海外での映画出演が続いているオダギリ・ジョー
(c)2008 Kim Ki Duk Film
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Q:これからも外国の作品にどんどん出るつもりですか? それとも、日本に腰を落ち着けて撮っていきたいですか?
オダギリ「今年1年は、ずっと海外の作品に参加させていただきまして、ほとんど日本にいない状況でした。いろんな国で撮影していると、(日本では)あり得ないような事が現場で起こるんですね。そういうことって、国によってそれぞれ違いまして、そのたびに日本の良さがわかりますし、逆に海外の撮影で起きるシステムというか、作品の作り方を見ていると、日本に足りない部分もたくさんあります。そういうのを振り返ったり、日本を感じたりというのが重要で、日本に対する愛情も深まるんです。
この作品は僕、大好きで、現場もほんとに楽しかったし、こんなに監督と仲良くなるってことは、日本ではなかったですね。ある程度、距離を置いて…どうしても闘い合う部分っていうのがあるべきだと思っていたので、そういうものが一切なく、ここまで仲良くなれるものなんだと。自分の中ではとても大切な作品になりました。
今後は、別に日本の作品でも海外の作品でも…差はぜんぜん感じないので、いい作品であれば、海外ももちろん参加したいし…ただ、精神的に海外はものすごく疲れるんですよ。精神的にも肉体的にもかなりやられるんで、あんまり海外に出なきゃいいなあと思ってはいます。まあ、やっぱり日本人なんで、日本を大切にしていきたいとは思ってます」
Q:オダギリさんとは親友のような仲になったそうですが、俳優としてだけでなく、人間としてどんな魅力を感じましたか?
監督「私には、撮影の現場で『時計』というニックネームがあります。時計がなくても、今何時何分頃と当てることができるので。食事の時間もそれできちんと確保するようにしています。私の場合、1日に5〜6シーンを撮って、15日くらいで撮ってしまうので、きちんと時間を計算をしながら撮影しないといけないのです。
だから、現場ではオダギリさんとゆっくりお話をする時間がなく、オダギリさんも慌ただしく感じていたことでしょう。お互いあまりにばたばたしていたので、目で会話をするとか、唯一できる日本語と韓国語で『大丈夫ですか?』と、それくらいしか話せませんでした。
なので、オダギリさんと人間的におつき合いするのは、撮影が終わってから。2人でお酒を飲みに行ったり、食事に行ったり。昔よく行っていた店へご一緒し、昔よく食べていたものを食べていただいたりしました。そのたびに、ときには赤い顔をして『オイシイ!』と食べていただいて、そういう時に人間らしさを感じました。また正直な方なので、別の店に行って前の店よりおいしくないと、それもちゃんと言ってくださって(会場笑)。それも人間的だなあと思いました。
韓国の俳優とお店に行くと、そこにファンの方がいてもあまり長く話すことはなく、ただ挨拶を交わす程度で終わってしまうんですが、ある時、オダギリさんとお店に行ったら彼のファンの方がいました。日本語もできる人だったので話しかけてきたんですが、オダギリさんは私とではなくそのお客さんと話を始めてしまいました。初対面のはずなのに、ほんとうに一生懸命話をしていて、そういう時にも韓国の俳優とは違うなと思いました。日本での状況はわかりませんが、そういう姿もいいなあと」
Q:この作品はうれしい発表(結婚)があった直後の作品だったと思いますが、ご自身が悲しい夢にならないように努力されたことは?
オダギリ「よく…まあ、ひっかけますねえ(笑)。僕も、もう32になりまして、充分な大人なので、そんな…恋の話とかするのは気持ちわるいんですけど(笑)、やっぱり海外に行ってると、お互い遠くにいるんで、互いのことをより気遣えるというのは、毎回助けられますね。日本いると、やっぱり喧嘩もあるだろうし、長く一緒にいると倦怠期みたいなのもあるかもしれないんですけど、こういう風にうまく、ある距離を感じながら、お互い気遣いあいながら思い会えれば、悲しい夢にはならないと思いますね。(会場笑)努力とは違いますけど、まあやっぱり何においても、思いやりが大切かなとは思います」
Q:そんなオダギリさんと仕事をする上で、気遣ったことは?
監督「私もマスコミの報道を見て、オダギリさんが結婚されることを知りました。その後で理由を聞いてみたら、彼女に安心して欲しいから、信頼して欲しいからとおっしゃっていたので、その一言にとても感動しました。きっと、相手の方は心配しておられたと思うのですね。なにせ、オダギリ・ジョーさんはとても素敵な男性ですから。現場で私にできるのは、監視することくらいしかありません。(会場笑)ところが、そんなことも要らないくらい、オダギリさんは映画に忠実に、一生懸命打ち込んでいました。韓国へ来る前に強い約束をしていたからこそ、より映画に打ち込めたのではと思います。短い時間ではありましたが、オダギリさんがベストを尽くしてくださったのは、彼女のためでもあったのかなと思います」
お相手はもちろん、2007年の暮れに結婚宣言をした女優の香椎由宇(アジクロではワン・リーホンと共演した『真昼ノ星空』でお馴染み)。入籍は、本作の撮影終了後、昨年の2月16日(2人の誕生日でもある)となっています。…と、プライベートに関する答えは特別サービスということで、以下は映画の質問限定となりました。 (続く)
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