k
logo


ASICRO FOCUS file no.159

進化するインド映画:「ロボット」と最新インド映画情報

女優さんは美女が多いですね。

p8

ミス・ワールド出身のアイシュワリヤー・ラーイ
(c)2010 Sun Pictures
 松岡「『ロボット』のアイシュワリヤー・ラーイは、1994年のミス・ワールドですから世界一の美女ですね。『ロボット』でも輝くばかりの美しさを披露しています。ロボのチッティならずとも惚れてしまいますよね(笑)。ママになったばかりなので今は少々太っていますが、そのうち元のスリムな体型に戻り、スクリーンに復帰してくれると思います。

 ほかにボリウッド映画の美人女優としては、ラージ・カプールの孫娘で『3バカに乾杯!』(09)のカリーナー・カプール『人生は一度だけ』(11)のカトリーナ・カイフ『DON 過去を消された男』(06)のプリヤンカー・チョープラー『オーム・シャンティ・オーム』(07)のディーピカー・パードゥコーンらがいます。

 それから成長株は、『A Match Made in Heaven』(08)のアヌシュカー・シャルマーです。この映画でシャー・ルク・カーンの妻役を演じた時は、まだまだ女優オーラが出ていなかったの ですが、『花婿行列が賑やかに』(10)などで大きく花開き、今では人気女優となりました。これから演技力を付けていけば、さらなるステップアップが期待できます。

 演技力と言えば、今一番演技力で評価されているのがヴィディヤー・バーランです。美人なのですが、小粒でいまいち目立たなかったところ、昨年から今年にかけて『ダーティーな映画(The Dirty Picture)』(11)と『物語(Kahaani)』(12)をスーパーヒットさせ、一挙にトップ女優に躍り出ました。もう、押しも押されぬ 大女優です。

 タミル語映画界は、ヒーローは地元のスター、相手役の女優は他の地域から、という組み合わせが結構多く、ラジニカーントの相手役も多くが他地域の出身者です。『ロボット』のアイシュワリヤー・ラーイはカルナータカ州マンガロール出身でボリウッドで活躍中、前作『シヴァージ (Sivaji: The Boss)』シュリヤー・サランも北西インドの出身です。シュリヤー・サランの美しさもハンパではなく、『シヴァージ』のソング&ダンス・シーンを見ているとうっとりしてしまいます」

『ロボット』の他にも、公開の噂がある作品がありますが、可能な範囲で教えてください。

 松岡「今回の日本公開版『ロボット』がヒットすれば、配給会社アンプラグドではタミル語のオリジナル版『ロボット』を公開する予定があるそうです。それから、ラジニカーントの作品をもう1本買っているとのことで、続けて公開となると再びラジニカーント・ブームが起きるかも知れませんね。そのほか、ボリウッド映画が3本ほど、日本の配給会社によって買われたとか、交渉中という噂があります。公開が決まれば邦題と共に発表があると思うので、楽しみに待っていて下さいね」

p9
圧巻はチッティ軍団によるトランスフォーム攻撃。これはまだ序の口。 (c)2010 Sun Pictures

それは楽しみです。個人的には『3バカに乾杯!』など気になる作品がありますが、公開して欲しい作品、おすすめ作品はありますか?

 松岡「『3バカに乾杯!』(09)@したまちコメディ映画祭もそうですが、すでに日本各地の映画祭で上映された作品の中に、面白い作品がたくさんあるんですよね。たとえばシャー・ルク・カーン主演作なら、『オーム・シャンティ・オーム』(07)@アジアフォーカス・福岡国際映画祭、 『行け行け!インド』(07)@東京国際映画祭、『A Match Made in Heaven』(08)@沖縄国際映画祭。それから、サルマーン・カーン主演の『Ready』(11)@沖縄国際映画祭とかですね。

 あと、女性問題を扱った『運命の糸』(06)@東京国際映画祭や、ユニークな作品『デーウD』(09)@大阪アジアン映画祭、感動作 『神さまがくれた娘』(11)@大阪アジアン映画祭もぜひ公開してほしいです。そうそう、現在香港でヒット中の『人生は一度だけ』 (11)@ラテンビート映画祭もいいかも知れません。

p10

『Ra.One』のポスター
 日本でまだ上映されていない作品では、シャー・ルク・カーン主演作で2011年にヒットした『ラー・ワン(Ra.One)』『DON 2』。ゲーム世界での善悪対決を描いた『ラー・ワン』は、『ロボット』に匹敵するCGとSFXを使ったSF大作です。『DON 2』は言わずと知れた『DON 過去を消された男』の続編で、今度はタイ、マレーシア、ベルリンが舞台となります。シャー・ルク・カーンはドイツで大人気なので、ベルリンでの撮影許可がすんなり下りたとか。シャー・ルク版『M:I』と言える作品です。

 目下勢いのあるサルマーン・カーン作品では、
『肝っ玉男(Dabangg)』(10)と『ボディガード(Bodyguard)』 (11)も面白いですよ。小粒でもぴりりと辛い作品としては、デリー大学の学生がウェディング・プランナーとして起業する物語『花婿行列が賑やかに』(10)や、『お前なし(ビン)では、ラーディン(Tere Bin Ladin)』(10)がオススメ。『お前なし(ビン)では、ラーディン』は、昨年殺害されたアルカーイダの司令官ビン・ラーディンのそっくりさんを利用して単独会見映像をでっちあげるというお話で、ちょっと際物ですが、世相を皮肉っていて大笑いできます。

 こんな風にボリウッド映画だけでもいっぱいあります。インド映画界は宝の倉なので、ぜひ日本の配給会社に手を出していただきたいものです」

 貴重なお話を、ありがとうございました!

 ということで、『ロボット』の公開を皮きりに、今後、ますます盛り上がりそうな予感のインド映画。まずは、『ロボット』タミル語・完全版が公開されるよう、皆さんぜひ、劇場でご覧ください。最初から最後までハイパーに展開する作品ですが、エンディングにはまるでスピルバーグ作品のような感動も用意されていますよ。


前を読む P1 < p2 < P3 ▼『ロボット』作品紹介
更新日:2012.5.10
●back numbers
おすすめインド映画DVD

DON ドン/過去を消された男

DON ドン/過去を消された男
(ジェネオン)

たとえ明日が来なくても

たとえ明日が来なくても
(アップリンク)

マイネーム・イズ・ハーン

マイネーム・イズ・ハーン
(20世紀フォックス)