『軍鶏』を語る
−ショーン・ユー(余文樂)
日本の人気コミック『軍鶏』(作・橋本以蔵)を、香港のソイ・チェン監督が映画化した作品『軍鶏/Shamo』で、主人公の成嶋亮を演じたショーン・ユー。これまでに日本公開された作品は若者の群像劇が多かったのですが、本作ではまさにオンリーワンの主役を、苛酷な役作りに挑戦して演じています。本作への意気込みと撮影時のエピソード、そしてこれからのショーンについて語ってくれました。
(質問、アジクロからの質問、ショーン)
●作品について
ソイ・チェン監督の作品に出演することになったいきさつは?
ショーン「実は監督とは、俳優になる前のモデル時代に、誰かのMTVを撮る時に一緒に仕事をしたことがありました。その時は主役を演ったんですが、とても変わった人だと思いました。それ以来のおつき合いです。ずっと一緒に仕事をやりたいと思っていたけど、なかなか機会がなくて、今回やっと『軍鶏』でご一緒することができました。監督とは仕事に対する考え方が似ているんです。撮る以上は最高のものを撮りたいと思っているので、とても合うんです」
今回も日本漫画が原作ですが、脚本のどこに惹かれて出演を決めましたか?
ショーン「原作漫画は他の漫画とはちょっと違っていました。テーマがとても大胆で、その中に今の若者が感じているプレッシャーみたいなものが描かれていて、メッセージを感じたのでそこに惹かれました」
日本の漫画が原作の出演作が多いですが、自分の中に日本的な部分があると思いますか?
ショーン「なんで選ばれるのか、僕も知りたいくらいです。ゼンゼンワカラナイ(笑)。ただ、雰囲気が日本人に似ていると思われているみたい。今回の『軍鶏』に関しては、主人公があまりにクレイジーなので、どの役者も難色を示す可能性がありました。でも、僕はそういうことがないと皆知っているので、僕に回ってきたのではないでしょうか」
アクション映画の出演が続いていますが、男としてはやはりアクション映画に出たいものなのでしょうか?
ショーン「実はあまり好きじゃないです(笑)。でも、し方ないかな。アクション映画が特別に好きというよりは、むしろ嫌いな方でしょう。僕はカンフーを習ったわけでもないし、武術をやってたわけでもないので、ジャッキー・チェンやブルース・リー、ジェット・リーみたいなアクションはできません。今はCG技術が発達しているので、画面上ではかっこよく見えるかもしれないけど。映画を選ぶのは脚本がいいからで、アクション映画だから選ぶのではありません」
ちなみに、この日のショーン、実はまだ完成した作品を観ていませんでした。「現場のラッシュも観ていません。まだ編集されていなかったので、監督が見せてくれなかったんです」とのこと。この後の試写会で、初めて作品を観たようです。
●役作りについて
今回は最初から最後まで格闘シーンの連続で、痛々しくもありました。訓練はしましたか?
ショーン「撮影の1ヶ月半前から毎日トレーニングしました。空手、タイ式ボクシング、ボクシング…などいろいろ、専属のトレーナーについてやりました。本物のボクサーのスタイル、ファイターの体型にしなければならなかったので。毎日、大変でした」
体重やサイズは変わりましたか?
ショーン「もともと、それほど体脂肪はないので、ダイエットはしたことがなかったんですが、今回は監督からファイターの体つきとして、大き過ぎるのはだめだけど、小さく絞まった体型にして欲しいと指示があり、はじめてダイエットをしました。食べたり飲んだりするのに、気を遣いました」
肉体的な映画なのに感情も変化していきます。そのメンタリティの役作りはどのように?
ショーン「たしかに今回は感情的にも劇的に変化する役柄なので、見た目も変わっていかなくてはなりません。弱々しい時と荒々しい時、妹への愛に目覚めた時、という感じで。順撮りではなかったので、自分で鏡を見ながら、その瞬間に、ここはこんな感情で…と外見を作っていきました」
『軍鶏』での悪役面を自分で見て、どう思いましたか?
ショーン「最初に見た時は、こういう悪い主人公なんだとわかるので、役に入り込む上ではとてもプラスにはなりました。ただ、あまりに恐いので、周りの人が話しかけてくれなくなった(笑)」
衣装など、外見的なルックスが役作りに役立つことは多いのですか?
ショーン「そうですね。髪型や色、服装、周りのセットなども、役に没頭するのに役立ちます。普段はボケっとした楽な格好でいるけど、そのスタイルになった瞬間にスイッチが入ります」(次の頁へ)
(c) 2007 Izo Hashimoto/Art Port Inc./Pony Canyon Inc.
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