2015.5.28 シネマート六本木
「のだめカンタービレ〜ネイル カンタービレ」Blu-ray & DVDリリース記念イベントに先立ち、シネマート六本木にて来日記者会見が行われました。登壇したのは主演の二人、チュウォン&シム・ウンギョン、制作を担当したグループエイトのソン・ピョンジュン代表の3人。司会進行役は韓流系イベントでお馴染みのYumiさんです。ドラマのハイライト映像が流れた後で、ゲストの3人が登壇。「こんにちは〜。私はチュウォンです」「こんにちは。私はシム・ウンギョンです。よろしくお願いします」と日本語でのご挨拶に続き、司会のYumiさんからのQ&Aからスタートします。
左よりソン・ピョンジュン代表、シム・ウンギョン、チュウォン
司会「本作の依頼を受けた時の感想と、完成した作品を観た時のお気持ちを教えてください」
チュウォン「『のだめカンタービレ』は日本で成功したドラマですし、韓国でも有名だったので、出演依頼を受けた時はとてもうれしかったですね。同時に、プレッシャーも感じました。ただ、韓国ではまだ知らない人たちも多かったので、この素晴らしい作品を紹介したいという思いがあり、プレッシャーはありましたが頑張って撮ろうという気持ちになりました。ドラマが放送された後は、僕だけでなく俳優みんな、そして視聴者の皆さんも、クラシックにより近づきやすくなったと思います。久しぶりにクラシックやオーケストラをテーマにしたドラマが誕生して、皆さん喜んでくださったようです。僕も自分なりにやりがいを感じました」
ウンギョン「もともと、原作コミックとドラマの熱烈なファンだったので、出演依頼が来た時はほんとうにうれしかったです。また、私自身、クラシックのファンなのですが、韓国では音楽をモチーフにしたドラマが少なく、とても稀少性のあるジャンルになると思いました。そういう特別なドラマに出演してみたかったのです。もう1つ、チュウォン先輩という素晴らしい俳優さんと一緒に仕事をしてみたい、というのもありました。完成後は、新しいジャンルのドラマとして、視聴者にアプローチできたのではないでしょうか。新しい試みの作品に出演できて、とても胸が一杯になりましたし、満足しています」
司会「日本でも実写化されていますが、韓国で新たに千秋先輩を演じるにあたり、チュウォンさんなりに工夫したこと、気を遣ったことは?」
チュウォン「日本の千秋先輩は、韓国ではユジン先輩です(笑)。基本的には、漫画の外見的な部分をかなり取り入れるようにしました。音楽大学に通い、ピアノを専攻していて、指揮者になりたいと思っている男子学生ですね。リメイクですから、多くのファンの皆さんもそれを望んでいると思うので、白いシャツに黒いズボンなど、できるだけキャラクターに近づいて役作りをしました。
もう1つは、ツンデレ(日本語で)のキャラクターを取り入れました(笑)。ツンデレというと、表向きはちょっと冷たい感じでギスギスしてるけど、内面はとても優しくて、いたわってあげるようなところがある。漫画やドラマでもそういうキャラクターが表現されていたので、それを念頭におきながら、自分なりにユジン先輩を作っていきました」
司会「では、のだめ=ネイルを演じるにあたって、自分なりに工夫したところは?」
ウンギョン「チュウォン先輩が演じたユジン先輩がツンデレなら、私が演じたネイルはヤンデレと言えるのではないでしょうか(笑)。日本語での意味がわからないので合っているかどうかわかりませんが、私は原作漫画にあった、のだめ特有の愛らしさや活発さ、明るいエネルギーを表現したいと思いました。
さらに、私なりにもう少し踏み込んで解釈した部分があります。それは、ソル・ネイルがピアノの天才的な才能を持っているという面を、もっと見せること。ピアノの演奏をしている部分など、細かくしっかりと演じて、視聴者の皆さんに見て欲しいと思いました。ただ、ネイルの持っている愛らしさは最後まで失わないように演じました」
司会「この『のだめカンタービレ』を韓国ドラマ化された経緯を教えてください」
ソン「『のだめカンタービレ』は日本を飛び出して、韓国だけでなくアジア全域で空前のヒットをした作品だと思います。最初はエスピーオーさんから、これを韓国でドラマ化したらどうかと提案をいただきました。でも私たちは、やりませんと答えていました。とてもこわかったからです。『のだめカンタービレ』は漫画でも完璧な作品ですし、また日本で完璧にドラマ化されていたので、これよりいい作品を作る事はできないだろうと思いました。それで、反対していました。
ところが、エスピーオーさんから、どんな作品でもオリジナルがいい、と言われたのです。例えば、原作となる曲があり、それをアレンジしていくということも充分に可能ではないか、韓国ならではのアレンジをしてみてはどうか、と。私たちを1年間に渡って説得してくれました。それで、私たちも勇気を出し、日本とはまた違う韓国バージョンの『のだめカンタービレ』を作ってみようと、ドラマ化を決めました」
ここから記者からの質疑応答に。
Q:ネイルがユジン先輩に迫るシーンですが、何度もやっているとチュウォンさんが笑ってしまったりとか、NGシーンが多かったのでは?
