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asicro interview 23

更新日:2008.6.23

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中華圏でも人気の香川照之さん(右)とは大の仲良しに
撮影中、印象深かったことは?

 ヴィック「やはり一番の思い出は香川さんです。香川さんとは、ほんとうに年齢を超えた友情みたいなのが生まれました。特に香川さんのクランクアップの時は、男二人でふざけあって、子どものようにはしゃぎました。香川さんがとてもよく頑張ってくださったので、皆で祝福しました。その時のことが一番印象に残っています」

女性の共演者との思い出は?

 ヴィック「戸田さんとは、彼女の出番が終わる日に僕の出番がなかったので、彼女のクランクアップに立ち会えませんでした。皆でカラオケに行って飲んだり食べたりしようよと誘われていたんですが、ちょっと疲れていたし、ものぐさというのもあってお断りしていて、実はその日が彼女の最後の日だったんです。

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チャン・チュンニンとはドラマで2度目の共演中
 その時は申し訳なかったと思ったのですが、今回、こうして日本へプロモーションにやって来て彼女に会うことができるので、うれしく思っています。

 チャン・チュンニンは、けっこう面白いというか…真面目なところがあります(笑)。監督もちょっといじわるをして、脚本にはないのに、キスだとか妖しいシーンだとか、彼女にいろんなことをやらせようとして、彼女もしっかりのせられてやってました(笑)。彼女とは初めての共演ですが、その前からの知り合いで友だちです。今回はラブシーンがあったのですが、今2度目の共演(ドラマ「痞子英雄」)をしていて、またその様なシーンがありました。この映画の直後なので、ちょっと気にしていたんですが、彼女はぜんぜん気にしていませんでした(笑)」

今回、香川さんや戸田さんなど、日本人の俳優と共演してみて、今までと違うなと思うことがあったら教えてください。

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日本の俳優やスタッフとの共演で学んだことも多いと語るヴィック
 ヴィック「日本人から学んだのは、やはり仕事に対する厳しさと、それぞれの仕事をとても尊重する点です。たとえば監督は現場では一番権力があり、それを尊重しなければならないとか、それが音に関することだったり、映像に関することだったり、照明に関することだったりすると、それぞれの担当者をとても尊重する。そういう態度には学ぶことが多かったです。

 台湾でも理屈はそうなんですが、実行するとなると、台湾人はなかなかそうもいきません。いろいろな可能性を考えてしまうということもあるのでしょうが、これでうまくいかなかったらこうやればいいんじゃない、と簡単に方法を変えてしまうんです。どんどん方法を変えていくと、いろんなことがごちゃごちゃになって、それぞれの仕事をする人を忘れたりして、どうしても疎かにしがちになります。そこは、日本人に学ぶべきじゃないかと思いました。僕も含めてスタッフも、そういうやり方を学ぶともっといいものが作れる思います」

ヴィックさんは台湾のシーンにしか出て来ませんが、日本でも撮影したかったのでは?

 ヴィック「そうなんです(笑)。日本で撮影することもあるのかなあと思っていたら、ぜんぜんそういうのがなくて。僕の役が台湾から出たことのない現地の人間ということだったので、とても残念でした。でも、いつか日本で仕事ができたら、きっとすごくやりやすいだろうと思います。日本人は1日のスケジュールをきっちりと立てて、必ずそれに従って仕事が進むので」

 と、ここで残念ながら取材のタイムアップ。早くも日本での仕事に期待中のヴィックでしたが、それは10月の来日ライブで体験していただくとして、まずは映画『闘茶』でヴィックの演技者としての新たな一面と、その成長ぶりをご覧ください。

(2008.6.4 都内某ホテルにて 5媒体合同取材)
(c) 2008 Tea Fight Film Association

『闘茶/tea fight』完成披露試写会 舞台挨拶

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左よりワン・イェミン監督、ヴィック・チョウ、戸田恵梨香、香川照之、細田よしひこ

