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ASICRO FOCUS file no.56

「トンマッコルへようこそ」来日記者会見

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個性派のシン・ハギュン、カン・ヘジョン、チョン・ジェヨン
(カン・ヘジョンは笑顔が愛くるしい!)

Q:久石譲さんに音楽を依頼した理由は? また久石さんがこの映画をご覧になった時の感想は、どうだったのでしょう?

 監督「シナリオを書いている時は、いつも久石譲さんの音楽を聴いていました。それから多くのインスピレーションが得ましたし、シナリオを書き進めるリズム感も得られました。いざ完成してみると、当初は韓国で音楽監督を探すつもりだったのですが、久石譲さんのような音楽を作れる方はやはり見つかりませんでした。私はこれが長編デビュー作だし、久石さんは日本の巨匠。おそらく無理だろうなあと思いつつ、思い切ってお願いしてみました。それを引き受けてくださったのです。作業を進める段階ではとても息がぴったり合いましたし、お互いの気持ちをうまく交換し合えて順調に進みました。久石さんご自身も、参加できたことをとても楽しんでくださいました。出来ばえには大変満足しています」

Q:ヨイル役にカン・ヘジョンさんを起用した理由は?

ヨイル

ヨイルも靴下で顔を拭くシーンが…
(c)2005 showbox/Mediaplex Inc.
 監督「シナリオを完成させた後、ヨイル役にぴったり合う女優さんを探したのですが、なかなか見つかりませんでした。そんな時、あるコマーシャルの撮影現場へ行ったら、カン・ヘジョンさんが撮影をしていました。休憩している時の彼女を見て、ヨイル役にいいのではと。具体的には言えませんが、ちょっと普通の人とは違う行動が見られたのです(笑)。彼女だったらこの役にぴったり合うと思い、オファーしました。すぐにOKはくれませんでしたが、3回ほど会ってミーティングをし、子どもの頃の話をいろいろとしてくれました。雨に打たれるのが好きだったとか、その時に靴下で顔を拭いたとか…。ぜひ彼女にやってもらいたいと思い、全力でお願いしました。子ども時代のエピソードは、映画に活かしたいと思いました。実際、映画に合っていたと思います」

Q:キャスティングを受けての感想と監督からの演技上での指導は?

 ヘジョン「監督は、この映画をどんな風にしたいかを話されました。完成した本編を観ると、その時に監督が話していた通りに仕上がっていると思います。特に監督に尋ねたのは、ヨイルはほんとうに頭がおかしいのか、それとも純粋の極致のような状態にいるのか、ということです。3回目にお会いした時『この少女は純粋なんです』とクールにおっしゃったので、出演を決めました。3回というのは、何度も会っている内にギャラがあがっていくと思い…というのは冗談で(笑)、とにかく、それだけ慎重に選んだ方が、いい演技ができると思ったからです。

 実はこのシナリオをいただいた時、もう1本別のシナリオがありました。そちらの撮影が遅れたので、先にこちらをやることになりました。そういう事情から、どうしても頭の中でいろんなことを考えてしまい、それが目にも表れていたようです。カメラを向けると、私が悩んでいる姿が映ったようで、監督からはできるだけ頭を空っぽにしてくれと言われました。私もできるだけ考えないよう努力しました。同時に、自分本来の肯定的で前向きな考えを持つようにしました。ヨイルにも前向きな考え方を他人に分けてあげるような所があったので、できるだけそうしました」

Q:トンマッコルという大規模なセットを作る上での苦労話を教えてください。

守り神

村へ続く森の道にはいろんな顔の神様が!
モデルとなったのはトルハルバン。

(c)2005 showbox/Mediaplex Inc.
 監督「舞台作品として描かれたトンマッコルは、小さな村でした。原作者のチャン・ジン監督からお話をいただいた時も、小さな村をロケして、そこで撮影することを想定し、トンマッコルという小さくて可愛い村を舞台にした映画を思い描いておられたようです。ただ、私が最初に頭に浮かんだのは、人々が今までに見たこともないような空間、神秘的な空間でした。それは観客の皆さんもそうですし、ここにいる俳優の皆さんも、今までに見たことのないような空間であって欲しいと思いました。そこから葛藤が始まりました。そのような空間を作るにはセットが必要で、かなり製作費がかかります。でも、当時この映画は業界からも注目されておらず、大きな製作費用を集めるのに大変苦労しました。ただ、これは絶対に必要だと思ったので、セットにこだわって最後まで作りあげました。結果的には、私自身も映画をご覧になった皆さんも、とても満足してもらえたようです」

