愛とは人生の大きな賭け
監督が語る『花漾』の世界
−ゼロ・チョウ(周美玲)
チェン・イーハン(陳意涵)、ミシェル・チェン(陳妍希)、ジェリー・イェン(言承旭)、ジョセフ・チェン(鄭元暢)と、華流トップアイドルたちが主演して、ファンの間でも話題となっていたゼロ・チョウ監督の最新作『花様 〜たゆたう想い〜』が10月26日より公開となりました。300年ほど前の時代に、海に浮かぶ孤島で繰り広げられる美しい双子の芸妓と、彼女たちに恋をする海賊と楽士の青年たち。しかし、残酷な運命が彼らを待ち受けており、2組の恋はまさに波間を漂う小舟のようにたゆたい、思いがけない結末へと向かっていきます。
愛とは何か?人間とは何か?を本作で問うたゼロ・チョウ監督が、9月中旬に来日。インタビューでは、ずばり映画の本質的テーマから、楽しい撮影エピソードまで、時には真面目に、そして時には笑い転げながら、たっぷり披露してくれました。尚、映画の核となる双子の姉妹の秘密や、結末にも触れていますので、まだ映画をご覧になっていない方は、観賞後にお読みください。(ネタバレ注意)
●物語の背景となる島について
Q:ドキュメンタリーの世界から劇映画の監督になられましたが、劇映画を撮る上で、そのドキュメンタリー的な視点は活かされていますか?
監督「もちろんです。物語の背景の作り方や文化など、そういったベースになるものには全部、ドキュメンタリー映画を撮った時の経験が活かされています」
Q:ストーリーの中にいろいろな問題を入れたり、経験したことを盛り込んだり?
監督「そうですね。全体の大きな環境面では、孤立した島での生きざまを、恋愛面では海賊と芸妓の恋模様について描いています」
Q:今回は時代劇。しかも、孤島での物語で海賊も出て来ます。このストーリーを思いついたきっかけを教えてください。
監督「舞台を孤島にした背景から話しましょう。台湾も日本も同じ島国ですが、特に台湾はいつも外からの圧力を感じています。脚本を書く時、台湾史をすごく勉強したのですが、台湾の歴史は海賊の歴史でもあることがわかりました。しかも、その中には日本との関わりもかなり出て来ます。台湾と日本は、同じ島国として共通している部分がかなりあるのです。
その日本の歴史に関することの中で面白いと思ったのは、村に白いものをかけて、ここは病気が流行っていますよと示すこと。それによって、外からの攻撃を避ける。当時、中国からの攻撃を避けるという歴史があったんです。
それで、この映画のエンディングにも、死後の世界ではないけど、ここは病気の島ですよと外に示すことによって、外からの干渉を避ける場面を取り入れました。この作品では病気が1つの大きなテーマで、それが愛情や人の本性への挑戦につながっています。最終的には、その病気によって島全体が守られたという風に、意図的に持っていきました」
●愛の結末が意味するもの
Q:たちはそうなりましたが、小雪と文秀は、実は問題がなかったにもかかわらず、幸せになれませんでした。ここに込めた思いとは?
監督「愛情というのは、恋愛もそうだけど、ほんとうは賭けです。誰にとっても、大きな賭けだと思います。最初はお似合いのカップルで、お互いに愛し合っていたとしても、ほんとうに大きなチャレンジが訪れた時、その愛がそれに耐えられるかどうか。今回の場合は病気ですが、それを乗り越えられるかどうか、ということなのです。
若い師匠の文秀は、ほんとうはやさしい人だけれど、最初に病気であることがわかった時、思わずたじろいでしまいます。すぐに後悔はしますが、そういう自分の反応がすでに小雪を傷つけてしまった。それに対する代償として、彼は光を失ったわけです。払った代償があまりにも大きくて、最終的には幸せになれませんでした」
Q:最後にちょっとだけ出会いますが、そのまま終ってしまいますね。
監督「もう、タイミングを失ったのです。初恋と同じですね。初恋の相手と20年後に会ったとしたら、また一緒にいられるかどうか…難しいでしょうね(笑)」(次頁へ続く)
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