●Asicro People ではアジアと日本をつなぐ様々な活動をしている方たちをご紹介していきます。
●台湾ドラマとピーター・ホー
台湾ドラマもご覧になっていますか?
田代「見てますね」
最近は、韓国で台湾ドラマをリメイクしたり、韓国のスターが台湾ドラマに出たりしていますが、韓国ドラマと台湾ドラマの違いはどこだと思われますか?
田代「韓国は執着とかやるせなさとか、負の部分に力点が置かれるんですが、同じものを取りあげていても、台湾の方はもっと明るい方向にいって、執着といってもガッツ!みたいな感じに変わるんですよね(笑)。バイタリティに変わる。こっちは執着で、こっちはバイタリティだなって。どうしてかはわからないけど、そういう違いは感じますね」
中華圏で注目している人はいますか?
田代「ピーター・ホー(何潤東)が好きです。前から好きだったんですが、『泡沫(うたかた)の夏』を見て以来、製作もやっていることにリスペクトしています。これをいろいろとこだわって、きちんと創りあげてすごいなあと。ますます、彼の動向が気になってます。『泡沫の夏』はあまりにもはまって、原作本を取り寄せて読んだら原作も面白いので、ぜひ日本語で出したらと出版社に話し、版権をとってもらったんです。今年には出る予定で、日本語監修をやることになっています。御曹司と大スターから愛される女優という設定が少女漫画のようですが、この3人の屈折した愛憎関係や複雑に揺れ動いていく心理描写がとっても面白いんです。ドラマもいいし、小説も人物の心情が更に深く書いてあるので、このドラマのファンだった方は特に必読ですよ」
●韓国とミュージカル
韓国へはどのくらい行っているのですか?
田代「年に4、5回か5、6回を、毎年という感じですね。プライベートで行くことはあまりなくて、ほぼ仕事です。最近では、仕事もプライベートも一緒くたで、行くと必ずミュージカルを観たり、映画を観たりしてますね」
田代さんの韓国でのおすすめスポットは?
田代「ミュージカル劇場ヘ行かれることをおすすめします。今、ほんとうに韓国のミュージカルは熱いですから! 映画やドラマと違って、その場でしか味わえない生の臨場感と感動をぜひ感じてください」
韓国はミュージカルや演劇も盛んですよね。
田代「一昨年くらいから、ずっとミュージカルにはまってるんですけど、向こうは創作ミュージカルが多いんですね。日本はライセンスものが多いけど、向こうはライセンスものに加えて、人気だった映画やドラマをミュージカルにリメイクしてみたりとか、ほんとうに果敢です。そして1個ヒットすると、製作会社がたくさんできて、皆がそれぞれ作りあうみたいな。だから、すぐバブルになります(笑)」
でも、すぐ作ってしまうというのがいいですね。
田代「フットワークが軽いんじゃないでしょうか。だから、いろんな面白い試みが出て来る。そこが興味深いですね。劇場もどんどん増えてきてるし。韓国は、ほんとうに歌が上手い人が多いので、聴きごたえがあります。アイドルも上手いし、アイドルだけじゃなく、ほんとうのミュージカル俳優さんたちは、ものすごく上手いから、観てて楽しいというか、聴き惚れますね」
『ウェルテルの恋』(*1)のお二人はイケメンさんですね。
田代「今回はアイドルじゃなくて、歌の上手いミュージカル俳優さんたちの舞台をあえて持って来てますね。繊細な方が好きなら、キム・ダヒョンさん。繊細で美しい、ちょっと耽美的な感じです。もうちょっと力強い、パワフルな若さを求めるなら、チョン・ドンソクさん。そういう違いはあります」
●司会というお仕事
女優をめざしていた時期もあるとのことでしたが、演劇もやっていらしたのですか?
田代「演劇というよりも、俳優養成所に通ってました」
それで、発声がきちんとしてらっしゃるんですね。
田代「アナウンサーに志望を変更した時も、自分が習って来たことがぜんぶ活かせるなあと思ったからなんです。腹式呼吸とか、ちゃんとしゃべったりすることとか。大学の3、4年の時、俳優養成所に通ってて、オーディションもたまには受けましたけど、私は表現者はあまり向かないと思って。アナウンサーの方が向いてると皆が言うので、じゃあ、アナウンサーをやってみようかなと思ったんです」
お話が得意とか?
田代「愛嬌があって親しみやすいから、アナウンサーの方が向いてると言われて、なるほどと思ったんです。インパクトの強い、一目見て忘れられないような顔をしているわけではないし、個性が弱いんですよね。それで納得して、大学も出ているから、そういうのを活かせる仕事に就いた方がいいかなと」
今となってはよかったですよね。全部が活きてますね。
田代「ほんとうによかったです。韓流にはまった時も、ライターをしてた時も、アナウンサーの仕事は最初はぜんぜん活かされなかったけど、イベントや解説の需要が出てくることによって、今までやっていたアナウンサーという仕事が活かせるようになったので、今までやってきたことが全部集約されて仕事になり、ほんとうに感謝しています」
それはもう運命ですね。
田代「ほんとうにうれしいです」
司会をされていて、この時は困ったというようなエピソードはありますか?
田代「最初の頃ですね。誰かが急に来るとか、時間を伸ばしてとか、調節してとか、急にその日の直前に言われたりする。そういう突発事故が韓国ものは多いんです。今はもう慣れたので、それに対応するのも面白いと思えるようになりましたが(笑)」
記者会見では、質問が出なかったりすることがたまにありますよね。
田代「そういう時は、自分で質問を用意していて、それを先にちょっと聞いて、様子をみてっていう感じですね。ちょっと話を聞いていくと、それに乗じて手があがったりするし。ほんとうに出そうにない時は、主催者に、誰かに頼んでおいた方がいいですよ、と。質問して欲しいとちゃんと言った方がいいですよ、と勧めます。韓国の俳優さんは、あまり喋れないと言われている人でも、基本的に一応のことは話してくれます。面白く盛り上げるのは難しいかもしれないけど」
●アジアをつなぐクリエーターになりたい
では最後に、今後のお仕事の方向性や抱負をお聞かせください。
田代「アジアを胯にかけたコンテンツ作りに、クリエーターとして関わりたいなというのが夢ですね。映画、お芝居、ミュージカル、ドラマもそうですが、なんらかの形でクリエーターとして参加したいです」
韓国の俳優さんで脚本を書くというのはいかがですか?
田代「それも、もちろん。私はアジアが好きなので、俳優も日本に限らず、台湾だったり、韓国だったり…素敵な人たちや製作者と、ぜひ将来やってみたいです」
(2013年1月18日 赤坂にて/取材協力:シャベール)
お仕事で多忙な中、やっとお会いできた田代親世さん。アジア好きな方たちにはパワフルな方が多いのですが、田代さんもアナウンサーから香港留学を経て、韓流ライター、コメンテーター、そして司会、脚本家…と、大好きなエンタメの世界を追いかけながら夢を叶えていく素敵な方でした。そして、滑舌よく話してくださるお話が、また面白い。さすがはプロ。ここに載せきれないほどたくさんの楽しいお話を聞くことができました。そんな田代さんの新しい本や脚本、そしてアジアを胯にかけた夢のプロジェクトが実現するのが楽しみです。
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