをしないで薬だけで痩せるというのは難しい。坐って薬を飲んでるだけで痩せるというのは不可能です。キープ、トレーニング、トレーニング!」


●今回、ジャッキーさんにとっては原点回帰となりますし、また新人のお二人にとっては伝説の作品に参加することになった訳ですが、一番重要だと思ったこと、意識したことは何ですか?

 ダニエル「(今度は広東語で)すごくプレッシャーがありました。この『ポリス・ストーリー』というシリーズは世界中でヒットした映画ですし、それに我々新人が参加することには、やはりプレッシャーがありました。実際、現場でもときどき自分を叩いたりして、これはほんとなんだろうか?夢じゃないだろうか?と思ったくらいです。いつも現場では、なるべくテンションを高めるようにして、自分の状況をキープしていました。」

 ニコラス「プレッシャーは確かにありました。以前、ダニエルと撮った『ジェネックス・コップ』(ジャッキー・チェン製作でジャッキーもカメオ出演している)という映画がありますが、今回ジャッキーの映画に出たってことはすごいことですし、また演技力が必要だと思ったのです。実は、クランクインの1週間前から、ジャッキーが今まで撮ってきた映画を全部ビデオでみました。撮影中は、スタントなど困難なこともありましたが、そんな時にはいつも、スタントをうまくやるために、『ジェネックス・コップ』を撮った時にジャッキーに言われたことを思い出していたんです。それは…」

 ジャッキー「『今日のお前は当時の僕だ。今日の僕は今後のお前なんだ。』実は、僕はすごく頭がいいんです。(場内笑)この『香港国際警察』を撮る時に、どうやって新人を騙せるかなと思ったのです。この映画の評価がよくなければ、新人たちが育たない訳ですから。もし売れれば、僕の功労です。アタマイイネ!(場内笑)

p6
 皆さん、ほんとうにありがとうございます。20年前『ポリス・ストーリー』を撮り始めてから、今までずっと撮ってきて、今観てもやはり面白いと言ってくださる。こんなに長い間ずっと応援してくださって、ほんとうにありがとうございます。皆さんの応援があるからこそ、僕も『ポリス・ストーリー』をパート20くらいまで撮れる訳です。(場内笑)パート20になると、僕なんかもうまったく動かないで、椅子に坐ってるだけで『ゴー!』。(場内爆笑)ドウモ、アリガトウゴザイマシタ!」(拍手)



 見事に30分で会見を締めくくったジャッキー。さすがに名俳優兼監督兼プロデューサーです。また、専属通訳である辻村さんとの間合いの呼吸が絶妙に合っていて(ときには漫才のような)、長い間に培われた深い信頼関係が感じられました。見えないところで努力を重ねながら、常に陽気で明るくエネルギッシュなジャッキー。これからも、どんどん新しい『ポリス・ストーリー』シリーズを製作し、新しい俳優をたちを育て、また新たなジャッキー・チェンの姿を観せてくれることでしょう。


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更新日:2005.3.1
●back numbers

記者会見の表記
●質問者

ジャッキー
(ジャッキー・チェン)
ニコラス(ニコラス・ツェー)
ダニエル(ダニエル・ウー)
●ジャッキー・チェン(成龍)
ジャッキーのプロフィールは、パート2でご紹介します。
●ダニエル・ウー(呉彦祖)
1974年9月30日、サンフランシスコ生まれのアメリカ育ち。オレゴン大学で建築を学んでいたが、95年に旅行で訪れた香港でスカウトされ芸能界入り。モデルを経て『美少年の恋』で俳優デビュー。アクション、コメディから文芸作品まで幅広い作品に出演。『香港国際警察』で台湾金馬賞の最優秀助演男優賞を受賞。
filmography
・玻璃の城(98)
・美少年の恋(98)
・硝子のジェネレーション
 /香港少年激闘団(98)
・ジェネックス・コップ(99)
・ゴージャス(99)
・パープルストーム(99)
・電脳警察サイバースパイ(2000)
・刑-殺之法(2000)
・頭號人物(2000)
・刀手(2000)
・重装警察(01)
・知法犯法(01)
・野獣之瞳(01)
・華の愛/遊園驚夢(01)
・北京樂與路(01)
・變臉迷情(02)
・豐胸秘Cup(02)
・新紮師妹(02)
・想飛(02)
・偸窺無罪(02)
・レディ・ウェポン(02)
・新紮師妹2(03)
・美麗任務(03)
・妖夜迴廊(03)
・尋找周杰倫(03)
・Miss 杜十娘(03)
・魔幻厨房(04)
・大[イ老]愛美麗(04)
・旺角黒夜(04)
・A-1頭條(04)
・ビヨンド・アワ・ケン(04)
・香港国際警察(04)
・精武家庭(04)
●ニコラス・ツェー(謝霆鋒)
1980年8月29日香港生まれ。往年の名優・謝賢(パトリック・ツェー)と女優・狄波拉(デボラ・ライ)を両親に持つ。7歳からカナダで教育を受け16歳で歌手デビュー。97年に俳優デビューし、香港電影金像賞最優秀新人賞を受賞。その後、次々と話題作に出演。最新作はチェン・カイコー監督の大作『プロミス』。
filmography
・硝子のジェネレーション
 /香港少年激闘団(97)
・ジェネックス・コップ(99)
・レジェンド・オブ・ヒーロー
 /中華英雄(99)
・魔鏡(99)
・わすれな草(99)
・少女黨(99)
・寶蓮燈(99)*アニメ
・大贏家(2000)
・ドリフト(2000)
・12夜(2000)
・老夫子2001(01)
・漫畫風雲(01)
・我的野蠻同學(01)
・トランサー/霊幻警察(01)
・戀愛起義(01)
・ティラミス(02)
・魂魄唔齊(02)
・玉觀音(04)
・2004 新紮師兄(04)
・香港国際警察(04)
・プロミス(05)
 *2006年公開予定
ニコラス・ツェー関連サイト
EEG公式サイト

ジェネックス・コップ

ジェネックス・コップ

DVD/ワイドスクリーン版
3990円(税込)

*ジャッキー・チェンがプロデュース。ベニー・チャンが監督した『特警新人類/GEN-X Cops』。ニコラス・ツェー、スティーブン・フォン、サム・リー、グレース・イップ、ダニエル・ウー、テレンス・イン、ジェイミー・オングと期待の若手が総出演した。日本から仲村トオルも参加。