 翌日、5日には全電通ホールにて一般の観客の皆さんも迎えた完成披露試写会が開かれました。そして、舞台挨拶にはワン・イェミン監督をはじめ、香川照之、戸田恵梨香、ヴィック・チョウ、細田よしひこが登壇。ヴィックと仲良しになったという香川さんは、ピースサインで登場。「ヴィックのマネージャーをしている香川です」と自己紹介し、戸田さんや細田さんにもちょっかいを出して笑いを誘っていました。ヴィックはいつものお茶目ぶりを発揮して、共演した戸田さんをほめちぎり。細田さんはヴィックのソロアルバム(『我不是F4』)にひっかけて、それならば自分がF4に加入すると表明しましたが、ファンから却下されておりました(笑)。


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●back numbers
『闘茶』の楽しみ方
監督:ワン・イェミン

監督のワン・イェミン(王也民)は本作が監督デビュー作品。昨年、惜しくも他界した台湾映画界の巨匠エドワード・ヤン監督のもとで、スタッフとして映画に関わってきた人で、エドワード・ヤン監督の後継者として期待されています。学生時代から前衛舞台の演出家としても活躍しており、『闘茶』にも幻想的なシーンが随所に盛り込まれています。
音楽:ショーン・レノン

75年、ニューヨークで生まれたショーンは、言わずと知れたジョン・レノン&オノ・ヨーコの愛息。98年にソロアルバムでデビューした後、様々な音楽活動を開始。自主映画製作や映画音楽にも携わっています。本作のプロデューサーで発起人となったオノコースケ氏の従兄弟ということもあり、今回のコラボレーションが実現しました。
アニメーション:STUDIO 4℃

映画の冒頭、お茶の神様・陸羽(エリック・ツァン)の案内で紹介されるのが、闘茶のそもそもの発端となった中国でのエピソード。雌黒金茶と雄黒金茶をめぐる争いが、『鉄コン筋クリート』で有名な先鋭的アニメ集団STUDIO 4℃によるアニメーションで描かれます。
闘茶とは?

茶文化が庶民にまで浸透した宋の時代、より優れた「皇帝献上茶」を見つけるために広まった風習。茶葉の良し悪しを決める真剣勝負で、宋代の闘茶では、茶の鑑定、細かくひき砕きふるいにかける、湯をわかし天目茶碗を用意し温める、茶を点てるなどの段取りを熟知していなければなりませんでした。一番の見どころは、茶を点てた時の泡(湯花)の出現で、茶の表面や泡の色の均一具合、きめ細かさなどで勝敗が決まりました。現在の「闘茶」は「評茶(テイスティング)」に近いそうです。
林華泰茶行と東方美人

主人公の八木(香川照之)が台湾で最初に訪れるお店が「林華泰茶行」。創業160年の歴史を誇る老舗で、東方美人(白毫烏龍茶)でも有名です。日本では渋谷の道玄坂に「華泰茶荘」が出店しています。中国茶が楽しめる茶館もあり、通信販売も行っています。また映画公開を記念して、様々なお茶を組み合わせた「闘茶セット」も発売中です。
▼華泰茶荘公式サイト
お茶あれこれ
お茶は製法・品質の特製により6種類に分けることができます。

●緑茶
蒸したり炒ったりして、揉んだ後に乾燥させたもの。日本で一般的に飲まれているお茶です。
●黄茶
緑茶とほぼ同じ製法の後、軽い発酵(渥堆)過程を加えたもの。芳醇な味となります。
●黒茶
製造過程で独特な発酵(渥堆)をさせたお茶で、ややカビくさく味は濃厚。プーアール茶などがこれになります。
●白茶
若い新芽や茶葉で作られるお茶。茶葉には白い産毛がたくさんあり、軽く発酵(萎凋)させた後、乾燥させます。水色は淡く、すっきりとした味わい。白牡丹が有名。
●青茶
緑茶の製造過程の前に軽く発酵(萎凋)させた半発酵茶。いわゆるウーロン茶で、産地により様々な種類があります。花の香りがするのも特徴。
●紅茶
全発酵(萎凋)茶。製法と品質で様々な種類があります。インドやスリランカから広まった西洋の紅茶もこれ。