左からキム・チャン、アンドリュー・リン、ダニエル・ウー、パット・チャン
|
アジアの風
俳優ダニエル・ウーの初監督作、また今年の香港国際映画祭の覆面プレミア上映で大きな反響を呼んだ作品として、アジアの風部門でもいち早くチケットが完売したのが『四大天王』。残念ながら予定されていたALIVE 4人は揃いませんでしたが、主演のダニエル・ウーとアンドリュー・リン、撮影・編集を担当した影の立役者、パット・チャンとキム・チャンが登壇し、舞台挨拶とティーチインがありました。
『四大天王』は、撮影のために結成したバンド「ALIVE」の活動を通じて、香港音楽界の内幕を暴くというモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)フィルム。実際にバンドがデビューしていく様をリアルに綴っています。キャラ的にもそれぞれにかぶる部分があり、どこが真実でどこがフィクションなのか、観客は迷ってしまうのですが、真実の部分は?
ダニエル「秘密(笑)。わからない方が面白いでしょう。大切なのは、メッセージが伝わったかどうかです」
自分自身の役を演じるのは難しかったのでは?
アンドリュー「あれは僕ではありません。4人共役者でミュージシャンではないので、バンドのふりをしただけ。それぞれの性格の20%を誇張したものが反映されていますが、後はダニエルがデザインしました」
なるほど。それにしてもリアルなので、映画を観た人はうっかり信じてしまいそう。実際、アンドリューのお父さんは健在なのに、映画で死んだ父のことを思い出すシーンがあり、親戚が電話してきたとか(笑)。では、ALIVE として活動していた撮影中はどうだったのでしょう? 香港メディアだけでなく、それを見ていた私たちも騙されていたわけですが。
ダニエル「秘密を知っていたのは10人くらい。でも、途中から自分たちもその気になって(会場笑)うまくはないけど、自分たちなりにベストを尽くしてやっていたので、後半はもう自然とバンドをやっているような気持ちになってました」
アンドリュー「(秘密を)よく守れたなあと思います。4人ともキャリアのある役者だし、歌えないのになんでバンドやるんだろう?と周りの業界人も不思議に思っていました。金儲けと思っていた人が多かったようです」
映画には、香港音楽界で活躍しているスターたちのインタビューが随所に挿入されています。この部分は?
ダニエル「本物です。彼らとは長い付き合いですが、香港の音楽シーンについてずっと意見を言ってきた人たちでもあります。映画の説明は難しかったので、まずお願いして、音楽界の過去、現在、未来について、全員に同じ30の質問をしました。後で編集したものは見せましたが、皆、僕の言いたいことを理解してくれて、とても協力的でした。すごく感謝しています。音楽産業に限らず、今のアート全般は商品化されています。情熱や夢よりも、ビジネスの部分が大きくなり、売れればいいやという風潮になっている。それについてコメントしたいと思い、この映画を作りました」
その他にも愉快な質疑応答が続きましたが、長くなるので続きはこちらをどうぞ。(Q&Aの続きを読む)
ALIVEのメンバー4人が製作もしている本作。今後の活動予定はあるのでしょうか?
アンドリュー「このメンバーはすごくうまくいったので、このまま続けたいと思います。バンドで歌うことはもうありませんが、クリエイティブなチームとしてALIVEを残していきたいです。PRADAのスポークスマンをやっているので、今、ウェブサイト用の短編映画を作っています。それがALIVEプロジェクトの第一弾ですが、また何かいいアイデアがあれば、皆さんを驚かせるような映画も作ってみたいです」」
ダニエル「製作会社はまだ残っていてオフィスもあるので、いいプロジェクトがあればやりたいです」
頼もしいお答えと共に、新しい香港映画人たちの誕生を見たようでした。次回作を楽しみにしていましょう。その前に、『四大天王』が公開されるとよいのだけれど。
『Crazy Stone』で主演したグォ・タオ(右)。音楽を担当したのは中国でも活躍中のファンキー末吉(左)。
|
|
『I'll Call You』で監督デビューした俳優のラム・ジーチョンは、お茶目ぶりを発揮していました。
|
|
今やTIFFの常連となったパン・ホーチョン監督は、マカオを舞台にした『イザベラ』で来日しました。
|
|
|
左:『八月的故事』のヤンヤン・マク監督(左)、 ティエン・ユアン(中央)、藤岡竜雄(右)
|
|
左:新たなイケメンとして注目された日本人俳優藤岡竜雄
下:『青春期』のティーチインにも登場したティエン・ユアン
|
上:新作『マクシン』に主演したシャリファ・アルヤナ・シェド・ザイナル・ラシド(左)とモハマド・シャフィエ・ビン・ナスヴィップ(右)
| |
上:『グッバイボーイズ』のベルナール・チャウリー監督(左)とダニエル・ヘンリー(右)
|
前の頁を読む P1 > P2 > P3
|