チュウォン「たしかにNGは多かったですね(笑)。でも、そこが『のだめカンタービレ』の楽しいところです。女性が男性に『抱きしめて欲しい』とか『チューして欲しい』とか、韓国ではなかなかありません(笑)。でも、こういうキャラクターと出会って演技をすることになった。僕の演技はほんとうにありのままなんです。こんな経験はなかったので、ほんとう迫られて戸惑ったりして…ありのままに演じました。でも、俳優としてはとても楽しかった(笑)。しかも、ラブストーリーとして受け入れるより、振り払う方が多かったので、アドリブもけっこうありました(笑)」
司会「個人的には、そういう積極的な女性はいかがですか?」
チュウォン「大好きですね(笑)」
Q:二人とも、楽器を扱うシーンが多かったと思いますが、苦労話があれば教えてください。
チュウォン「撮影前に、ウンギョンさんも僕もかなり長い時間を割いて練習しました。その上で、それをどのくらい演技に合わせられるか、視聴者の皆さんにリアルに受けとめてもらえるか、それが鍵でした。撮影中の現場はとても慌ただしいのですが、監督や音楽監督といろんな話をしながら作っていきました。学生たちが持っている情熱を感じてもらえるようたくさん練習し、現場で何度も話合いを重ねて、撮影にのぞみました」
ソン「チュウォンさんには、最初に指揮の練習をしてもらいました。その時の先生が、1ヶ月くらい経ってから『私が今まで3年間教えてきた学生よりも凄い。この才能は彼が持って生まれたものだろう。やはり、才能を持ち合わせているタレントというのは凄い』とおっしゃっていました。ウンギョンさんについては、ピアノの練習をするにあたり、手の形をどうするか、その形はもちろん、実際に指をいくつ動かすかなど、その数までしっかりと合わせてくれました。ノートにメモをとって書き取れるようなものではないのに、ほんとうに一生懸命、練習に取り組んでくれました」
司会「ピアノのシーンはすごく見入ってしまいましたが、どういう風に練習したのですか?」
ウンギョン「チュウォンさんはもっと大変で、頑張って練習されていましたよ。私の練習は、全体からすれば微々たるものです。合流したのが遅かったので、練習量は他の方より少なかったですね。最初の頃に練習していたのは、リストの「リーベストラウム(Liebestraume/愛の夢−3つのノクターン)」という曲です。全曲は無理でも、部分だけでも挑戦できないかとやってみましたが、とても短時間でできるレベルのものではありませんでした。そこで、ピアノの先生とよく話合い、シンクロ率というか、どうしたら自然に弾いているように見せることができるかを、一生懸命考えました。
私が考えたのは、ピアノを弾く時の指の位置をしっかりと把握しておくことでした。実際の練習で、どの位置に指を置けばいいかを把握しておいて、なるべく毎日それを聴くようにしました。そして、先生が弾いている鍵盤の位置をしっかり見て把握し、先生の身体の動きや腕の動きを頭の中にたたき込んで、ピアノを専攻している学生らしく滑らかに演奏できるよう努力しました」
Q:オーケストラの皆さんとチームワークを深めるための秘策や、共演者の方々との秘話はありますか?
チュウォン「すでに僕たちの心は1つでした。なんといっても、同じ世代の共演者が多く、その中では僕が一番年上。その他は先生役の方たちでしたが、そういういこともあって、早く親しくなれたと思います。俳優だけでなく、オーケストラを演じてくれた学生さんたちともほんとうに仲良くなり、別れる時は皆で泣いてしまうくらいでした。出演者の皆さんの心がとてもオープンだったので、こんなに早く親しくなれたのだと思います」
司会「では最後に、ドラマの見どころとメッセージをお願いします」
チュウォン「今回の『のだめカンタービレ』は、日本で作られたドラマとはまた違うバージョン。違う楽しみ方があるドラマです。僕が重点を置いたのは、それぞれ違う楽器が1つになっていくプロセスを描くこと。そして、登場する学生たちが成長し、学生たちが情熱を持って皆で1つになり、音楽を作っていくプロセスを描くことです。なので、日本の『のだめカンタービレ』とは一味違う作品になったと思います。ご覧になれば、違う印象を持っていただけると思いますし、違う楽しみも見つけてもらえると思います」
ウンギョン「『のだめカンタービレ』はクラシック音楽をとてもシリアスに掘り下げたドラマと言えます。そして出演した俳優皆が、それぞれ1つ1つ楽器を一生懸命練習して、撮影にのぞみました。音楽に対する真摯な思い、音大生の皆さんの情熱を描いたドラマです。韓国語のタイトル(『ネイルカンタービレ』)を直訳すると「明日もカンタービレ」という意味になります。このドラマを大勢の皆さんが見て、明日も1日1日カンタービレ、歌を歌うように楽しく過ごして欲しいと思います。そんな気分になって欲しいし、明るいエネルギーが視聴者の皆さんに届くことを願っています」
ソン「日本にはとても素晴らしい原作漫画、そして完璧な『のだめカンタービレ』というドラマがあります。でもどうか、比較をしないでください。これは韓国で作られた『のだめカンタービレ』という別のドラマなんだと思っていただければ、より楽しんでいただけると思います。幸い、漫画の原作者の方がこのドラマを見て、とても面白かったとツイッターで発信してくださいました。それを見て、私もとても自信を持ちました。ですから、皆さんも安心してご覧になり、楽しんでいただけたらと思います」
出演者とスタッフ、それぞれのチャレンジ精神と思いが結実した新たな「のだめカンタービレ〜ネイル カンタービレ」。原作や日本のドラマを未見の方には、素直に楽しんでいただけると思います。すでに原作漫画や日本のドラマファンの方は、ぜひ気持ちを切り替えて、新しいドラマを見るつもりでご覧ください。比較するのではなく、同じ部分、違う部分を味わうことで、お国柄や文化の違い、2つのドラマの持ち味や良さが再確認できることでしょう。
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