Q:出演時のエピソードをそれぞれ教えてください。

 司会者がいつものように、チョン・ジェヨンへ最初の回答を振ると

 ジェヨン「あの…いつも私が先にお答えすると、他のお二人が話すつもりだったことを話してしまうかもしれないので、順番を変えて、シン・ハギュンさんからお願いします(笑)」(会場笑)

 ハギュン「このようなチョン・ジェヨンさんと一緒に映画を1本撮ることが、いかに大変か皆さんにもおわかりになったと思います(笑)…それは冗談ですが、今振り返ると、この映画の撮影は、ほんとうに気持ちのいい旅行に行って来たような感じでした。映画を1本撮ることは、肉体的にも辛いし、精神的にも苦痛を伴います。でもこの映画は、とてもいい方たちととてもいい環境で撮ることができました。普段あまり行くことのできない美しい自然の中で、四季を表現する映画を撮りましたし、自然から得られる喜びを満喫できました。都会では星さえなかなか見えませんが、夜空を見上げると、流れ星が次々とたくさん流れることもありました。そういったことは、ほんとうに素敵な贈り物でした。撮影が終わり、映画が完成して公開され、それをたくさんの方に気に入っていただいていることも、自分にとっては有り難く感謝したいプレゼントです」

 ヘジョン「映画が1つのシーンから成り立たないように、私にとっては映画の最初から最後までがエピソードです。この映画を通して得たものがあるとしたら、いい監督とここにいらっしゃる立派な先輩たち、その他の出演者のイム・ハリョンさん、ソ・ジョギョンさん、リュ・ドックファンさん、また村人を演じた方たちは舞台俳優の方が多いのですが、そういった素晴らしい人たちに囲まれて、いい雰囲気の中で映画に出られたのが一番の収穫でした。この映画を通して得たことは、人との縁です」(続きを読む)


P1 > P2 > P3 ▼舞台挨拶 ▼作品紹介
更新日:2006.11.1
●back numbers

記者会見の表記
司会・質問者
監督(パク・クァンヒョン監督)
ジェヨン(チョン・ジェヨン)
ハギュン(シン・ハギュン)
ヘジョン(カン・ヘジョン)
俳優プロフィール
シン・ハギュン
申河均/Sin Ha Kyun

1974年5月30日、ソウル生まれ。ソウル芸術大学卒。学生時代から演劇活動を始め、先輩チャン・ジンと出会う。兵役後、舞台俳優としてデビューした後、98年にチャン監督の『あきれた男たち』で映画デビュー。2000年に出演した『JSA』で純朴な北朝鮮兵を好演して青龍賞助演男優賞を受賞。

以後、舞台活動を続けながら、チャン・ジン監督やパク・チャヌク監督らの話題作に次々と出演。強烈な印象を残す。個性的な役柄が多いが、癒し系の笑顔でも人気を集めている。
filmography
stage
・タクシードライバー(97)
・マジックタイム(98)
・無駄骨(99)
・拍手する時に去れ(2000)
・トンマッコルへようこそ
 (02)

movie
・あきれた男たち(98)
・スパイ イ・チョルジン(99)
・反則王(99)
・JSA(2000)
・ガン&トークス(01)
復讐者に憐れみを(01)
サプライズ(02)
・ムッチマ・ファミリー(02)
・地球を守れ!(03)
天国からの手紙(03)
マイ・ブラザー(04)
親切なクムジャさん(05)
 *カメオ出演
トンマッコルへようこそ
 (05)
拍手する時に去れ(05)
・礼儀なきものたち(06)

internet short movie
・カミングアウト(2000)
・毛(04)

drama
・ナイスガイ(03)