昨年の東京国際映画祭以来の来日となったグイ・ルンメイ
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台湾映画界の
新たな才能と歩んできた
−グイ・ルンメイ(桂綸[金美])
映画俳優として伸長著しいジェイ・チョウが、初めて脚本・監督も務めた秀作『言えない秘密』。爽やかな高校生のラブストーリーと思わせておきおながら、後半で誰もがあっと驚く展開を見せるこの話題作で、ヒロインを務めたのは『藍色夏恋』などで知られる台湾の若手映画女優ナンバー1のグイ・ルンメイです。音楽科の転校生・シャンルン(ジェイ)が校舎の片隅で出会い恋に落ちた女子生徒シャオユーが彼女の役柄でした。どこか寂しげで神秘的…というのも、ものすごい秘密を抱えていたからだということは、映画をご覧になれば納得でしょう。
日本での劇場公開に合わせて来日したグイ・ルンメイに、この映画のこと、共演したジェイのことなどをうかがいました。はつらつとしたミニスカート姿で、映画の中とはまた違う魅力を振りまきながら共同インタビュー用の部屋に入ってきた彼女は、デビュー当時に比べ女っぽくなったと評判ですが、誠実さと育ちの良さを窺わせる物腰は変わらず。24歳とは思えぬ落ち着いた態度で、観察眼のほどをうかがわせるエピソードの数々を話してくれました。
●自由な発想がジェイの強味
ジェイ・チョウさんとの共演はどうでしたか?
ルンメイ「彼と共演ができると知ってすごく興奮しました。は、とても優秀な歌手ですからね。実は、私、彼がデビューする前にコンテストで2位になったところをテレビで見てたんです。その時、すごい才能のある人だなあと思いました。ジェイに会った時、その話をしたら、『それは言わないでくれ』と(笑)。
彼との共演でいちばん嬉しかったことは、一般の人には知られていないジェイを見ることができたことです。ジェイは本当に仕事が好きで、3時間睡眠でも疲れを見せません。監督の仕事をしていると面白くないこともあるはずですけど、そういうことを絶対人には見せないし、スタッフに八つ当たりすることもありません。とにかく皆がいい状態で仕事できるように心掛けてくれていました。彼の今日の成功は、そういう彼のたゆまぬ努力にあるのだと感じました」
この映画が台湾で公開されたとき、ジェイ・チョウは台湾映画の救世主になるとまで言われていましたが、ルンメイさんから見て、映画監督ジェイ・チョウと他の監督との間に違う部分はありますか?
ルンメイ「台湾では、彼よりずっとキャリアや経験のある監督が、初めて監督をした彼に興収の面でも作品の質の面でも及ばなかったので、ジェイは自分で監督したのではないかもしれないという声まで出ました。そのくらい素晴らしかったということなんです。
ジェイはものすごく聡明な監督だと思います。構図やカット割りといったものがちゃんと頭のなかにあるんです。カメラマンのリー・ビンビンさんは国際的に有名なカメラマンですけど、そのリー・ビンビンさんの意見に対しジェイが『いや、僕はこういうふうにしたい』と主張することが何度もあって、つまり主導権はジェイにあったんです。
彼が他の監督と違うのは、映画畑出身の監督ではないだけに、逆に自由であるということです。しがらみも妙な固定概念もない。そこがよかったんじゃないかと思うんですね。ひたすらストーリーを語りたい、そして、そのストーリーを語るためにはどう撮るべきか…そういうことが彼のなかにあるわけです。下手な固定観念がなかったことで、こういう作品が出来たのだと思います」
●泣きたくなった連弾シーン
ルンメイさんが演じる役はミステリアスな部分もありますね。何か気をつけられた点は?
ルンメイ「撮影の順番が(時系列的ではなく)バラバラだったので、時々、私はどこを演じているのかなって思うこともありましたね。伏線を見せることに注意して演じました」
10代の学生の役ということで、工夫した点はありますか?
ルンメイ「まだ学生気分でいますので、そんなに無理しなくても学生を演じられていると思いますよ。そんなに何かを工夫したわけではありません。ピアノはものすごく頑張りましたけれど」
では、撮影で一番の思い出に残っていることというと?
ルンメイ「やはりピアノを弾くシーンが一番大変でしたから、思い出に残っています。撮影前に1か月ほどピアノのレッスンを受けました。先生から『一本一本の指を高くあげて』『力いっぱい伸ばして』と言われるんですが、それがなかなか難しくて、手がぜんぜん思うように上がらないんです。
それに、レッスンのときの速度と本番でジェイと一緒に弾くときでは速度が全然違うんです。ジェイはとにかくピアノの天才ですから、その速度に私はぜんぜん追いつかないんです。録音もしなきゃいけないし、2時間もかかって70回以上弾き直して、それでもダメ。やればやるほど焦ってきますし、最後は泣きたくなってしまうほどでした。
助監督には『ダメなら次を先に撮りませんか?』って言い出されるほどで、でも、ジェイがそれはダメだと。ピアノというのは気持ちが大事じゃないですか。なのに、どんどんどんどん映画の甘い気持ちとかけ離れていくのです。それで、私からジェイに休憩をとらせてほしい、その休憩の間であなたをハグをさせてほしいと頼んだんです。そうやって、甘い気持ちを呼び起こして、もう1回撮って、ようやくOKが出たんですよ」(続きを読む)
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