演技者として成長中
−ヴィック・チョウ(周渝民)
日・台・香の豪華スタッフ&キャストが結集して製作された映画『闘茶/tea fight』が、いよいよ7月12日より公開されます。公開に先立ち、台湾から参加したヴィック・チョウが来日。ヴィックにとっては、映画出演2作目にして、初めての日本スタッフとの合作となりました。
本作でヴィックが演じるのは、台湾で闇のお茶市場を牛耳る若き頭目のヤン。悪役として登場しますが、実は辛い思い出から屈折した人間になったという、複雑な面を持つ男を演じています。インタビューでは、撮影時の思い出や演技について、日本人スタッフについてなどなど…いろんなことを語ってくれました。
たくさんの取材が続く中、ちょっと疲れているかな?という感じで取材ルームへ入って来たヴィック。現在撮影中のドラマのせいか、やや無精髭を生やし、男っぽい風貌に。でも笑顔は絶やさず、ソファにこしかけると「来[口巴]!」と力強い一言から取材スタートです。
(記者、アジクロ、ヴィック)
最初に出演依頼があった時、どう思いましたか?
ヴィック「最初に脚本をもらった時は、ちょっとびっくりしました。製作サイドはどうして僕に悪役をと考えたのかなあ?と。でも、よく考えたら、単なる悪役ではなくて深みのある役柄だったので、これを演じることで、自分の演技のターニングポイントになればと思い、引受けました」
中国茶がテーマの映画ですが、ヴィックが思う中国茶の魅力とは?
ヴィック「この映画に出るまでは、僕も中国茶に関する知識はまったくありませんでした。お茶は知ってるけど、作法とか、どのように飲むべきかなど、まったく知らなかったんです。でも、今回この映画を通して、お茶の歴史やどうしてそういう作法が生まれたのかという道理を学ぶことができました。普段の僕は、実は時間をかけてお茶を煎れるみたいなことはしません。ペットボトルで売ってるお茶を飲んでるだけ(笑)」
雄黒金茶を作っている部族は青い色で描かれていて、ヤンも青い服に髪を青く染めています。青い色はヤンの役柄を表すのに重要な色?
ヴィック「推論ですが、アニメの方が後なので、多分、僕の外見を決めて現代部分を撮った後で、アニメを作る時に青色を主調にして描いたんだろうと思います。雄黒金茶の一族は僕の先祖なので」(質問者の「オスコッキンチャ」という発音に反応したヴィック。自分でも真似てました)
独得な剣法の動きをしていましたが、何か参考にされましたか? 役作りで工夫したことは?
ヴィック「踊りみたいな動きについては、スタッフの中にきちんとした現代舞踊を教える先生がいました。その人は女性なので、女性の動きに対して振付けるにはぴったりなんですが、男性にはもっと男らしさがあるということで、彼女からは基本的な動きだけを習い、男らしさとかかっこよさを演出するために、僕が現場で考えて動いてみました。
青い髪や服以外で、キャラクターに肉付けをしたのは全部自分です。もちろん、脚本にも詳しく書いてあるので、脚本をよく読み込んでイメージ作りをしました。役を理解した上で、頭の中でどんな人間だろうとイメージして、自分で鏡に向かって表情を研究しました。また、この人物は目つきが鋭い方がいいだろうと思い、どういう角度で睨んだらいいかやってみました。あまりに厳し過ぎてもだめだし、影がなくてはいけないので、そこを一生懸命研究しました」
今回は2本目の映画出演(初出演はジョニー・トー監督の『僕は君のために蝶になる(原題:胡蝶飛)』)ということで、映画とドラマと両方で活躍されていますが、映画とドラマの違いは? 映画に出て役立ったことなどありますか?
ヴィック「僕はずっとTVドラマに出て、ある程度実力がついてきたと思ったところで初めて映画に出ました。だから、TVドラマのおかげで、やっと映画に出られたという面があります。映画では1シーン1シーンにとてもこだわりますよね。そこでは、必ず完璧な演技が要求されます。1つのシーンで何度もNGを出してしまうと、映画全体の進行や撮影スタッフにも大きな影響を与えるので、撮影前の準備がとても大事だということがよくわかりました。
ただ、撮影前の準備という点では、今までTVドラマでやってきた経験が役立ったと思います。実際、映画を撮るようになってから、ドラマを撮る時にどう変わったかというと、自分に対しての要求がさらに厳しくなりました。それが、大きいです。
実際はTVドラマの方が大変な面もあります。ドラマは30回とか長いですよね。しかもその長い期間、1人の人間をずっと演じなくてはなりません。それに、ドラマには必ずいろんな制約があるので、1話を撮ったかと思うと、途中の何話か先の方を撮って、またちょっと前に戻ったりする。なので、その都度、自分の役柄がどういう心境でどういう状態にいるかというのをきちんと理解していないと、混乱してしまいます。それが、すごく難しいところ。特にロケ地などでは、ここでロケするものはいっぺんに全部撮ってしまおうということもあるので、そうなると、すべての脚本を全部読み込んで、どのシーンもきちんとそこで撮れるようにしないといけません。そういう面では、映画より難しい部分もあります」(次の頁へ)
(c) 2008 Tea Fight Film Association
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